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ユリアの件

今日もよろしくお願いします。

やって来ました!シュナイダー領!

高い山脈が連なりとても大きな湖が美しい。まるでアルプス、レマン湖と言えばわかるかな。

本当に清々しいわ。ヤッホーッ!!って叫んでいいだろうか!


高地にもかかわらず城下町に続く道路はきちんと石畳が整備されて町を取り囲むとても大きな外壁が連なって町を囲んでいる。

まるで要塞のようだ。

町の中も活気がありとても賑やかで区画整理もきちんとされ店舗が建ち並ぶ様は王都を縮小したようだ。

シュナイダー領がいかに繁栄しているか、シュナイダー伯爵家が統治に優れているかが垣間見れる。

町の中央道を走る馬車の行く先には大きな城が見える。


おお、本当に城だ!シュナイダー伯爵家は城に住んでるようだ。

凄いな。アントワート家は舘だから本当に凄いわ!


「シルフィーヌ、少し落ち着け」 

「だってお兄様、城!城!凄い!ほらほら、吊り橋!お城に入るのに吊り橋って!キャー!高い!凄い!格好いい!まるでおとぎ話の世界みたい!」

「危ないから体を乗り出すな」

「キャー!高い!高い!」

「・・・・・・・・」

「あ、バルト!お兄様、見て!バルト!ヤッホーッ!!バルト!!」

俺は嬉しくて身を乗り出して手をブンブン降った。


あ、横に女の子がいる!妹かな?バルトの妹だな!絶対!


「はしたないぞ。シルフィーヌ。おい!聞こえないふりするな」


うるさいなー俺は今、猛烈に感動しているんだ!

もう、もう、今すぐお友達になりたい!


馬車が城の正面ゲートに止まると待っていたバルトが俺の手を引いて下ろしてくれた。


「お久しぶりでございます。アントワート嬢。ようこそ、シュナイダー城へ」


「お久しゅうございます。バルト様。お招きありがとうございます」


一応、紳士淑女の礼を交わし、


「来ちゃったよ~!バルト!」


「ああ、待ってたよ!」


お互い手を上げてバチんっ!と手を叩き笑い合う。


次に馬車から降りて来たルカにもバルトは嬉しそうに笑い、


「ようこそシュナイダー城へ。久しぶりだな?ルカ。よく来たな」


「ああ、久しぶりだなバルト。妹ともどもよろしく頼む」


とお互い友達同志の挨拶だ。


そう、この二人、初めて対決した時から凄く仲がいいらしい。


知らなかった自分が悔しい。


早く紹介して欲しかったわ、ルカ。 



「お、お兄様・・・!」


大きなバルトの後ろから可愛らしい声がする。


バルトの服の裾を引っ張りモジモジして俺らを見上げるこの子は間違いなくバルトの妹だわ。


赤い癖のある腰までの髪にくっきりとした二重の黒曜石の瞳、可愛いちょこんとした鼻にピンクの唇。


すごくかわいいーッ!!


お人形さんのようだ。サイズも普通の11歳だわ。


「ああ、俺の妹のユリアだ」


「初めまして。ルカ様、シルフィーヌ様。ユリアと申します。シュナイダー城にようこそ」


ちょこんと淑女の礼をするとニコッと笑った。


かわいい!かわいい!


「初めまして。ユリア嬢、よろしく」

「初めまして。ユリア様、お世話になります」


俺とルカが二人で挨拶をするとユリアの頬が赤くなった。


ははあ、ルカか。まあ、ルカを見ると大概の人はこの反応だな。いいな、イケメン。


「シルフィーヌ様!私ともお友達になって下さい。お願いいたします!」


いきなり、ユリアが俺の方に乗り出したかと思うと胸で両手を併せてお願いのポーズで俺に言った。


えっ!?それ、俺のセリフ!


「え!私こそお願いします!」


俺は右手を差し出した。


「う、嬉しい・・・!ロト様が私のお友達だなんて・・」


両手で遠慮がちにその右手を包まれる。


・・・・・またロト、なぜロト、いまだにロト・・・・

はぁぁっ、まあ、いいか?俺もとっても嬉しいからな!!


「私もとっても嬉しいわ。ユリアって呼んでいい?」 


「もちろんです!シルフィーヌ様!」


かわいい顔で俺を見上げ真剣な顔で返事をするユリアがすごくかわいい。


「シルフィーヌでいいよ。よろしくね?ユリア」


俺、絶対にやけてるわ。


あれ?ユリア真っ赤だ。俺だったのか?



城内に入るとエントランスホールでシュナイダー伯爵夫人に迎えられ、(うやうや)しくもてなされる。


シュナイダー伯爵夫人はキツイ顔立ちだが豊かな黒髪で茶色の瞳の美しい人だ。

前世日本人の俺としては凄く好感が持てる。

本来なら出迎えるはずのシュナイダー伯爵の方が後に着くこと、また、長男が辺境伯の下で修行中との事で本日は不在だと言う事を詫びられた。ちょっと残念だな。バルトの兄上も凄く男前で強いと聞いていたので手合わせをお願いしたかったのだ。


今日はこれから舞踏会が開かれるのでこの後、沢山の来客がある予定なのに俺とルカは王族待遇らしく特別室に誰とも会わずに案内された。




この旅行には侍女のリタが俺の世話とこのドレスアップの為について来てくれたので俺は大助かりだ。

それにリタだってカレブと一緒だからいいんじゃないかな?

