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ただいま、そしてお願いの件

今日もよろしくお願いします!

今アントワート領を経由して王都に向かう王家の馬車の中、俺の膝の上にはレオリオが静かな寝息を立てて熟睡している。


明後日には登城してお土産を渡すつもりだったのにアントワート本館に着いたら王家の馬車が停まっていたので驚いた。


出迎えたお母様とレオリオの護衛のマークスが言うにはレオリオが先程到着したのだが疲れているようで馬車で休んだままだそうだ。俺を今日迎えに来る為に随分前倒しで公務をこなしたらしい。俺が着いたら起こすようにと言われたとの事だったが起こさずお母様の許可を取りそのまま王都までレオリオを送る事にした。俺は馬車に乗り込むと分厚い帳簿を枕代わりにして寝ているレオリオの頭を持ち上げ俺の膝の上にそっと乗せたのだ。


凄いな?爆睡だ・・・全然、気付かないぞ?

何やってるんだこいつ?明後日には会えるのに。

俺だって長旅で疲れてるんだぞ?

せっかく自宅で大きな声で熊さん歌いながらお風呂に入って自分のベットでぐっすり眠るんだって思ってたのに何で迎えに来るかな・・・・


嬉しいけどな・・・・


レオリオの顔を見つめる。


綺麗な顔だな・・・・


バルトとはまた違う、俺が好きな顔だ。

そうなんだ。俺はレオリオのこのサラサラな髪も尖った耳も細い眉も高い鼻も薄い唇も綺麗なうなじも長い指先も抱き寄せるこの胸も何もかも好きだから・・・誰にも渡したくないんだ・・・・


やっぱり、ルカの言う通りなんだろう。

時間が経てば経つほどこのレオリオに対する俺の執着心は増すのだろう。


5年後捨てられた俺は平常心でこの国に留まれるのだろうか?

なんて見通しが甘いんだ・・・・・!

そんなの無理に決まってるよ!無理だよそんなの・・・・

俺、そんなに強くない、強くないよ・・・


レオリオの顔に涙がポタリと落ちた。


「あっ・・・」


そっと親指で(ぬぐ)う。


「・・・・・っ・・・・んっ・・?シルフィーヌ?・・・何で泣いてる・・・・の?」

レオリオが目をこする。


「ただいま。レオ、迎えに来てくれたのね?早く会えたのが嬉しくて」

俺は急いで笑顔を作りレオリオの頭を撫でた。


「そう・・?お帰り。僕こそ眠ってしまって。君を出迎えて驚かせたかったのに・・・君の膝枕?僕の方が驚いてるんだけど?」


「忙しいのに来てくれたのでしょう?今、王都に向かっていますからもう少し眠っていても大丈夫ですよ?」


「じゃあ、もうしばらくこのままでもいい?」


「フフッ、あのね、足、痺れちゃって立てないから。このままがいいかな?」


ちょっと照れ隠しだ。

我ながらレオリオだとすぐ顔が赤くなってしまうな・・・・


レオリオが俺の顔に右手を伸ばし俺の涙が流れた跡を拭う。

そして親指で俺の唇をなぞる。


「楽しかったかい?」

「ええ、とても。行かせてくれてありがとう。レオ」

「それは良かったよ。こちらこそ、手紙ありがとう。それを読んだら君に会いたくて来てしまったんだ。ルカにいつも言われてるのにね?シルフィーヌを信じて待てって・・また、叱られるな」

「お兄様が?そう・・・でも私も早く会えて嬉しいわ」


レオリオの手に自分の手を重ねた。


「・・・・・本当はね?この間の事で嫌われてないだろうかって不安だった僕に君が手紙で『大好きな旦那様』って書いてくれたから・・嬉しくて。早く君の声で言って欲しかったんだ」


この間?・・・・この間って・・・?

ああ!処女喪失未遂事件!

あ~、忘れてたわ!俺、結構、能天気・・・・

思い出したら恥ずかしいだろ?


