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ヒロイン?登場の件

今日もよろしくお願いします!

今俺の前に現れたのはミシュリーナだ。

お母様のようなブルネットの長いウエーブのかかった豊かな髪に赤い大きな瞳、品のある赤い唇。とても美人だ。

だがお母様とは似ていない。

記憶のゲームのミシュリーナはお母様の方が似ている。体も普通の12歳位でやっと胸が膨らみかけくらいのツルペタ。


そうそう、ヒロインはこんな感じのかわいい容姿だったわ。

そうか、この子は目許が垂れぎみなんだ。

ヒロインの表情は垂れ目だったわ。

今の俺は凛々しい目許だもんな。その違いか?


あっちも俺をジロジロ見ている。


ここは王宮の来賓室の横の控え室でこれから皆と会うわけだが『王の印』の確認の為に女の子同士、俺が担当となったのだ。

隣の別室ではバルトとレクサスの印をルカが確認している。


お互い対面で仁王立ちだ。


するとミシュリーナが先にキッと俺を睨み、腕組みをして話し出す。


「やっと会えたわ、シルフィーヌ。貴女はどのシルフィーヌなの?」


とても耳に心地いい、かわいい鈴を鳴らしたようなヒロインの声だ。

そう、俺は悪役令嬢のゾクゾクするような色っぽい声に似てきている。

声はどうやら入れ替わっているようだ。 

 

「私を知ってるの?どのって?どう言う意味かしら」


「あら?分かってるくせに。ヒロイン顔の悪役令嬢さん」


「・・・・・・・転生者」


「貴女もね。よろしく。それで?こんなに早く私を呼び出してまで折りたいフラグは何かしら?どうせレオリオの事でしょうけど」


「いつ?いつここがゲームの世界だと気づいたの?」 


「そんな事生まれた時から知ってるわ。更に言うと何度もこの世界に転生しているわ」

 

「何度も!?何度もって?」


「あら?貴女、私に会うの初めて?そう、そうなんだ。ならこの後、レオリオはヒロインの私に一目惚れをして悪役令嬢の貴女は捨てられ隣国王の第七夫人よ?分かってるわよね?そんなの嫌よね?ああ、もっと酷い結末もあるわね?アダルト版で犯されるだけ犯されて処刑されるなんてやつ!悲惨よね?貴女かわいそう」


「・・・・そんな事にはならないわ」


ミシュリーナが言ってる殺されエンドはアダルト版のレオリオが攻略対称者と結婚して悪役令嬢がレオリオの側室になり子供が出来なかった時に子供が出来るまで攻略対称者複数に犯された挙げ句妊娠出来ない体だと分かって貫通罪をきせられ処刑されると言う凄くあり得ない滅茶レアなバージョンで逆に何でそれ知ってるの?って思ったわ。

このルートはむちゃくちゃやり込まなければ出てこないやつだよね?俺は仕事上知識だけで知ってるけどさ。


「ああ、レオリオが好きなノーマル版してたからヒロイン顔なのね?じゃあ御愁傷様。でも、そうね・・私と取引きしないかしら?貴女も嫌よね?私にレオリオ取られるなんて」


「貴女もレオリオ好きだったからヒロインなのよね?」


「ちょっと違うわ。私は声が好きなの」


えっ?声?レオリオの声?ノーマル版の?って事は俺?


佐伯亮(さえきりょう)?」 


「えっ・・!!知ってるの?そう!そう!亮様!貴女も?貴女もそうなの?」


「えっ・・・・まぁ、そう・・かな?」


俺だから。佐伯亮、俺の前世の名前だから。


「そう・・・・そうなんだ・・亮様の・・じゃあこれからの運命どうなるかわかる?」


あれっ?何かさっきまでの威嚇していた感じとは違うぞ・・?

何か同類相憐れむみたいな心情になってる?

何かかわいい垂れ目になってるぞ?


「わからないわ。だって全然、ゲームと違うのよ?そもそも私、悪役令嬢なの?」


「そうなのよね?私はずっとこの顔で悪役令嬢だったのよね。なのに今回、境遇はヒロイン、体もヒロイン、垂れ目もヒロイン。でも、名前はミシュリーナ。顔もミシュリーナ。まぁ?今からサルクドール男爵家には引き取られるんだけどね・・ああ、でも、悪役令嬢はレオリオに捨てられても隣国のトマ王子のお嫁に行って幸せな余生を送るのよ?だから心配しないでいいわ」


誰?トマ王子って?誰?それ?知らんわ。


「そ、そうなんだ?幸せになれるんだ・・」


「あ、だけどね?そのトマ王子とね?レオリオの事で取引したいの。今のレオリオ好き?」


「えっ?あっ・・・・好き」


「良かった」


「えっ?ミシュリーナも好きなんでしょ?」


「いらない。レオリオいらないから」


ミシュリーナがブンブン首を振る。


「へっ?なんで?」


「あのね?私この世界8回目の転生なのね?もう、こりごり。7回もレオリオに捨てられたのよ?7回もよ?毎回ね?頑張ってフラグ折るのに最後はいつもヒロインにレオリオ取られて断罪されるの。酷い時なんて抱き潰されてからの国外追放。まぁ、トマ王子がどんな君でも君への愛はかわらないって言ってくれたからセーフだったんだけどね?」


はぁ~っ!?今、なんか凄いこと言ったよね?!


