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疑惑の件

お、お久しぶりです!

今日もよろしくお願いします!


「な、なんだよ?!いきなりなんなんだよ!これっ!」

ベットの端から落っこちそうになりながら俺は叫ぶ。


「いやぁ?明日からの事を考えるとリョウ君とは今日親睦を深めとかないとねぇ?」


手に持って眺めていた地図を横に置くとベットにうつ伏せに寝っ転がったディーンが両手を枕にして慌てふためく俺をおかしそうに見つめる。


「そんなところにいるとベットから落ちるよ?何もしないからここにおいでよ?」

そう言ってディーンは自分の横のベットスペースをポンポン叩く。

「・・・お、俺はそ、外がいい、ディーン王子!じゃあ、外!外に、行こう!ディーン!!今日は星も月も綺麗だ!話だけなら何もベットの上でなくともいいだろう!!よしッ!決まりッ!さあ、行こう!今すぐ行こう!よしッ!」

俺は一人でそう言ってベットを下りようとした。


「フフッ。僕は眠いんだ。けど、その前に君と話もしときたい・・・本当に何もしない。話をしようよ?リョウ君。それに、外に行くならこれ、着なくていいの?」

ディーンが片手に掴んだ水色のガウンをひらひらと笑いながら見せつけた。

「え?・・・あ!!」

それッ、俺の!

うおぅ!!俺、俺、フリフリネグリジェのままだ!


「か、返せッ!」

思わず俺はそのガウンに手を伸ばす。

その手をディーンは軽々捕まえて引っぱると俺を自分の隣にうつ伏せに転がす。


なッ!


そして俺の頭を優しく抑えた。


「何するんだッ!放せッ!」

俺は頭をぶるぶる振って抵抗する。

するとディーンはその手を引っ込め今度は俺の手を握り締めた。


「何もしないから。大人しくここにいて。本当に何もしないよ?」

それでも俺はその手を振りほどきディーンを蹴ろうとした。

するとそんな俺の目の前に、少し目頭を下げた、そう、泣きそうなディーンの顔があった。




明日、オールウエイ国に帰国出来るかもしれないと言う話が出てから俺は嬉しくて夕食もそこそこに自室にあてがわれた部屋にこもって帰省の準備をしていた。

そして気が付けばもう夜遅くだったので寝室のドアを引いたらいきなり部屋のドアがノックされたのだ。

そして振り向くとそこにはディーン王子が立っていた。


それで気が付いたら俺はベットの上だ。

そう、自分の寝室の自分のベットだから問題はない。

問題は俺の横で同じように俺のベットでディーンが地図を眺めていた事だ。



何で横にディーンなんだ・・・?



手元にあったクッションを掴み俺は飛び起きた。

そして転げそうな急いでベットの端に身を寄せ、こいつから逃げた。

なのにまた、掴まって軽々とこいつの横に転がされている。



「ね?安心して。何もしないよ?シルフィーヌをこの間泣かしてしまったから仲直りがしたいだけなんだ」

そう言ってもう一度ディーンは俺の頭に手を伸ばすと軽くポンポンと叩いて手を引っ込める。


な、なんだよ・・・なんでそんな顔してんだよ・・・


「・・・・・眠いならご自分の部屋に戻ったらどうです?明日からの長い船旅でいくらでも話は出来ますよ?さあ、お帰り下さい」

俺はディーンの目をみつめ寝室のドアを指さす。


「ひどいなぁ?リョウ君は。とても僕は傷ついてるんだけどな?いきなり兄上に『リョウ君はディーンの花嫁にはならないそうだ、諦めろ』と告げられて・・・まさか、君からではなくて兄上から諦めろと言われるなんて・・・」


そう言うとディーンは急にベットに顔を隠すようにうつ伏せた。


「・・・・・・・・」


「・・・君の口からじゃなく人伝てだなんて・・・ひどいよ」


「・・・・・・・」


「ねぇ、あんまりじゃないかい?僕は君の事を真剣に」

「まあ、そう言うことだから。俺の事は諦めてくれ。じゃあディーンが部屋に帰らないなら俺が違う部屋に移動するから」


そう言って俺はサッサと切り上げ、立ち上がろうとした。


「待って。その言葉はあまりに冷たいじゃないか」

素早く俺の手をまた掴み行かせないディーン。

「お前に言われる筋合いはない。放せ」

俺はその手を必死で振りほどく。

「どうしても僕の花嫁にはなってくれないのかい?リョウ君は・・・?」

「そう言ってる。放せよ、しつこいな」

「どうしても?」

「どうしてもだと言ってるだろう。めめしいぞ」


「ああ・・・ダメか!・・・・結構、この泣きまねで落ちてくれるんだがな?普通のお嬢さんは。やっぱり君は面白いな?リョウ君。ククッ」

いきなり手を放し寝返りを打ったディーンが天井を見上げ笑い声をあげる。

とても虚しく響く笑いだ。


やっぱり泣きマネか・・・しかし・・・何か聞いて欲しそうだよな?こいつ・・・

聞いてやったら気が済むとか?


