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待ってくださいの件

今日も長くてすみませんです!よろしくお願いします!

「何で・・・?王宮なの」

ぐったりしている俺を胸に抱きかかえレオリオが服を着せてくれている。


「苦しいのだろう?僕も同じ状態だからわかるんだ。この苦しさは君と僕がお互いを求めている証拠だよ。繋がらなければ解消されないのでは?」


なっ、何言ってるんだよ!?何でそうなるんだよ?


「レオ、ちょっと待って?なぜそう考えるの?私の印は貴方に口づけられただけでこんなに苦しいのよ?待って、冷静に考えましょう?」


「ねぇ、シルフィーヌ?君の中でもそうかもしれないって思ってるんだろう?素直になって?僕に任せて」


「一時期の感情に流されないでレオ。お願い。避妊は無理なのでしょう?貴方の事は愛してる。運命の相手と言ってくれた事もとても嬉しい。もちろんあなたとの子供も欲しいわ。でも、でもね?ちゃんと貴方と結婚してみんなに祝福してもらってから貴方の子供を授かりたいの。ね?お願いレオ。こんなのは嫌」


「シルフィーヌはこんな時にも冷静なんだね?そんなに(はら)むのが嫌なの?」


「どうして?どうしてそんな意地悪言うの!?もう、放して!レオ!」


俺はレオリオの胸を思いっきり押して腕から逃れようとしたが軽々捕まえられまた抱き締められた。


「嫌っ!放してレオ!」


「放さないよ。シルフィーヌ。今ここで抱いてもいいんだよ?」


「嫌ったら嫌!何でそんなに意地悪なの!?・・・レオ、お願いよ?愛してるから無理矢理なんて嫌なの・・」


「意地悪なのはシルフィーヌじゃないか。こんなに共鳴し合ってるのに、こんなに近くにいて抱き締めているのに・・君は僕が欲しくないの?僕は君が欲しくてたまらないよ?どうして?君との子供が出来たら凄く嬉しい。僕の子供を産むのは君しかいないよ?ねぇ?僕の物になってよ?身も心も僕の物に」


「・・・・レオ・・・・?・・・何?」


何?何だ?いつものレオリオらしくない・・・どうしたんだ?


レオリオの顔を真っ直ぐ見上げた。


「レオ?ねぇ、レオ?どうしたの?いつもの貴方らしくないわ?どうして私を試すような事を言うの?私の心は貴方の物よ。どうしてそんな悲しい事を言うの?」


レオリオがじっと俺を見つめる。


「・・・・・君は・・・・君はどんなに僕が言葉で愛を紡いでも態度で示してもいつも僕との間に一線引いてるんだ。まるでいつでも僕から離れられるように」




「えっ?・・・・・・・・」



何だ・・・・俺・・・・・態度に出てたのか・・・・・?




「違う?違うのなら証明してよ?今すぐ僕を受け入れてよ」






「わかったわ」


「・・・・・・・・」


「貴方の気持ちは分かりました。私は今から帰ります。そして貴方との契約は破棄します。そう、貴方とは二度と会わないわ」


「・・・・・・・・・・」


「だから放してください」

「・・・・・・・・・・」

「もう、帰りますから。放して!」

「・・・・・・・・」


「レオ!!」

「そんな事・・・僕が許す訳ないだろう?」


「帰るわ!そんなレオなんか嫌いよ!私がどんなに貴方の事思ってるかわかってないのは貴方よ!貴方と初めて会った時から貴方を他の人に取られたらどうしよう、どうしようっていつもいつも不安で、苦しくて・・・・!もう、もういい!もういいの!今日限りでこんな気持ち忘れる!もう嫌なの!さようなら、レオリオ」


俺はもう一度渾身の力を込めてレオリオの胸を押す。


本当にそう思ったのだ。

ずっとそうだ。ずっとだ、この思いに悩まされて来たのだ。

そうだ、割り切ればいい。割り切ったら忘れられる。忘れたらきっと楽になる。


「許すものか!」


思い切り押しているのにビクともしない。逆に更に抱き込まれている。


どうすればいい?どうしたら解放してくれるんだ?この悩ましい現状から・・・・もう、うんざりなんだ・・・!