「マジか?」


「うん。マジ、マジ」


「っざけんな!!あの最低野郎!!コロス!!」


「あっ、シルフィーヌ、違うから?今のじゃないから?今のじゃ。・・・・ありがとう、怒ってくれて。だからね?さっき、わざと貴女を怒らせてこのまま退散しようと思ったのよ。もう、レオリオなんか顔も見たくないわ」


・・・・ああ、そう言う事か・・・そうだよね・・・7回は辛いわ。


「ミシュリーナ。信じて欲しい。私は貴女の味方なの。貴女が行きたいルートに行けるよう全力で応援するわ。だからお願い、一緒にフラグ折って?」


俺はミシュリーナに手を合わせてお願いした。


「フフッ、貴女がまともなシルフィーヌで良かったわ。安心した。でもね?折るフラグもわからないのよね?私」


「誰を攻略したいの?聞かせて?絶対、私、貴女を幸せにするから。任せて?」


「違う、違うのよ?シルフィーヌ。私は攻略対称者は誰もいらないの」


「えっ?いらないの?」


「いらないわ。だって全然、話通じないのよ?誰が教科書破いたりバケツで水かけたりするのよ?階段から突き落とすなんて犯罪じゃない?するわけないから!絶対しない!そんな馬鹿な事。なのに全然話聞いてくれなくていつも断罪。もう、嫌!学園に行くのも嫌よ・・・」


「あっ、それ、共感。絶対ないし、しないわ。考えられないわ」


「ね?そうよね?」


「そうそう」

二人で声を上げて笑った。


「何だ。ミシュリーナもそう思ってたんだ・・良かった・・断罪されるのかってずっと思って生きて来たから・・・・」


「辛かったわね。私も毎回転生する度に今度は上手くフラグ折るんだって頑張るんだけど何か?ゲームの補正力?みたいなのが働いて同じ結末なのね。悔しかったわ」


「・・・・そうなんだ」


「ああ、それでね?さっきの取引の話なんだけど、このままレオリオにも他の攻略者にも会わずに帰りたいの。なぜって私トマ王子と結婚したいのよ」


「えっ?トマ王子?トマ王子でいいの?」


「トマ王子がいいの」


「じゃあ、私がどうにかするわ」


「いいえ。身分を(あか)せば大丈夫よね?」


「あっ!隠しキャラルート?」


「うん。それ。アイテムだけ先に手に入れました。私がタマリ国王子の落とし(だね)で次期王位継承者だって証して、トマに正式に求婚すればいいわよね?」


「隠しキャラの先生はどうするの?」


「学園行かないから会わないわ。それにね、何か何やっても今世は自由だからゲームの補正力みたいなやつ働かないと思うのよね。だから先にタマリ国に帰って王位を継いでからトマに正式に求婚する。トマを愛しているの」


「そっか。なら、余計にレオリオらと会って反応見た方が良くない?後から惚れられても厄介じゃあない?ないと思っても私の場合は補正力みたいなやつ?働いてるわよ。だってレオリオに一目惚れなんだから。面倒だけど先に手を打たない?」


「うーん?そっか、シルフィーヌに働く場合は巻き込まれるかもね。それも一理あるわね。でもシルフィーヌ、知らないわよ?レオリオが私に惚れたら」


「まぁ、覚悟出来てるから・・・・・ハハッ」


「嘘よ、大丈夫。ほとんど無いわ。もし、そんな素振りを見せたら思いっきり振ってやるわ!!フフッ。あら?ちょっと楽しいかも」


「ハハッ、そうしてくれる?お願いしちゃおうかな?ハハッ・・ああ、それでね?これ、これ見て?ミシュリーナ」


俺はブラウスをめくって左胸の王の印を見せた。


「何これ?私の体よね?」


「『王の印』、ミシュリーナにはない?」


「ないわ。何?『王の印』って?違うバージョンでも出たのかな・・・・・・?」



「・・・・ないんだ『王の印』・・そう、そうなんだ・・・・」


良かった・・・・ミシュリーナ・・ないんだ・・・・。



「ねぇ?シルフィーヌ、これ、みんなにあるの?」


「あ、うん。主要キャラはみんなあるわ」


「うーん、ふーん・・・・・・・ん?あっ、『王の印』!あれ、ほらっ、あれよ!『セブンズ・ゲート』。亮様が主人公ロトの声やってたゲーム!」


「また古いの知ってるね?」


ちょっとまて?今ロトって言ったか?

