人生ってそう言うものだよねの件
今日もよろしくお願いします!
ゴォォオオオオオオーッ!!!
爆音を轟かせ後方の暗闇の下からせり上がって来るそれは凄い勢いで上昇してくる。
俺達は激しい揺れに耐え、おのおの必死に崖を掴み、張り付き、狭い足場を踏ん張る。
足を踏み外したら最後、そこは底が見えない闇だ。
そしてその闇の底は間違いなく硫化水素が充満した巨大な鳥地獄だ。
猛烈な爆音は凄いスピードで俺達の後方だけに留まらずその狭い足場のすぐ側の闇にも迫って来る。
「来るぞッ!!絶対手を放すな!!」
ハルクが声を張り上げると凄い熱気とともにそれは一瞬で俺達の横をすり抜け上昇して行く。
「えっ!!」
「なんだッ!!」
「これはッ!!」
「熱ッ!!」
ドッゴォォォオオオーーッ!!!
今度は洞窟の天井にそれはぶつかりその恐ろしい音を響かせながら一部は跳ね返り飛び散り落ちて来るが
真っ直ぐ天井を突き抜けていく。
そしてまた揺れたかと思うと遥か頭上でまた凄い音が鳴り響き、更に揺れた。
「うわぁ!!み、水?水なのか!?」
「凄いッ!!下から吹き上げているのか!?」
「熱いッ?!熱いッ?熱湯?熱湯なのッ!?」
俺達の目の前に現れたのは巨大な水柱だ。
深い闇の底から真っ直ぐ頭上にとてつもない量の水柱が吹き上がっていたのだ。
「なにッ・・・!これ!!お湯?・・・亮!温泉よッ!!」
「熱湯か?熱湯の柱なのか?温泉だ!亮!!温泉!!」
紗理奈と一馬が同時に叫ぶ。
「温泉だって・・・?まさか・・・まさか!間欠泉なのか?!」
「「「カンケツセン!?」」」
そう叫んだ俺に皆が一斉に返す。
「説明は後だ!全員、無事か隣を確かめろッ!!無事なら先に進め!!急いで地上に出るぞッ!!」
「ああ!ハルクの言う通りだ!急ごう!!これ以上の蒸気と硫化水素が下から押し寄せて来るぞ!!」
「うへぇ!!そいつぁ、ごめんだぜ!!」
先頭のダモイがそう言って小走りで坂を登って行く。
皆もそれに続く。
「ルカ!もう一人で歩けるよ!頭痛が和らいだみたいだ!また揺れが来たら大変だからね!」
ルカが背負い直そうとしたレクサスがそう言って歩き出す。
「いいえ!しばらく大きな揺れは来ないと思う!だからお兄様、レクサスを連れて早く行って!」
俺の言葉にルカがああと返すと有無を言わさずレクサスを背負うと速足で坂道を登って行く。
「アレン!一人でも進めそうか!」
「ああ、ハルク!俺ももう大丈夫だ!ミシュリーナ、来い!」
「ミシュリーナは私が!私ももう大丈夫だからおいで!」
トマがハルクの抱えているミシュリーナに手を伸ばす。
ハルクはトマにミシュリーナを預けると後ろの様子を伺う為に最後尾へと下がる。
「レオ!バルト!」
「「大丈夫だ、シルフィーヌ!!」」
「シルフィーヌもおいで。バルト、マークス、行くぞ!」
「ええ!」
「ああ!」
「ハイ!王子!!」
マークスがそう答えると急いで俺もレオリオとバルトに駆け寄った。
最後尾をハルクに任せフリードが先頭に上がって来るとダモイに続き、セルフィの前を歩く。
「リード、体調は変わりない?」
「問題ない。それより急ぐぞ、セル」
凄い熱さと匂い、それに轟音が鳴り響き、急激な坂にも息苦しくなって音を上げそうになりながら俺達は前に進む。
まるでサウナの中での山登りだ。
だが、一秒でも早くこの洞窟を脱出しなければ2段階で地上に吹き出す準備をしている間欠泉に巻き込まれてしまう。
今、息切れぎれに俺達が登っているこの洞窟のこの空間に水蒸気と有毒ガスが充満し終わればこれ以上の硫化水素を含んだ熱湯が地上に大きく吹き上がるのだろう。
そう、地上に吹き出した温泉、つまり水蒸気とガスを含んだ温水が高く吹き上がるのが間欠泉だ。
簡単に想像するならクジラの潮吹きを想像してくれ。
