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『印』を持つ者についての件

今日は調子に乗って2話投稿!

よろしくお願いします!


「ルカの印に触れてみてくれないか?シルフィーヌ」


王都に着いて今、王宮にある俺の部屋に陛下、レオリオ、ルカと俺の4人だけでお互いの『王の印』の確認だ。

王宮内最奥部、王族だけのプライベートスペースにあるこの部屋は結婚の契約の際ペンダントと一緒に俺がもらい受けた一つだ。

しかし普段俺がこの部屋を使う事はほとんどない。

今日は陛下に印を確認してもらうのに着替える必要があったのと現王族しか入れないスペースにルカが特別に入っていいと許可を貰ったこともあって俺の部屋がいいだろうって必然的になった訳だ。


印のある場所が場所だけに凄く陛下に見せるのは抵抗があったが陛下はルカと俺の印を見てたいそう驚きそしてすごく喜び歓迎してくれた。


そして改めてお互いの印を確認するとみんなそれぞれ違うことが解った。

陛下はなんと右の足の裏にあるのだ。

大きさは陛下が一番小さいが一番ハッキリしていて二重丸になっているのだ。

陛下が言うにはレオリオが王妃のお腹に宿ったころから円が二重になり濃くなったとのことだった。

なんと『王の印』はその宿主の状況に応じて変化するみたいだ。また、印の模様は七代目カイザー王と似ているとのことだ。

ただ共鳴は今までしたことがないのと陛下の知り得た中でも共鳴しあうことは知らなかったらしい。

それでさっきのレオリオの言葉だ。


俺は頷きルカに目配せをするとルカの裸のたくましい右胸中央にある印にそっと触れた。


何も起こらない。

ルカも首を振って陛下を見る。レオリオが凄く安堵している。


「今度は僕に触って、シルフィーヌ」


俺は陛下の横のソファに腰掛けたままリボンを解き髪を掻き分けたレオリオの背後に周りそっと印に触れた。


俺の胸が波打ち始めるとレオリオの印がはっきりと浮かび上がって来た。

俺は立っていられなくなりその場でしゃがみこんだ。

ルカが心配して俺を抱き上げる。

俺は陛下に見えるように上着をそっとめくり浮かび上がった印を見せた。


「わからぬな。過去の文献を紐解き調べるか・・歴史学者と神官の意見も聞いてみよう」


陛下が苦しそうな俺を見て眉をひそめ、レオリオの顔を覗き込むと心配そうに頬に触れながら言った。

ルカも俺を抱き込む。

苦しくてルカの胸に顔を押し付けて耐えている俺の耳に声が聞こえる。


(触るな!俺のだ!触るな!)


何だ・・・・?レオリオの声か・・・・?

それと一緒に凄いイライラした感情が入り込んで来て圧倒される。


(シルフィーヌは俺のだ!触るな!)


な、なに?これ?


凄い電流のようだ!ビリビリする。


「レ、レオ!わかったから!落ち着いて。お兄様、降ろして!」


「!!」


レオリオが俺を見て目を見張る。


陛下とルカも突然発した俺の言葉に怪訝な顔をする。


「今、僕の考えた事に反応したのか!?シルフィーヌ?」


「えっ!?」


「レオリオは一言も発していない。何故そう言った?シルフィーヌ?」

陛下が(たず)ねる。


「あっ!・・・」

俺は恥ずかしくてルカの胸に顔を隠した。


「シルフィーヌ?」

ルカが俺を抱き上げたまま覗き込む。

「お兄様。降ろして下さい」

小さな声でルカに言うと陛下の前の先に掛けていた長椅子にそっと俺を降ろす。

しかし、苦し気にしている俺が心配なのか、ルカも横に腰掛け俺の腰に手を回し右手を握る。


その様子にまたレオリオのイライラした感情が流れて来る。


「陛下失礼いたしました。レオリオ王子の声が聞こえました。その・・王子の感情がビリビリと・・その・・怒ってるような感じが流れてくるのです」


「なんと・・・・・な、お前、ルカに焼きもちか?」


陛下がレオリオに優しい声で言った。


レオリオは小さな声で

「・・・・・・・・はい」

と俯いた。


「不思議じゃな?共鳴すると相手の考えや感情が分かるのか?誠に不思議な事よ」


陛下は赤い顔で下を向いているレオリオの頭を軽くポンポン叩いて言った。

顔には笑みがこぼれている。


「して、お前はシルフィーヌの感情はわかるのか?」


「僕の苛立ちの感情の方が強かったのでしょう。シルフィーヌの声も感情も感じません」

「私ももう王子の声は聞こえません」


「強い感情に左右される?」

ルカが呟く。


「ああ、馬車の中でシルフィーヌが怒ってさよならを言った時に『貴方の事なんて忘れる、この気持ちを割り切る、その方が楽だ』と声に出した?」


「ええっ!い、いえ、えっ??聞こえていた?私の心の声?」


「いや、あの時は君が本気なんだって凄く焦ったから君を引き留めるのに必死で全然気が付かなかったよ」


「ふぁ、いやぁ!!」


俺は恥ずかしくてルカの胸に抱きついた。


な、なんだこれ!!なんだ?なんなんだ!!これ!テレパシーみたいじゃないか!思ってる事、丸聞こえ!?