「レオの馬鹿!分らず屋!嫌いったら嫌い!」


「シルフィーヌ!」


「もう!嫌よ!放しなさい!レオリオ!!」


「・・・・わかった!わかったよ!わかったから。シルフィーヌ・・・ひどい事言って君を傷つけてすまない。だから・・だから許して欲しい。嫌いだなんて言わないで?愛してる、愛してるんだ、シルフィーヌ。君だけだから」


「知らない!そんな事言ってもレオなんかもう知らない!」


「お願いだシルフィーヌ。お願い。僕の話も聞いて。僕も君が他の人の所に行ったらどうしようってずっと思っていたんだ。僕の事も『王の印』の事も知れば君は僕を嫌いになるんじゃないかって不安だったのは僕だよ。それに君は目を離すとすぐ他の人を魅了して虜にしてしまう。他の奴に取られないように君と結婚の契約をしても心は落ち着かない。だって、君の心までは縛れないからさ?君がまた誰かを好きになっていなくなったらどうすればって考えてしまう。君は分かってないんだ。どんなに君を欲しがってる奴がいるか、自分はどんなに魅力的なのか」


「そんな事関係ないわ!私が欲しいのはずっとレオだけ!だから他の人が何を考えていても関係ないわ!」


「関係あるさ!バルトは?バルトの事はどう思ってる!?」


「えっ?・・・・バルト?バルトは友達・・・・?」


ふぇ?何で?何でここでバルト?何で?


えっ?


・・・・・・・・えっ?えっ?えっ?・・・・・・


俺、一気にテンション下がったわ。


俺の呆けた顔を見てレオリオの顔が真っ赤になる。


えっ?何?何なんだ、その反応? 

??・・あっ?

まさか・・・それって焼きもち・・・・・・か?

そうか・・・?前にバルトに嫉妬してたよね?あれ??またあれ?

まさか旅行中ずっと嫉妬してた?バルトにまた・・・・?


レオリオが顔を思いっきり反らし、腕の力を緩めた。

俺は両手を抜き、反らしたレオリオの顔に手を伸ばし頬に触れる。


「不安にさせてたの、私の方?」


レオリオの頬がビクつき腕から解放される。


「レオ?・・・・ねぇ・・レオ?私の旦那様はレオだけ。生涯、夫にしたいのはレオだけ。ねぇ、愛してるわ、愛してるの、レオ」


俺はレオリオの顔を両手で挟み自分に向かせる。


それでも目を合わせようとしない。


「どうしたら信じてくれるのかしら・・・そうね?そうよね?私も貴方を抱いてしまえば誰にも取られないかもって思った・・・そうね・・・わかったわ・・・・旦那様、承知致しました。貴方の妻にして下さい」


それでも何も言わないレオリオ。

あれ?上向いちゃった?


「・・・・・・・」


「・・・・やっぱり、帰った方がいいですね」


いきなりガバリと抱きつかれ、宣言された。


「抱く。王宮に着いたら」

「はい、承知致しました」


もう、いいや・・・

何か疲れたわ・・・まだ苦しいし・・・王宮に着くまで時間があるし・・・




しばらく俺はレオリオの胸に抱かれて大人しくしていた。

こんなに知っていたゲームの内容と違ってきてはどう対処すべきか正直解らなくなってきた。

何なんだ?『王の印』って?何の役に立つんだ。何で共鳴するんだ?

レオリオの言う通り(つがい)の証なのか?

誰に聞けばいい?

知っているのは王家だけ。創世記には出て来なかった。陛下、神官、宮中医、王家の歴史書、案外語り部などが知っているかもしれない。

それに多分俺の考えている事は間違ってはいないと思う。レオリオに話をして確かめなければ。


レオリオの心臓の鼓動と馬車の定期的な振動を感じていると少し落ち着いて来たようだ。

「レオ・・?」 

「ん?」

「ちょっと苦しいの楽になってきたわ。レオは大丈夫?」

「ああ、そうだね。少し落ち着いたみたいだね?疲れただろう?王宮に着くまで眠っていていいよ?」

「大丈夫みたい。さっきは嫌いなんて言ってごめんなさい。興奮していたみたいなの・・」

「んっ、わかってるよ。シルフィーヌ」

俺の頭にキスを一つ落とす。レオリオの胸に頭をすり付けたら撫でられる。

俺は猫か?