まあ、高さが地上からでも400メートル(ビルなら100階建て!!超高層!!)に達するモノもあるらしいからクジラの潮吹きとは比較にはならないが。
とにかく、そんな蒸気と硫化水素がこの場に充満すれば間違いなく俺達が先にやられる。
恐らく、ここの下層部に地下を流れている海水の川から地中に沁み込んで溜まった水がマグマで温められて出来る、温泉の源泉となっている場所があるのだろう。
それも相当熱い熱湯状態だからこの地下は火山活動がとても活発になっていると言える。
更に今夜は大潮だ。
その源泉の場所に大潮での海水が大量に雪崩れ込み、水かさが増し、その層に充満した水蒸気や硫化水素が逃げ場を失い、弱い地層部分を押し上げて出来た空洞を通って一気に熱湯と共に地上に噴き上がって来るのだろう。
そう考えるととにかく上に逃げるしかない。
「頑張れ!!ダモイ!!」
崖を伝い相当上まで登りつめた俺達の頭上には洞窟の天井が迫り、かなり上体を屈ませて進んでいる。
俺のもう少しだと逸る気持ちが先頭を進むダモイにそんな声を張り上げさせた。
「へッ・・・!!言われなくとも死にたかねぇですからねッ!!しっかし・・・ハァッ・・普通の人間のあっしに・・まだ、頑張れってッ・・・!ハァッ、お嬢は鬼だ!!」
「頑張れッ!!ダモイッ!!」
すると今度はトマに背負われてる紗理奈も叫ぶ。
「・・・ハァッ!小っちゃい・・・お嬢も・・・鬼だッ!!ハァッ!だが、そんなお嬢達でも・・・こんなところで死なせる訳には行けねぇなぁ!!」
「見直した。ダモイ。だが一人でも死んだら減額だからな」
ダモイの後ろで大きな体を屈ませ窮屈そうに進むフリードも声を掛ける。
「はぁああ!?・・・フ、フリードの旦那が本当の鬼だ!・・ハァッ!悪魔だ!いいやッ、サタンだッ!」
「サタンはセルだ」
「失礼だな。僕はサタンではなくてルシフェルだ」
フリードの後ろで歩くセルフィは爽やかな声でそう返す。
「それ、堕天使じゃん!!ルシファーじゃん!!どっちにしても魔王じゃん!!」
「まったくもって失敬だなッ?リョウ君は。最高位の天使だ、ルシフェルの僕は。皇位から落ちてなぞいないからな?」
「ああッ・・・!正直、足が限界だ!!あっしが・・、この、あっしが今すぐ天に召されそうでさぁ!!」
「なら無駄にしゃべるな、ダモイ。天国はそこだ」
フリードはそう言うと背後からダモイの背を片手で押す。
「あぁ・・・、ハァッ、まったく・・・!誰のせいでこうなったと思ってんだッ・・・あッ!」
「聞こえてるぞ、ダモイ。だが、もうすぐだな?前方に光が見えて来たな」
「オオッ・・・!!まさに神のお導き!ああ、神よ!皆にあなたの御加護があらんことを!!」
「神任せにするな、ダモイ。神は自らを助くものを助くのだ。自力で行け」
そう言ってフリードはダモイの背中を最後だとばかりに押し切った。
あんなに大きな洞窟の出口は本当に人、一人がよじ登って出なければならない縦穴で俺は背が足らず先に地上に出たレオリオが引き上げてくれた。
やっと外に這い出した俺の汗だくになった身体を一気に冷やす冷気が襲う。
だが、目の前には満天の星が降り注ぐ澄みきった夜空が広がる。
「す、凄く、寒い!けど、とっても綺麗!だけど・・・アッ!!」
「凄いでしょう?!びっくりしたわ・・・本当に亮の言う通り」
「ああ・・・本当だな。本当に亮の言う通り、あの森に吹き出しているのは間欠泉だな?」
先に出た皆が一斉に爆音を轟かせている一方向を見下ろす。
足下の遥か下には暗いが鬱蒼とした森が広がっている。
その森の中央部分、木々が見事にないその部分には白い飛沫と蒸気がほとばしるように巨大な間欠泉が凄い水量で吹き上がっていた。
その吹き上がった間欠泉の姿はまるで白い大きな人影のように見える。
そして・・・
ゴゴゴゴゴゴォーッ!!!