ちょっと顔反らした。


「・・・・あの時は、その・・・い、いえ、あれは私が悪かったの。レオ凄く我慢してくれてたのに私、軽率だったわ。これからは気をつけます・・・ごめんなさい」


恥ずかしい、恥ずかしい、もう、何の罰ゲーだよ、もう!


「・・・・・いや、あの・・・凄く大歓迎だったんだけど?」


おおい!!何調子こいてるんだ、レオリオ!

ダメだろ?ちょっと抗議してやる!


「やだ、レオ?やだ!もう!ダメだからね?契約違反だからね?恥かしいし・・・」


ダメだ、顔凄く熱いし、恥ずかしくて声小っさ!俺。


「ん、そうだね。そうだよね・・・でも、君は今も僕と二人きりでこんなことをするから」


レオリオが俺の膝を撫でる。


今日は簡易なベージュの膝下のフレアスカートに黒の長ブーツだから膝小僧が出ているのだ。


ちなみに上は白のⅤネックブラウスで胸に大きなシルクのスカーフでリボンにしている。その上にベージュの革ベストを重ねているが窮屈なコルセットなどは着用せず軽い絹のシャツだけだ。

旅の途中は何かあった時に馬に乗れるように簡易な姿で移動していたのだ。


俺の膝小僧が生足なのがいいのかレオリオの手が遠慮なく撫でまわす。


こらッ!お前は酔っ払いのオヤジか?


「膝枕?馬車が動くのに硬い帳簿を枕にしているのですもの?首を痛めてしまうわ。それにレオ、くすぐったいから止めて」


「何を?」


「もう・・!わかってるくせに。そんな事するならもう、起きて下さい!」

レオリオの頭を持ち上げた。


本当にこいつは!


「じゃあ・・・・」

レオリオは素早く起き上がる。

すると俺の膝の下と背中に素早く手を回すと俺を軽々持ち上げレオリオの膝の上に横抱きにした。


「えっ!?」


何!何が起こった?!


「足、痺れちゃたんだよねぇ?シルフィーヌ?」

「えっ!やだ、今、止めてって言いましたよ?」


「ふーん、いいの?この体勢でそんな事、聞けって?痺れた足に触られるのは辛いだろうなあ?」


あ、そう来るか!


「ひ、卑怯者・・・っ」

俺は赤い顔で小さな声で口をパクパクさせた。


「何?聞こえないな~?シルフィーヌ、足触られるのとキスどっちがいい?フフフ」


顔をズイッと俺に寄せ不敵に笑うレオリオ。


何でその二択なんだよ!


「もう!」


俺はその寄せた顔を両手で挟み自分の唇をレオリオの唇に押し付けた。 


レオリオが俺をきつく抱き締めそれに応える。


だんだん深いキスへと変わって行くと身体に力が入らなくなる。


「んっ、・・・レオ、んっ、ダメ・・・・・」

「んっ・・・・わかってるよ・・・・・キスだけだ」


そう言いながら深いキスを繰り返され抵抗できない。 


「シルフィーヌ、愛してるよ・・・・・君だけだ」

「んっ・・・・私も・・・レオ」


やっと唇を離してくれた。俺、レオリオの胸でくったりだわ。


「さっきの話だけど」

「はい?」

えっと、どの話?


「こうして君が側にいてくれるだけでいいんだ。君を失いたくない。だからもう、その・・結婚式が終わるまで自粛するよ」


ちょっと頬を初め照れながらレオリオが言う。


「・・・・・・」


「信じられない?」

「いえ、そうじゃないの。その、嬉しいの・・・ありがとう。大切に思ってくれて」


恥ずかしいのと嬉しいのとその言葉に応えられる自分がいるかどうかわからなくなってそれを誤魔化す為に俺はレオリオの胸に顔を押し付けた。

レオリオがそんな俺の頭に一つキスを落とす。

抱き締められているのにこんなに沢山の言葉を貰ってるのに俺の心はいつも不安だ。

いっその事、全て暴露して私を捨てないでって泣いてすがればいいんだろうか?


