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俺だ!俺だ?俺だ?!の件

今日もよろしくお願いします!

「「「ソロモン?」」」

シルフィーヌの俺とハルクの一馬とミシュリーナの紗理奈がそう言ったレオリオを見る。


「ピンポーン!」


黒装束達と同じ格好で黒いマントを纏っているその日本人の青年がディーンとヘイワーズの間に立ち涼しい顔でそう言ったのだ。

それも聞き慣れた俺の声でだ。


そしてレオリオに右手を振りニッコリと笑顔で続ける。


「久しぶり。アーサー。君も(よみがえ)っていたのかい?ならもっと早くに教えてあげれば良かったよ?探していたんだろう?アイシスの事」


「・・・何を・・・アイシスはここにいる」

俺の前に出たレオリオは剣を引き抜きソロモンと呼ばれた青年と対峙する。

だが、その顔はきつく引き締まり目が充血して光を放っている。


まさか・・・?また、ダグラス王が出て来てるんじゃあ・・・レオ・・・?


「そいつは違うな?だってさ?アイシスはここに。僕のここにいるからね?」


そう言うとソロモンと呼ばれた青年は胸元に手を入れ銀のチェーンを引き出す。

首にかけられたそのチェーンの先にはうっすらと光を放つ卵型のペンダントトップが揺れる。

淡い輝きと強い輝きを鼓動のように点滅させるそれはまるで蛍の光を集めて作った生き物のようだ。


「なんだ・・・?それは?ソロモン王よ」


「なんだ?わからない?わからないんだ、君は?・・・そうか、残念だよ。君が愛したアイシスなのに・・・本当にわからないなんて」

「バカな。それがアイシスだと?・・・」

「所詮、君のアイシスに対する愛情はその程度なんだねぇ?悲しいよ。僕は君に愛するアイシスを断腸の思いで託したのに」

「違うぞ!ソロモン王よ。アイシスはここに。良く見るがいい」

レオリオが身体をずらし、シルフィーヌの俺を手の平で指し示す。


「アイシスは泣いていたよ。君が先に勝手に死んで一人にしたから。だから僕が迎えに行った。僕ならずっと側にいるからと言うと笑った。だからここに、そうこの中に閉じ込めた。それから僕と一緒だ。ずっとここにいる。それからずっとだよ。アーサー、いや・・・ダグラス王よ。返してもらったよ?アイシスは僕の大事な妹だからね?」

そう言うとそのペンダントトップに口づける。


「!!・・・なぜその名を?ソロモン!」


「はじめから全て知ってたよ?ダグラス。僕を誰だと思ってるんだい?我はソロモン。賢王ソロモンなり。そしてこの世界の支配者(マスター)



「「「支配者(マスター)!?」」」


俺と一馬と紗理奈が声をあげる。


「支配者だと・・・?今、あいつ、マスターと言ったか?亮?」

「ああ、一馬。支配者(ルーラー)ではなくて支配者(マスター)だって?」

「まさか、コンピュータの事かしら・・・?マスターコンピュータ?」

俺達は思わず日本語で声をあげていた。


「なんだ?お前達。シルフィーヌにハルクにミシュリーナだろう?なぜ、言語が違う?それは日本語だろう?それにシルフィーヌ、お前は女なのになぜ僕と同じ声で話すのだ?」


そう俺と同じ声で日本語で返したソロモンのその眉を潜めたその顔がどう見ても生前の俺だ。

いや、正確には言えば少し大人びている(・・・・・・)俺だ。

もう1つ言えばあんな格好いい格好をして大人になった俺を見たことはないが鏡を見ているような錯覚に陥っているのであいつは間違いなく俺だ。


つまりだ。


「リョウ・・・?お前、亮だろう・・・?佐伯亮(サエキリョウ)だよな・・・?」

一馬が、俺が今まさに口に出そうとした事をやはり日本語でソロモンに尋ねる。


「佐伯亮はオリジナルだ。我はソロモン。マスターソロモン」


「ああ、確かに。オリジナルはこっちだからな?なら姿だけが佐伯亮の中身のお前は誰なんだ?」

一馬が俺の横に来て肩を掴むとソロモンをきつく睨んだ。


「まさか・・・?ユウヤ・・・?田代優弥(タシロユウヤ)じゃないわよね?」

今度は紗理奈が日本語でソロモンに尋ねた。


「それはマザーだ」


「マザー?お兄ちゃんがマザーですって・・・?」


俺とハルクとミシュリーナは顔を見合わせる。



「「「AI(人工知能) だ!!」」」




「うぇ~!気持ち悪い!紗理奈!メチャ、キモい!兄貴!ダメだ!自分って!しんじらんねぇ~!!」

「え、亮?私は凄く感動してるんだけど!ラスボス、亮って!お兄ちゃんセンスある~!!」

「ダメだ!紗理奈!俺もダメだ!亮が、それも成長してる亮って有りか!?何だそれ?冗談じゃない!!」


「おいおい・・・?どう言う事なんだ?シルフィーヌが佐伯亮だって・・・?バカなッ!?」

俺達と〝AIソロモン″の日本語の会話を理解出来るヘイワーズだけが疑問を口にする。

だが、その表情はシルフィーヌの俺をみつめ愕然としている。


「ああ、そうか?お前達もヘイワーズと同じバグか?・・・まったく・・・なぜ私の完璧なこの世界にお前達のようなバグが入り込んでるんだか?・・・まあ、いい。お前達は所詮、私の中のデジタルに過ぎない。私が創造したこの世界にプログラミングされた記号の寄せ集めに過ぎない。それもたかだかビット(最小単位)でのバグだしな?排除だな」