どんなやつだった?古くて思い出せないぞ?


「確かロトとライバル王のバルティスに『王の印』があったわ。でも・・何で・・?二つのゲームの世界混ざってる?・・・ん~?何でかな・・・・?」


「俺のせいだわ」


「んっ?俺?」


「俺」


「誰?シルフィーヌ、誰?」


「前世、男で佐伯亮」


「えっ?」


俺はミシュリーナに壁ドンしてミシュリーナの耳許で囁いた。


「ねぇ?かわいいミシュリーナ?僕の大事なお姫様。大好きだよ。僕は永久に君の物。僕を愛してミシュリーナ」


色気タップリのレオリオの声でミシュリーナの髪を撫でながら。


「・・・・ウソ・・・・亮・・様?・・何で・・亮様?ウソウソ!きゃあ!亮様!亮様!」


思いっきりミシュリーナに抱き着かれた。

真っ赤な顔のミシュリーナはとてもかわいい。


「私、私、ずっとファンでした!嬉しい・・・でも?どうして?亮様、ここに居るんですか?信じられなーい!」


「信じられなーい!って俺のセリフ。ありがとう。ずっとファンでいてくれて」

俺はミシュリーナの顎を持ち上げる。


「・・あっ、もう、死んでもいいかも・・」

恍惚としたミシュリーナの顔が妙に色っぽい。


うーん、かわいい、キスしたいな。

キスしちゃおうかな?よし。


ミシュリーナのおでこにチュッとキスを落とした。


ミシュリーナの瞳が見開いたかと思うとフニャッと笑った。


その顔がとてもかわいくて二人で見つめ合った。



「おい。何してる?」


んっ?


後ろを振り向くとルカが立っていた。


「あんまりおそ・・・おい、シルフィーヌ・・・・お前・・」


「あっ、お兄様、お待たせしてしまって。ミシュリーナ?みんなに会って頂きたいの」


「あっ、は、はい」


変な顔をしてそれでも先にドアを出たルカに俺とミシュリーナも続く。


「大丈夫、ミシュリーナ、俺が守るから」

「うん。守ってね?亮様」


ミシュリーナが頬を染めて手を繋いでくる。凄くかわいい。




「お待たせ致しました。ミシュリーナ嬢をお連れしました」


隣の来賓室に入ると正面の長椅子の中央にレオリオが座り、左右にバルト、レクサスが腰掛けていた。

レクサスの横の一人掛けの椅子にルカも腰掛けた。


これで勢揃いだな。



「ミシュリーナにございます」

優雅に腰を折る綺麗な淑女の礼だ。


「遠路はるばる大義である」

レオリオが(ねぎら)う。


「はっ。もったいのうございます」

完璧だミシュリーナ。さすが元悪役令嬢。


レオリオがミシュリーナを見るがチラチラと俺を見ては怪訝(けげん)な顔をする。


何だ?ん?あ、そうか。


「報告が遅れました。ミシュリーナ嬢には王の印はございませんでした」


バルトもレクサスもミシュリーナではなく俺を見ている。


何なんだ?何で俺を見ているんだ?


レオリオがミシュリーナをもう1度ゆっくり見つめ直す。


「よい。ミシュリーナ嬢。足労であった」


何事もなくレオリオはあっさり退室を命じた。


「失礼致します」

「送って参ります」

退室するミシュリーナを追って俺も部屋を後にし馬車に向かう廊下で話かける。


「嫌な思いをさせて済まなかった。ミシュリーナ」

「いいえ。大丈夫よ。何もなかったもの。それよりゆっくり話がしたいです、亮様。明日、王都のリッツホテルでまだ一日いるから来て欲しいの」

「わかった。明日朝一番に伺うよ」

「待ってる」


俺はミシュリーナが馬車に乗り込むと急いで廊下を早足で戻る。

何故か途中まで迎えに来たルカに捕まる。

手を引かれ来賓室ではなく隣の控え室に押し込まれた。


「何?お兄様?」


「お前は少しここで待ってろ。迎えに来るから」

急いでルカが部屋を出ようとする。


「えっ?どうして?」


「お前・・分かってないのか?」

ルカが変な顔をする。そしてハッとして顔を伏せ頭を振る。


「どうしたの?お兄様?頭でも痛いの?」

俺は心配になってルカに駆け寄り顔を撫でようとした。


「止めろ、触るな」


ルカが俺の手を振り払った。


えっ?何で?何で?こんな事、ルカにされるの?俺?

やっと亮とミシュリーナの登場です。

今回も長くてすみません。

お読み頂きありがとうございました。

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