「『王の印』ね?レオに言わなければって思ってたの。小さな時から旦那様になる人には結婚式前に気味が悪くないか聞かなくちゃって思ってたの。レオが喜んでくれて私、救われたわ。ありがとう、レオ。本当に嬉しいわ」

「僕も僕を理解できるのは父上だけだと思っていたからシルフィーヌに印があった事は凄く嬉しいんだ。シルフィーヌが僕と一生一緒に居てくれたら僕には怖い物なんて何もないよ?」


「嬉しいわ・・そう言ってくれて。一緒に居たい・・・レオ」

「約束するよ。君と一緒に居る」


レオリオがキスをする。優しい甘いキスだ。


「あの、『王の印』は珍しいものなの?」

「僕と父上、後はこの国の歴代王と初代王妃しか僕は把握してないけど?」

「そう。あの・・・あのね?驚かないで聞いてほしいのですけど・・・」

「もう、シルフィーヌの別れ話以上は驚かないよ」

レオリオが俺の鼻を摘まんでクスッと笑った。


「いじわる・・・あのね、『王の印』ルカにもあるの」


「!?」


「ルカは右胸にあるの。だからアントワート家特有のものだと思ってた」

「・・・・・・驚いた」

「フフ、そうよね?私もレオのを見てみんな身体のどこかにあるモノなのかしら?って思ったもの」

「本当に?本当にルカにもあるのかい?」

「本当です。王都に着いたら見せて貰ってね?ルカも着いて来ていますから」


「・・・・・・シルフィーヌと共鳴する?」


「ううん。しない。今日みたいになったのは初めて。レオが初めて」

「・・・そう。安心した」


レオリオが抱きしめてキスをする。何度も角度を変えて愛し気にキスされる。


「ん、レオ、ん、ねぇ、話聞いて?」

「ん・・・・・わかった」

物足りなげに唇を離す。


「『王の印』の情報、レオが知ってる事、私とルカに教えてください。私達以外にもこの印がある人がいると思うの。今私が分かるのはルカと私ではある位置、大きさ、模様が違います。ルカより私、私よりレオの方が一回り?くらい?大きいと思う。模様って言っていいかどうかだけれどもこれも全てレオと私が違うようにルカとは違います。基本は似てそうなんですけどね?」

「僕と父上も違うよ。そして歴代王もそれぞれだ。僕のは初代王アーサーと似ているって言ったよね?」

「ええ、でもそんな古い文献があるんですか?」

「ある。シルフィーヌの印が初代王の妻アイシスと同じだったらいいな」

「私も見たいです。その文献」

「帰って父上に全てを報告して許可を貰おう。父上はきっと喜んで歓迎してくれるよ」

「はい。お願いします」


「抱いてる暇はなさそうだな・・・まあ、苦しいの楽になったからまあ、いいかな?」

「・・・・・・そうですね・・・」

「何かホッとしてるね?」


ああ、してるよ。思いっきりしてるよ!けど、そう言ったらまたお前ぶり返すだろ!?


「えっ・・・レオに任せます・・」

「じゃあ、替わりにお願い一つ聞いて欲しいんだけど」

「はい?」


何だよ?もう勘弁してくれよ。


「旦那様ってもう一回言って」


「・・・・・・・・・」


レオリオお前もか。

前世男だった俺だから気持ちは分かる。

男ってさ、いつの時代でもこういうの好きなんだよね。

猫耳着けてフリルひらひらのミニスカートのメイドスタイルで

「お帰りなさいませ、旦那様」ってか?

ハイハイ、来年出産より全然ましだわ。


じゃあ、下から首傾げて両脇で胸寄せてお願いのポーズでいいんだよな?


「旦那様?」



「うわっ!かわい過ぎる!」


「わぁぁ!レオ!や!」


思いっきり押し倒されたわ。









お読み頂きありがとうございました。

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