二人は知らないと思っているけどお互い思い合っているのは側にいる皆には丸わかりなのだ。


早く告白しろ!カレブ!


「お嬢様、とても綺麗でございますわ。さすが奥様のお見立てですわ」


ほうっ、とリタがため息を吐くとシュナイダー家の手伝いの侍女達も同じようにうっとりしていた。


ワーオ・・・・大鏡に映る俺はなかなかの美女じゃない?


馬子にも衣裳か、リタのメイクアップの腕の凄さか?はたまた俺のメリハリボディのおかげか。

あどけない顔のシルフィーヌだが胸元の谷間のせいか、アップにした髪型のせいか、11歳とは思えない色気だ。

おお、ピンクのプルプル唇の半開きはあぶないな。

俺の瞳の色に合わせた青のドレスは裾が濃い紺色で胸元に上がってくるほど淡い青になっていくグラデーションで腰の後ろに大きな白のレースのリボンがあり、その効果は腰を細く強調し、お尻も綺麗に包み込んでいる。

しかし前の腹部はスレンダーになっていてお腹が出ていては着こなせない一着だ。


ありがとう、悪役令嬢ボディ、ありがとう、お母様。

俺、イケてるかも!!


しかし、俺、成長ってやっぱり早くない?

11歳ってこんなに胸あるのか?

良く我慢してるな、レオリオの奴。


あ!この間無理だったな。



「ありがとう。綺麗にしてくれて」


リタと侍女たちに礼を言う。


「ルカ様がお迎えに上がりました」

今日はルカがエスコートしてくれる。


「そろそろ時間だ。シルフィーヌ。ああ、とてもよく似合っているな」

ルカが褒めてくれた。嬉しい。


「お兄様もとても素敵です」


「お前、そんな顔はレオリオ王子の前だけでしろ。他の男の前ではするな」


うん?唇半開きじゃなかったけど?どんな顔してんの?

前にもカレブに煽ってるって言われたけど正直わかんないのだ。


「押し倒したくなる?」


「ククッ、分かっているならするな。まあ、お前なら押し倒した相手をぶっ飛ばすだろうがな?気の毒に」


ルカが笑いながら腕を差し出した。


「ふーん、気をつけます」

その腕に手を添えて俺は返事した。


ちょっとバルトにしてみようかな?って悪戯心が芽生えたがやめておく。だって俺はヒロインじゃないからな。

俺は悪役令嬢でレオリオ一筋だからな。


俺達は主賓なので最後に名前を呼ばれた。


入場するとどよめきが起きた。


やめろよ、その大道芸人扱いは!


それにしても凄い人だな?城内は本当にたくさんの客であふれていた。国内外の上層貴族が占めていないか?凄いな、シュナイダー伯爵家って。


シュナイダー夫人が口元を扇子で押え、俺に囁く。


「あなた様とルカ様にぜひ、ご挨拶をとこの盛況ぶりでございますのよ?どうぞお付き合いのほどを」


夫人の横のシュナイダー伯爵もニッコリと目を細める。


脅しか?脅しなのか?何で俺にプレッシャーを与える。


「そうなのですか?ルカも(わたくし)も光栄ですわ。ホホホ・・・」


上手く笑えないわ!


つ、疲れる。おっさん、おばさんの相手かよ。王妃教育のお陰である程度の貴族の情報は頭に入ってるし、ルカも横にいてくれるからどうにかなりそうだけど。頑張れ、俺!






が、頑張ったよ、俺!

頭フル回転で対応したわ。凄いな王族、こんな事サラリとやってのけてるなんて。次から次へとキリがないわ。

ダンスタイムとなってようやく切り上げる事が出来たけど。



演奏が始まると主賓なので俺とルカが中央に躍り出る。


ダンスは好きだ。身体を動かすことは俺は大好きだ。


アップテンポのかなり上級者向けの曲だがルカとは踊り慣れてるし、ルカはリードが上手いので無理なく華麗にこなせているはずだ。


「お兄様、楽しい!」


「お前、余裕だな?さっき最後の方は眉間にシワが寄ってたくせに」


ルカも余裕でステップを踏みながら笑う。


「えっ、見間違えてますよ。余裕、余裕!いやだなーフフッ」


涼しい顔で完璧にこなすルカの方がどうなんだ?


「まあ、腹黒い野心家ばかりの相手としては及第点とまではいかないがよくやったぞ」


俺はクルリと回りドレスを華麗に捌く。


「お褒めに与り光栄でございますわ、宰相様」

俺はニヤリと笑った。


「その顔はよせ。悪い事を考えてるのが丸わかりだ」


あれ、この顔もダメなのか?


曲が終わると拍手喝采だった。


やっぱり大道芸人扱い?




今回からは王子がバルトにバトンタッチ!バルト、気に入ってもらえるかな?次回はもう一人攻略対象者出てきます。

読んでいただきありがとうございました!

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