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呑み込むもの2 の件

お久しぶりです!

今日もよろしくお願いいたします!

「本当に冗談だと言ってくれッ、ソロモンッ!あんな奴らを四人も正気に戻すなんてどうすりゃいいんだよッ?!」


アレンが荒れる高波に見え隠れしながらも海面に突っ立っているハルク・バルト・レオリオを指さし叫ぶ。


「正気に戻す必要なぞない。あやつらはサンタマリスに喰われるからな」


いきなりのこのソロモンの言葉には今度はルカが声を荒げた。


「約束が違うッ!ソロモンッ!シルフィーヌは助けてくれると!」

「そうだッ!ソロモン!お前がその気なら俺達にも覚悟があるッ!」

アレンは素早く足下に横たわるディーンを掴み腕の中に抱えるとソロモンを威嚇する。


「早とちりをするな。シルフィーヌは必ず助ける。喰われるのはシルフィーヌの中に存在するミトラの魂だけだ。ハルクも同様、ヴァルナの魂だけだ」


「ミトラとヴァルナの魂だけだって?」

「アスラの魂だけって?どう言う」


ウワアァアアァァアアアアアァ―――――――――オオオォォオンンンンン!!!


その三人の言い争う声をかき消すようにサンタマリスがいっそう大きな唸りをあげた。


咄嗟に三人はまた来るかも知れない高波と風圧を予測して身構える。

ソロモンは急いでヘイワーズを拾い上げ、アレンはその胸にディーンをしっかりと抱え込み、ルカはそんな二人の上着を掴み踏ん張る。


だが、そんな三人が見上げた正面の海には先程までの波とは比べものにならない程、大きく、高く、うねる高波があった。


「「!!」」


ソロモンは素早くヘイワーズをルカに押し付けるとその高波を押し返すように真っ直ぐ両手をかざす。

高波に結界を張り時間を止めようとしたのだ。


ズキリッ!


いきなりソロモンの頭に激しい痛みが走る。


「ッゥう!?」


それは波打つように更に激しくなっていく。

その痛みでソロモンの目の前は二重にぼやけ結界を張る支点を定める事が出来ない。


先程、頭をぶつけた後遺症が今頃出て来たのだ。


「こんな時に・・!」


頭を抱えよろけるソロモンの様子にアレンとルカが急いで肩を掴む。

「来いッ!ソロモンッ!」

「早くッ!神殿にッ!」


だが高波の勢いはその背後にあるサンタマリスを完全に覆い隠し、波飛沫(なみしぶき)と共にまた大きくうねると高く、高く、さらに盛り上り、ソロモン達が逃げ込もうとするその神殿ごと軽く呑み込む大きさでこちらに迫り来ていた。


(僕としたことがッ!万事休すなのかッ!)



バシャンッ!!


唐突に目の前の海面が勢いよく水飛沫を上げた。


海の中から何かが飛び出して来たのだ。


それは三人の目の前の空中で背に生やした翼を一瞬で広げた。


「ヴァルナかッ!」

「「!」」 


そこにはとても美しい黒い翼を羽ばたかせ高波と対峙して空に浮かぶハルクの姿があった。


「下がってろ、黒髪のディーヴァ!」


突然のハルクの出現に驚きで声が出ないアレン、ルカの目の前でヴァルナと化したハルクは翼に生えた真っ黒な羽根を一つ一つをふるふると躍動させる。

するとその間からブワッと黒い羽虫が湧き出すように小さな闇の粒が大量にヴァルナの周りに現れた。

そしてヴァルナが大きく翼を一振り羽ばたかせると高波目掛け闇の粒が舞うと一瞬で黒い竜巻と化す。


「「「!!」」」


それは海面に落ちると大量の海水を巻き上げ、横幅を増し、更に高くと夜空にも伸び揚がりながら迫り来る高波に凄い速度で向かって行く。



「アレンッ!伏せろッ!」


「!、ああッ!」


呆然とその様子を眺めていたアレンにヴァルナの命令が飛ぶ。

唐突にハルクの声で名を呼ばれ、慌てたアレンだが身体は条件反射で動いていた。

同じようにその場で見入って固まっているソロモン、ルカを急いで地面に抑え込む。


「伏せろッ!伏せるんだッ!」


今、まさに黒い竜巻と高波が衝突する瞬間、いよいよ来る衝撃に三人はディーン、ヘイワーズを庇い地べたに這いつくばる。


が、


「・・・?」


予測していた爆発的な風圧や大波がやって来ない。

それどころか何の音も一瞬で聞こえなくなった。


忽然(こつぜん)と辺りは静まり返ったのだ。



「「「??」」」


その不気味な静寂に三人は風圧で耳がやられたのかと地面に伏せた顔を恐る恐る上げる。

そして三人の見上げた目の前に飛び散った水飛沫が跳ねているのが見えた。


「「「!?」」」


しかし、それは動かず空中に浮かび止まっているのだ。


すると音もせず黒く染まり今度は背後の景色の色と同化すると水飛沫は消え去ったのだ。


「「「・・・!!!」」」」


そして水飛沫が消え去ったその背後の景色を見てまた三人は眼を見張る。


そこには荒々しく自転していた水球、サンタマリスがおとなしく静止しているのが見えたからだ。


これにはソロモンが素早く立ち上がる。

それを見たアレン、ルカも急いで立ち上がると辺りの光景を見渡し息を呑む。


迫って来ていた巨大な高波は自分達がいる神殿の周りだけを除き覆い被さるように地面に到達していたのだ。だが先程の水飛沫のようにその波は静止していて神殿の周りから徐々に黒く染まって行くと先ほどの波飛沫のように消え去って行く。


