表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/172

サンタクラークの件

よろしくお願いします!

「誰かいる!!」

ダモイの言葉に最後尾のフリードが振り向きざまには腰の剣を抜きその方向に掛け出していた。


剣が激しくぶつかり合う音が聞こえるとフリードとは違う声が叫ぶ。

「ま、待ってくれっ!!」


「!!」

今度は俺の横のレオリオが叫ぶ。

「待てッ!フリードッ!マークス!!」

「クッ!お、王子!!」


 えッ!?


「「「マークス!?」」」

俺とルカとバルトが同時に叫ぶ。


レオリオが急いでフリードが下に置いたランタンを持ち上げ後方を照らすと暗闇の中に上からフリードの剣で抑え込まれながらも必死でその剣を自分の頭上で受け止めているマークスの姿が浮かび上がった。

「知り合いなのか!」

フリードの問いかけに

「はい。(わたくし)はオールウエイ国王室師団長マークス・ウィンザーです。フリード殿」

「その者は間違いなく僕の護衛のマークスだ。フリード。怪しい者じゃない!」

レオリオのその声にフリードが剣を引く。


「君、引き返せと忠告したはずだが?」

するとミシュリーナに腰を支えられてるトマがマークスを見て不機嫌そうにそう言った。

「えっ?知ってたの、トマは?マークス様が着いて来ていた事」

「ああ、ミシュリーナ。彼は陰日向(かげひなた)になってずっと僕達の旅の手助けをしてくれていたんだ。オールウエイ国からずっとレオリオ王子を守る為にね?」

「はい。サラート王子。ご忠告は確かに受け賜りました。しかし」

そんなマークスの言葉を今度はレオリオがキツい口調でさえぎる。

「マークス、今すぐ引き返せ。命令だ」

「レオリオ王子、そのご命令は聞けません。私は両陛下の命を受けてここにおります」

「お前は僕が生まれた時から僕の護衛だろう?マークス。僕の言う事を聞け。今すぐ引き返せ!さあ、行け!」

(わたくし)(いのち)に代えても王子を無事連れ戻れと両陛下の命にございます」

マークスは急いでレオリオの足下に駆け寄るとひれ伏し頑として譲らない。

そんなマークスにセルフィが声を上げた。

「着いて来たいのならば自分の(いのち)、自分で守れ。マークスとやら。では行くぞ、時間がない」

「ハッ!!セルフィ様!!」

「セルフィ!!勝手な事を!」

「ここでは僕がリーダーだ。皆には従って貰う」

そう言うとセルフィは進行方向にダモイを顎で先に促した。


「レオ、セルフィが言う通り時間がないし、マークスが一緒の方が私はとても心強いわ。ねぇ、マークス?私、二人はとっても重いの。バルト、頼めるかしら?」

俺はバルトにウィンクをするとバルトは諦めた顔で頷きマークスに手を伸ばす。

「はい。シルフィーヌ様。バルト様、大丈夫ですか?」

そして俺がレオリオの身体をしっかりと抱きかかえるとレオリオは俺の耳元で囁いた。

「シルフィーヌ、勝手な事を・・・」

「レオ?私、本当に二人が重くて疲れちゃったのよ?だからお願い。ねっ?」

小さな声で俺はそう言い返したが身体はギュッとレオリオに押し付け下からニッコリと笑ってやる。

すると難しい顔のレオリオだったが少し頬を染め目をそらした。


ふぅ~ッ。


本当に俺、凄く安心して力が抜けたんだ。

先日、オールウエイ国でレオリオ達の旅の様子を定期的に報告してくれていたのはカレブとサルトとマークス(・・・・)と聞いていた。

なのに、ルカに聞くとマークスは一緒じゃないと言われてマークスだけどこかではぐれたのではないかと凄く気になっていたのだ。

良かったよ、本当に・・・ここで合流出来てさ。



「本当だなぁ。これは、たまらねぇな・・・息が出来やしねぇし進めねぇな・・・?本当に酷い匂いと熱さでさぁ」

ダモイが二手に別れた下に下って行く進行方向の左の穴にランタンを持つ手を掲げ、覗き込むが熱くて急いで引っ込める。

「なんだって・・・?先程はそうでもなかったのだが?(くだ)れたのだがな・・・?」

トマが顔をしかめてそう言った。

「トマ。先程もこんなに共鳴はしたのかい?」

「いいや、セルフィ。こんなに頭痛が酷ければ皆に先に忠告をしているさ」

「なら、この共鳴をもたらしているのがサンタクラークならば、サンタクラークは移動するのかもな?ハルク」

「ああ、過去から見つけられないのは移動、もしくはそこにある(・・)のではなくて条件が揃えば現れるのかもな?」

「『天使が舞い降りる』ってやつ?やっぱりサンタクラークが舞い降りて来る天使なのかな?」

「お嬢!あ、いいや、姫さんか?あれはティッカに言わせると違うらしいですぜ」

ダモイは下に行くのを諦め、進行方向の今度は右の穴にあるそれも崖伝いに上に登って行く細い道を先頭で進んでいる。それなのに俺の話が気になるのかそう言って話に入って来た。