「ソロモン王・・・?いや、亮?俺の事もそう思っていたのか・・・?」

今度はその言葉を発したソロモンにヘイワーズは向き直り唖然とする。


「なんだ?ヘイワーズ。そう言うお前も僕を利用したんじゃないか?」

ソロモンが傍らに立つそんなヘイワーズの肩を掴み長い首を傾げ微笑む。


その微笑みは茶色がかった大きめの瞳に赤い唇が透き通るような白い肌に映えゾッとするような色香を醸し出す。


「亮だ・・・」

「亮だわ・・・」

一馬と紗理奈がそれを見て息を呑む。


「いやいや!俺、あんなに怪しくないから。あんな妖魔じゃないから!」

思わず二人に俺は叫んでいた。


「ええ、そうね?本当によく似せてはいるわ。そのゾクゾクするような色香を醸し出す様は生前の亮と似ているわ。けどね?私の知ってる17歳の亮の方が何倍もいいえ、何十倍も魅力的だわ。だって亮は凄く元気なの。生気に溢れているのよ。貴方がいくら似せても違うのよ?マスターソロモン。所詮、貴方は命を持たない無機質なビットの集まり。貴方が離散的な数字と文字によって表現されたただのシステムに過ぎないのよ!ソロモン!!」

紗理奈が俺の手を強く掴み直す。


「ああ、紗理奈の言う通り。お前は亮の形をしたデジタルだ。所詮、人が作り出したコンピュータの中のソフトウェアだ!我々、心を持っている人とは違うぞ」

一馬もソロモンを睨みそう返す。


「人?人だって?命?心?ククッ、所詮、君らは僕が管理するこの世界の創作物じゃないか?それもバグ()なんだよ?排除する」


「亮・・・違う。俺が君を利用するなんてことあるわけないだろう?俺は亮・・・?お前の為なら何でもするよ?この世界でソロモンの亮に会えて俺は・・・俺は、この世界を作った田代優弥に感謝したよ?この世界は所詮俺達人間にとっては作られたゲームの世界だ。四角いモニター画面の中だけの二次元の世界だ。そして君もだよ、ソロモン?所詮、君は俺達人間がプログラミングして作ったソフトに過ぎない。そうなんだ。このゲームの中では主導権を握っているマスターコンピュータだろうが我々人間にとって君はただの機械。ただのおもちゃだ。だが、俺はこの世界にこうして転生して、亮の側にいられて、今、まさに君の役に立つって事が俺の運命なんだって思ってるからこの世界に来たこと、後悔なんかしていない。むしろ俺の目の前で死んでいった亮を・・・助けられなかった佐伯亮に・・・また会えたんだ。こんなうれしい事はない。だから・・・亮、俺をバグだなんて、排除するなんて言うなよ?」


微笑みを絶やさないソロモンにヘイワーズは青い顔で震える声を絞り出し懇願する。



「ヘイワーズ・・・?お前は誰だ?目の前でって・・・?一緒にあの日、車に乗っていた・・・?」

一馬がそんなヘイワーズに聞く。

「なんだって・・・?ハルク・・・?あの日車に乗っていたか(・・・・・・)だって?お前こそ・・・お前こそ誰だ?ハルク?それに・・・シルフィーヌもミシュリーナもだ。まさか本当にシルフィーヌが亮なのか・・・?本当の(・・・)・・・?」


「そうだ、ヘイワーズ。シルフィーヌはこの世界に転生した亮だ。そして俺は一馬だ。佐伯一馬」


「カズマ・・・?一馬!?佐伯一馬だとッ?!ああ、何てことだ・・・なんて・・・!またか、また?!お前は俺の邪魔をするんだな?!佐伯一馬ぁぁあああ!?」


ヘイワーズが急に怒鳴ると両腰の剣を素早く引き抜きハルクに飛びかかろうとする。


が、


「止めろよ、ヘイワーズ。何を言って怒ってるのかわからないがお前ではハルクは倒せない。無駄死にしたいのか?お前は?」


駈け出そうとしたヘイワーズの右肩を素早く掴み抑え込んだのは英語で話すディーンだ。


「それに兄上?マスターって?」

今度はディーンが笑いながらソロモンに英語で聞きただす。


「ディーン・・・お前には用の無い言葉だ。理解しなくていい。さあ、そろそろ始まるぞ」



ソロモン王がそう言って空を見上げると瞬く星のそれも星雲の中に明らかに違う輝きを放つ星の輝きが頭上に(きらめ)いた。



「「「ヤバい!!」」」


俺とハルクとミシュリーナが叫んだ。










気が付けば初投稿から一年・・・・

2月で完結させるはずがまだ完結出来ず・・・

本当にすみません!頑張って完結させます!(反省)


一年も飽きずに読んで頂いた皆様、本当に感謝の言葉しかありません。

ありがとうございます!

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