「・・・ここだけが・・・高波を被らずにすんだ・・・?」

ルカが信じられないと言うような声で呟く。

「あ、ああ、ルカ・・・って言うか、黒い竜巻が高波を二分した?神殿を避ける為に・・・?」

アレンもあちこちを見渡してどうにか今の状況を把握しようと頭を整理する。


「いや。ヴァルナが高波に自分の技をぶつけてその威力を分散させて取り込んでるようだな」

ソロモンが真っ直ぐサンタマリスを見上げて答えた。

「分散して?」

「取り込んでる?」

「ああ。古神(いにしえがみ)とは思った以上に厄介な奴らだな?魂の器がデカすぎる」

「『魂の器』?」

「デカい?」

「ああ。ひょっとするとヤガーの魔核より容量が大きいかもな?だからあの状況だとすると本当に厄介だ」

目の前にあるサンタマリスの状況に眼を向けようとしないルカとアレンにソロモンが注意を促す。

「「あの・・・状況・・・」」

「ああ、あの状況だ」

ソロモンは真っ直ぐ右手を上げると正面に月のように静かに輝くサンタマリスを指さす。


その巨大なサンタマリスの表面にはヤガーと翼を広げた四人の姿が浮かんでいる。


特に白い大きな翼を広げ天使のように浮かぶシルフィーヌは黄金に輝いているので一際(ひときわ)よく見える。

そのシルフィーヌの両手には金色に輝く綱のようなものが握られている。

さらにその綱の片方はサンタマリスの中心で浮かんでいるヤガーの首に巻き付いているのだ。


その事にあまり触れたくなかったルカとアレンは首を軽く振ると頭を抱えた。


だが、意を決したようにルカが顔を上げると

「あのように元気なシルフィーヌを見れた事は私としてはとても嬉しい・・・だが、ソロモン王、どうか知恵をお与え下さい。ああなったシルフィーヌを、いや、ミトラをどうやって捕まえればいいでしょう?私はミトラごと捕まえたいのです。ミトラの魂があのシルフィーヌの中に別に存在しているとしても元からシルフィーヌの中にあった魂なのでしょう?なら、どっちもシルフィーヌなのです。亮がシルフィーヌであるように。私はシルフィーヌを元の妹の笑顔を取り戻したいだけなんだ」

そうソロモンに言った。

「あ、ああ、ソロモン。俺からもお願いだ。ハルクもヴァルナごと捕まえたい。なぜならヴァルナはさっき高波から俺達を助けただろう?」

「結果、そうなっただけだ」

「違う。あいつは、ヴァルナは、俺達に伏せるように言った。あいつの中にはハルクが、自分より弱いモノを守るハルクの精神がちゃんとあるんだよ」

「そうだろうか?だが今、サンタマリスのエネルギーを完全に取り込んだヤガーをミトラが抑えている状況を僕は見過ごせない。先ほど言ったように古神(いにしえがみ)の『魂の器』がヤガーの魔核の容量を超えているのならばそんな事は言ってはいられない。リョウ君かミトラを選ばなければ確実に我々は捕食される。それにレオリオ王子とバルトの『ウロボロス』も見ての通り復活しているしな」

「『ウロボロス』が復活している・・・?それがアスラと関係が?」

「ああ、ルカ。『ウロボロス』自体が古神(いにしえがみ)の力だ。先日のサンタクラークの発動でリョウ君は二人の『印』を焼いてしまったと泣いていた。それは古神(いにしえがみ)の魂がサンタクラークに取り込まれ、抜け落ちたのだと僕は思っていたのだが・・・どうやら違ったようだ」

「シルフィーヌがバルトとレオリオの『印』を焼いただって・・・?確かにあの時俺は足下から迫りくるサンタクラークが徐々に萎んで姿を消し去った後、気を失ったあいつらの『印』を確認した。バルトとレオリオの『印』は黒く変わってはいたが・・・?」

「ああ。私も確認した。真っ黒に塗りつぶされていた」

「真っ黒に塗りつぶされていただって?そんな事例は知らない・・・?まさか・・・焼いたのではなくて開いたのか・・・?『ウロボロス』の『無限ループ』の(ゲート)が・・・?」


「あ!」

「何だ?アレン」

「ヴァルナ!いや、アスラは人も喰うのか!ソロモンッ!」

「人?なぜだ?」

「見ろッ!アイリーン!アイリーンをヴァルナが抱き上げてる!」

「って、レクサスもだ!バルトが持ち上げてるッ!」

その二人の言葉にソロモンは相変わらず頭痛でぶれる視覚に悩まされながらヤガーの背を睨む。

そこにはアイリーンを両腕で抱き上げたヴァルナとレクサスを抱き上げるバルトが見えた。


「ああ、レクサスは喰われない。安心しろ、ルカ。アスラにとって子供は解放(リリース)だと言っていただろう?」

「あ、ああ・・・あの時、そう聞こえたような・・・?けど、レクサスは私と同い年なのだが・・・」


「だがな?アレン。人は知らん。女もわからん。ついでに猫もわからんな」


「え・・・じゃ、アイリーンッ!?」

「え、ヤガーも?」















本当に、本当に、更新が遅れてしまい申し訳ございませんです。

今回の話の背景表現が気に入らず、と言うか自分の想像力と文章の稚拙さに何話没にしたやら・・・

今さらながら恐るべし!ファンタジー世界、ファンタジー脳!

今日もこんな文章をご拝読して下さった皆様には感謝の言葉しかございません!ありがとうございました!

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