「・・・・レオ?」


「何?」


レオリオを見上げる。

凄く優しい笑顔がそこにある。


「・・・・・重いでしょう?降ろして下さい」


ダメだ、そんな事言えるわけないや。


「ダメ、王都までこのまま」


「・・・レオの痺れた足、触っちゃおうかな?」

「先に触っていいんだ?シルフィーヌの痺れた足」


レオリオの手が怪しく動き出した。


「もうっ!ダメだから。降ろして下さい。恥ずかしいのです。お願いよ、レオ・・・・」


「二人きりになる事そうそうないから、このままでいさせて?」


ダメだよ。ちょっと離れてくれなきゃ、ずっと一緒にいられるかもって期待してしまうだろ?

甘えてしまいそうだよ・・・・本当は凄く甘えたい・・俺もずっとこのままがいい。

どうすればいい?

どうすればレオリオと離れないで済む?

レオリオを取られないようにするのは?・・・


ああ、まただ、また、こんな事ばかり考える・・・


もう、このままレオリオを抱いてしまいたい・・・抱いてしまえば取られない?

・・・・抱いてしまおうか?本当に・・・・



俺は顔を持ち上げレオリオの唇に自分から口づける。


レオリオの綺麗な眉が眉間に寄り、困ったように顔をしかめた。


「シルフィーヌ、その顔はダメだよ・・・契約違反になってしまうから」


そう言いながらもレオリオの瞳には欲情が浮かび上がる。


俺はわざとレオリオを誘うように

「レオ・・・」

と鼻に抜ける色気を含んだ声を出した。


途端にレオリオがきつく俺を掻き抱くと唇を貪られようなキスをして口の中が蹂躙される。

馬車の座席に押し倒され耳を甘噛みされると口から吐息が漏れる。

凄く感じてしまい、レオリオの頭を抱き締めた。

耳から首を愛しげにレオリオの唇が伝い胸のスカーフが(ほど)かれると恥ずかしくて唇を嚙みしめた。レオリオの左手がスカートをたくし上げ、右手は乱暴にベストのボタンを外すとブラウスのボタンを外し始める。

また噛みしめた唇に無理矢理舌を押し込まれる。

あまりの激しさに声が自分の口から漏れて身体がびくつかせた。

レオリオはその声に敏感に反応し、右胸を掴む。レオリオの大きな手で胸を撫で回されると気持ち良くてそれが恥ずかしくて目を開けれない。胸に顔を埋められるとチクリと痛みが走った。


「んっ・・な・・に・・あっ・・?」


胸にキスしてる?


「シルフィーヌ、愛してる。愛してるよ?凄く。僕のものだ。誰にも渡さない。君は僕のものだ」


「・・レ・オ・・?どうしたの?・・・・んッ!!」


痛い!!噛んだっ?


レオリオが止まった。

そして俺を抱き起こし自分の胸に俺を抱き締める。


「・・・・・レ・・オ・・?」


「すまない、シルフィーヌ。大事にするって言ったのに・・・・また、約束破るところだった。本当に悪かった。痛かっただろう?」


「・・・・・・レオ・・」 


「そんなかわいい声で呼ばないで。まだ気持ちが収まらないから」


「・・・・・・いいの・・に・・・・」

恥ずかしくて小さな声だが何とか絞り出した。 


「・・・・・・・・」

 

「・・・・レオ・・?」

顔を見上げて言った。


「・・・・・・・・ダメだよ。・・・ダメだから。止めれなくなるから・・・・ね?」 


「・・・・・・・・」


・・・・そうだよな・・・・来年出産とかなったらやっぱり困るし・・・・やっぱり先に話し合うのがよさそうだよな。











レオリオ王子おあずけ3です!

今日も長文読んで頂きありがとうございます。

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