なら・・・・・


「・・・貴方は、ディーン王子は、この国を、この国の民を大事に思っているだろう?」

今度は俺が仰向けに寝返ったディーンの顔を見下ろすようにクッションを抱えてその横に正座して座り直した。

「ん?話、する気になったの?リョウ君。何?真剣な顔で・・・フフッ・・どうしてそれ、聞くの?」

「ソロモン王がこの国とカルマの民を一番に思ってるのはダビデだと。このカルマ一族を守って行くのは貴方だと言ったから」

「ふーん?兄上が・・・?ふーん・・・?」

少し考えるような、記憶を探るようなディーンの瞳は俺を見ているようで見ていない。

だがその口元にはニヒルな笑いが浮かんでいる。


「ええ。だから・・・だから貴方なら俺の気持ち、解ってくれるはず。帰りたい。オールウエイ国に。シルフィーヌの故郷に。そして命尽きるまで俺は、いや、私は我が祖国の皆を守りたい」

「君の寿命は後、もって3年。何が出来る?たった3年で?僕なら君を、リョウ君をもっと生き永らえさせてあげるよ?言っただろう?一緒にいようよ」

「俺の横に死ぬまでいる人は貴方じゃない。悪いな?もう、決めてるんだ」

見下ろしたディーンの綺麗なその瞳が少し見開かれる。

まるで信じられないと言う顔だ。

そして今度はせつなげに眉根を寄せ俺を見上げる。


なんでそんな顔するんだ・・・?お前・・・


「・・・・・そうか、残念だな。うん。ダメか・・・ああ、なら僕と、ねぇ?リョウ君、取引しないかい?悪い話じゃないはずだよ?」

「・・・・何を?」

「僕も君に付き合うよ。君が祖国に戻って向かうサンタフォールに。もう一度君は聖地に向かい、奇跡を起こすのだろう?」

「それしか・・・それしか救う方法がないのだろう?ソロモン王の話なら同じ時期にサンタクラーク、サンタマリス、サンタフォール、サンタクロスは発動したのだろう?それに創世記にも『世界が同時に生れた場所』だと書かれていた」

「フフッ・・・なら、この地、サンタマリスで試せばいいじゃないか?」

「この地は既に終わったのだろう?だからサンタクラークにわざわざ貴方達は出向いた」

「いや?まだ終わってない。ただ、奇跡を取り込むには『印』持ちの力が必要でね?今回、僕と兄上だけではどうにも出来ない事があったのさ」

「『印』持ちの生贄?」

「ククッ!・・・君はそこまでわかって言ってるのかい?リョウ君!ああ、そうか。それで・・」

そう言ってディーンは自分の顔を両腕で隠す。


また・・笑っている・・・?


「サンタフォールでソロモンは初めにシルフィーヌを生贄にすると言った。そして今回はアイシス様とダグラス王が生贄となった・・・それで?それで貴方は何を手に入れた?」

「・・・・・今回、奇跡の恩恵を受けたのはセルフィ皇子だ。自分の半身であるフリードを永遠に手に入れた」

「貴方もだろう?」

「・・・・・違うな」

「いいや、貴方もだ。ヘイワーズがよみがえった。本来ならセルフィがヘイワーズを犠牲にした時点で奇跡は発動するはずだった。だが、『ウロボロス』が時空を湾曲させ、アイシス様もソロモン王もその発動を遅らせた。そして貴方もだ。貴方はヘイワーズが生贄となる事を認めなかったんだ」

「・・・・・偶然だ」

「認めないのだな?貴方はどうして自分がヘイワーズを助けて姉神であるアイシス様を犠牲にしたのか」

ガバリと起き上がったディーンの顔はとても真剣だった。

そして俺の顔を覗き込むように近づける。


「何が言いたい?」

「自分の心に聞いたらどうだ?自分の記憶をさらってみてはどうだ?貴方がこの先どうしたいのか?」

「・・・・・僕が、あいつを助けたのは愛しているからとでも?ハッ!傑作だよ!それなら!」

「愛してるのは誰か?よく考えろよ。じゃないとまた、あんたは後悔する。前世と同じように」

「何を!!知りもしないくせに偉そうに!!」


ディーン王子が俺の胸倉を掴む。

そして額を俺に押し付けたディーンの瞳は輝いていた。

だが胸倉を掴まれた俺も(ひる)まない。


「知りたくなかったさ、俺は。あんたの愛国心や一族を想う気持ちが俺と同じだなんて。知りたくなかったさ。ヘイワーズがこんなに親切に俺に接してくれるなんて。これから潰そうとするやつらの事情なんて俺は!これっぽちも知りたくなかったさ!!知ってしまえば俺はあんたやヘイワーズやソロモンを無情に斬り殺せない。あんたは、あんたは、ソロモンの為に父王もその手に掛けたんだろう!それも二度だ!前世と今世!違うか?!ダビデ!」



「なっ・・・!!」


「あんたは父王の企みに気付いたのだろう?あんたの父、前カルマ王は自分より能力の優れた息子達に恐怖を感じ、亡き者にしようと企んだ。まずはあんたに王位を譲るといい、ソロモンを反逆罪で亡き者にしようと話を持ち掛けた。賢いあんたはソロモン亡き後、そんな父が自分に王位を譲るなんて気持ちは微塵もない事を良く分かっていた。それにあんたは素直に兄を尊敬しているのだろう?だから、兄を殺すふりをして父王に手を掛け、敬愛するソロモンを守ったんだ」


「・・・なんだ・・・よ、それは・・・?」



「前世もそうだったのだろう?ダビデ王。あんたとソロモン、アイシスの父であるカルマの父神は『ダグラス王の敵討ち』を掲げたダラス帝国セフィード王の大軍勢が押し寄せカルマを囲んだ時、それを抑える為とはいえ、全ての責任があるのはリーダーのソロモンだと言ってソロモンの首を引き渡たす事でその戦いに幕引きをしようとしたのだろう?」
















ひやぁ~!なんと今日はひな祭り・・・

2月、2月はどこに行ったのだぁー!!

てくらい、どっぷり仕事頭で更新できずすみませんでした!


今日もそんな作者のあきれず読んで下さった皆様、ありがとうございました!

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