「「「うわぁッ!!」」」」
足元からの地響きに俺達はまた足を踏ん張る。
と同時に大きな揺れと、耳をつんざく汽笛のような甲高い破裂音が響き渡るとその地上に吹き出した間欠泉はより一層高く、より一層熱い蒸気を噴き上げて膨れ上がり星空に巨大なその姿を見せつけた。
その巨大な熱湯の水柱はまるで頭に満月の輪を乗せ、白い羽を広げ今、まさに飛び掛からんとする天使のように見える。
それも、両手に白い巨大な鎌を携えたーー
「おっかねぇ・・・あんなのまともに目の前で見たら恐ろしくてどうにかなっちまうぜ!」
「あれが・・・あれが、森に出るラッパの音とともに現れる白い天使・・・?それも白い鎌を振り下ろす死の天使・・?亮?」
「ああ、紗理奈、そうみたいだな?・・・想像以上だな?どうするかな・・・?一馬」
「ああ・・・まったくな?スケールが違うだろッ?!天使じゃなくてどう見たって巨大な死神だ・・・」
「凄い物見ちまったなぁ・・・あんな高さから熱湯かけられたら俺とハルクでもひとたまりもないな」
「まさに毒ガスと熱湯を天からまき散らす死の使いだな。僕とえらい違いだ」
「セルは毒舌だがな?あれには負けるかもな?」
「あんなものは初めて見る・・・凄いとしか言えんな?レクサス」
「あんなの無理だよ?・・・自然が相手なんて・・・ルカ」
「・・・上からで良かったな?・・・まともに相手なら勝ち目がないな?レオリオ」
「ああ、いくら僕とバルトでもあれはな・・・?」
「カンケツセンですか・・?凄いものですね・・・王子」
「圧巻だね。あれほどとは・・・さてさて、この先に待ち受けるのは?ミシュリーナ?」
トマが寒さからなのか、震えるミシュリーナを優しく後ろから抱きかかえると訪ねる。
「先に進むしかないわ。例えそれが地獄でも」
そう、ミシュリーナが答えると
「進も地獄退くも地獄」
ハルクも答える。
「どっちを選んでもイバラの道」
そして俺も。
「なら、やってやろうじゃないの!!」
ミシュリーナがフンッ!!と鼻息荒く、そして力強く右腕を天に掲げる。
「ついて来て!トマッ!私を信じて!」
「もちろんだよ。ミシュリーナ」
トマがニッコリ笑い答える。
「そしてみんなも!!」
ミシュリーナさらにそう叫んだ。綺麗なルビーの瞳で俺達一人一人を見て。
「「「「もちろん!」」」」
皆、力強くそう返していた。
間欠泉、感じわかってもらえたかな?
文章が乏しくて表現力が・・・すみません!!本当はもっと凄いと思います!
お読みいただきありがとうございました!