「やっぱり、強い感情の時に相手の考えが流れて来るみたいだね」

ルカがため息をついて俺の頭をポンポンした。


「厄介じゃな?暫くお互いの印に触れる事はならん。特にレオリオ、婚礼の儀が済むまでは決してシルフィーヌの印に触るでないぞ。解るな?この意味が」


陛下がレオリオに向かい強く言った。


「・・・・・・・」


「婚礼の儀までシルフィーヌに会わぬほうが良いか?」


ルカがレオリオを睨んでいた。


「承知致しました。父上。シルフィーヌを大切にしますからそれはお許し下さい」


「うむ。その言葉、決して忘れるでないぞ」


そして陛下はルカに向きなおると

「許せルカ」

と言い添えた。


「はい、陛下。レオリオ王子、大事な妹をよろしくお願い致します」 

「分かっている。ルカ。契約は決して違えない。シルフィーヌは僕が守って行く」


・・・・頭の偉い人ってちょっとした言葉の端々で何があったか想像つくんだね・・・・

俺、滅茶苦茶恥ずかしいわ!!


一旦状況整理をし、後は各自新しく知り得た事を必ず陛下に報告する事で情報をみんなで共有する約束をした。

そして陛下を見送り俺達は部屋を後にした。


レオリオはしっかり明日も登城する約束を俺にさせる事でどうにか王都のアントワート別館に帰してくれた。


「シルフィーヌ、おいで」

レオリオを見送るとルカが心配して俺を抱き上げようとする。

 

「もう苦しいのは和らぎましたから、大丈夫よ、お兄様。ありがとう」


王族のプライベートゾーンを抜ける廊下でそれでもルカは俺を心配して寄り添いながら歩く。


「・・・・あまり無茶はするな。早急にあの件も調べるから」


「・・・・お兄様、その件に関係があると思う事が・・バルトやレクサスにも『王の印』があると思うの・・そしてレオリオ王子の思い人のミシュリーナにもある可能性が」


「なんだって?それも5歳の時に見た事なのか?」


「いいえ。『王の印』は今日初めて知りました。でも色々推測してみたらその可能性が高いと思うの。バルトに手紙で聞いてみるわ、お兄様」


「・・・・分かった・・王子の思い人にもか・・シルフィーヌ・・・?」


「分かっているわお兄様。王子の思い人にこの印があるなら私は王子を諦めるわ。もし、そうね・・お父様が許して頂けるなら留学でもしようかな?・・・・」


ハハッ・・・・考えれば考える程可能性が凄く高いわ・・・・

もう、そうなったら違う国で違う道模索しよう。

切り替えなきゃな、俺。




「ルカ!シルフィーヌ!」


プライベートゾーンを抜けた王宮事務官室に向かう入口にお父様が立っていた。


俺は嬉しくて思わずお父様に駆け寄りその胸に飛び付いた。


「只今戻りました!お父様」


「ああ、お帰り。楽しかったかい?」 


「ええ、ええ、とっても!行かせてくれてありがとう、お父様」


「只今戻りました父上。とても有意義な旅でした。楽しかったです」


「そうか、ルカも。それは良かったよ」

お父様は俺を胸に抱き、ルカの頭を撫で、ニッコリ笑った。


「お父様、お父様、お土産いっぱいあるの!」

「分かった、分かったよ?シルフィーヌ。ルカも仕事が一段落したから一緒に帰ろうな」


「はい!」二人で返事した。




「お前達の胸の痣がな・・そんな物とは・・」


なぜ陛下と話を直々にしなければならなかったのかをルカがお父様に帰りの馬車で説明をしたのだ。


「『王の印』はご存じでしたか?」

ルカがお父様に訊ねる。


「ああ、それが次期王となる証だからな。しかし実物を見た事がある者は限られる。即位式で確認するのも神官のみだしな。だから私はお前達のそれがそんな物だとは思いもよらなかった。だが言われてみれば王族の誕生はとても難産なのだ。今の王妃も長く寝込まれてルカを出産した時のお母様とちょうど時季が同じだったから覚えているよ」


「お母様が?大変だったの?」

初めて聞いたよ?


「ああ、ルカの時は三ヶ月寝込み、シルフィーヌの時は生死をさまよったよ。正直、ルカが生まれたからもう、子供はいらないとお母様に言った程だよ。でもお母様は貴方の子供は沢山ほしいと言って聞かなかった。今ではルカとシルフィーヌを産んでくれて私はお母様にとても感謝しているけどな」


そう言ってお父様は目を細めて俺の頭を撫でた。


ふいに王家のペンダントを開けたり閉めたりして自分に言い聞かせていたお母様の姿を思いだした。


また、お父様やアントワート家一族の者達が俺が王妃になることにあまりいい顔をしない理由もこれではないのかと思った。


そしてレオリオが俺に必死な訳も。


続けてどうぞ。

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