「お嬢でいいわよ、ダモイは。それで?ティッカが何て?」

「ティッカはあの村では占い師なんでさぁ。まじない石を使ってやる方は殆ど当たらねぇが夢でのお告げは今から起こる事を事細かに言い当てる」


予知夢か・・・なるほど、ティッカは占い師というよりは超能力者(サイキック)のようだな。

何かを見たようだな?それもあんまりよくない事・・・だからサルトに忠告したんだな・・・


「『河が滅し死の灰が舞い上がる業火に涙が流れる時天使は舞い降りる』って言い伝えの事でさぁね?お嬢がずっと気にしてる天使は?」

「そうそう!その天使」

「ティッカが昨日見た夢では羽根の生えたかわいい天使が舞い降りて来るんじゃなかったそうですよ?初めは星空に一際(ひときわ)輝く大きな星が現れ、それがいくつもの光の尾を引く流れ星となり、そのうち太陽のような塊がまるで業火のように降って来たと」


え・・・、それって!!


「「「隕石の落下だッ!!」」」


俺とミシュリーナとハルクが大声で叫んだ。



「ヤバい!ヤバい!ヤバい!何考えてるのよ!!お兄ちゃんッ!!」

「ダメだ!何だってんだッ!その設定!!俺でも無理だろ!!田代監督!!」

「紗理奈!!田代監督は大潮に有毒ガスに何で隕石まで落とすんだよ!!『君の〇は』の対抗意識か~!!前々全世界、気にしてる場合じゃないだろう!!下手すると俺達どころか村まで吹っ飛ばす気かよ!!あ!ダモイ!!その先は!?なんてッ!ティッカなんてッ!!」


「あ、その先は飼い猫に叩き起こされてわからないそうで」


「「「つ、つかえねぇ~!!」」」

俺とミシュリーナとハルクがまた大声で叫んだ。


「おいッ!?さっぱりわからない!空から何か振って来るのは間違いないのか!?そのインセキとやらは村を破壊するほどの威力なのか!?意味がまったく解らんッ!!」

あ、セルフィが怒鳴った。


「ごめん!セルフィ!タイム!!紗理奈!一馬!相談!!」

「ああ、まったく・・・セルフィ、ちょっと待ってくれ。アレンちょっとここで待ってろ」

「トマも待ってて。もう、どうしよう!先、読めないよ!亮!一馬!!」

狭い崖伝いの狭い道で俺と紗理奈と一馬はあーでもない、こーでもない、どうするんだよ!!って3人で頭を突き合わせ真剣会議だ。


「ああ、休憩ばっかりだな。とにかく急いでくれよ?みんなは喉を潤しておいてくれ。急激に山を登っているからな・・・ふう、まったく、足止めばっかりだ。あいつらに先を越されたらどうするんだよ・・・?」

セルフィが不満爆発寸前の不機嫌顔だが高山病にならないように皆に水分補給を促す。


「バルト、シルフィーヌが今ハルクとミシュリーナと話しているのは・・・?」

「ああ、あいつ達の前世の国のニホン?の母国語らしいよ。あれを聞くと本当に3人は違う世界の住人だったのだなと、サエキリョウなのだなと痛感させられる・・・だがな?レオリオ」

「なんだ?」

「あいつ、楽しそうだろ?」

「ああ・・・こんな時なのに凄く表情が豊かだ・・・相変わらず前向きだな・・・シルフィーヌらしい」

「・・・そうだな?あいつはいつもあきらめが悪い。いい意味でな」





「ハイッ!俺は引き返すのが一番だと思いますが。ゲームの神様、紗理奈様、いかがでしょうか?」

「俺も隕石をアラ〇ちゃんみたいに受け止める馬鹿力はないし、孫〇空みたいにカメハメ〇も撃てない。なので勇気を持ってここで断言する。逃げよう」

「うーん、ふぅーん、ううーん!!」

俺と一馬の言葉に紗理奈が本当に頭を抱えて唸っている。

「紗理奈、悩んでも無理な事は無理だ。今すぐ逃げるぞ」

「ムリなの?本当にムリ・・・?無理って・・・?あッ!無限!!」

一馬が無理矢理、紗理奈を抱き上げる。

「ま、待って!!一馬!『ウロボロス』!!レオリオとバルトの双子ちゃん『ウロボロス』!!」

「「『ウロボロス』??」」

「そう!!亮!『可能性は無限大のウロボロス』!いまなら双方で効力は2倍、2倍!!」

「なんか、テレビショッピン〇みたいだよ?紗理奈」

「あんなに声高くない!!あ、高いか?って違う!!とにかく私達には二人がいるわ!!」

「いくら二人でもって・・・?あ・・・!あ、いけるかも・・・?一馬、どう思うよ?」

「俺には全くわからん!だがもう手遅れでどうやら引き返せ無いのはわかる!!」

するとハルクはクルリと皆の方を向くと


「全員!!崖に掴まれ!!大きな揺れが来る!!」


そう英語で大声を張り上げた途端、


ズウゥゥゥンンンッ・・・!!!


足下で大きな揺れとともに地響きが鳴り響く。


と、背後の暗闇の下から凄い勢いで何かがゴォォォォーッと爆音を轟かせ、せり上がって来る。


「崖に掴まって絶対離すな!!皆!!」


セルフィも大声で叫んだ。




















今日も読んで頂きありがとうございました!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