ややこしい件
ややこしい=複雑なって言う意味なんですけど方言なのかな?
今日もそんな話ですが息抜きのつもりでどうぞです!
翌朝、結局、ミシュリーナの部屋で一晩、話明かした俺とサロメとミシュリーナは朝食を取ろうと宮殿の廊下に出ると対面の客室から同じく一晩飲み明かしたハルクとバルトとハルクに抱きついたまま眠って一人スッキリしたアレンがちょうどドアから出て来るのに出くわした。
するとサロメがそんなアレンを見るなり叫んだのだ。
「アレン!!いくら弟だからって、レイモンドの事侮辱するのは許せないわ!!」
今、高らかに、開始のホイッスルが鳴り響きました~!!サロメVSアレン ゴーファイトです!!
先制、サロメ選手、両手でいきなりアレン選手の胸倉を掴み、詰め寄りました。
「なんだよ、サロメ!いきなり?何のことかわからないがまだ結婚もしてないのにもうレイの嫁気取りか?俺はまだお前の事は家族だと認めてないからな?」
反撃、アレン選手、サロメ選手の両手を片手で軽々振り払うと軽く睨みつけた。
「義弟の分際でお姉様にその態度は何よ!」
サロメ選手、そんなアレン選手に怯みもせず、両手を腰に当てるとキッと見上げ怒鳴り返しました。
見事な悪役令嬢ポーズです。
オオッと、アレン選手、こちらも負けておりません。応戦です、全く同じポーズで怒鳴り返します。
「うるさいよ!まだ弟じゃないって言ってんだろうが!?それにお前の弟になったらハルクが俺の兄弟になってしまうだろうが!」
「いや、アレンそれに何も不都合はないと思うが」
バルト審判、アレン選手にファール、口頭での忠告です。
「え、?じゃあ、バルト!私もサロメとアレンの兄妹だ!!スッゴーイ!!」
突然の乱入、俺ことシルフィーヌサポーター!!
「いや、シルフィーヌは全く関係ないから、それ。全然、違うから」
バルト審判にサポーター、シルフィーヌ、いきなりレッドカードか!
「って、その話じゃなくて!もう、シルフィーヌ!話変わってるから!!アレン、レイモンドに近寄ったら孕むってシルフィーヌに言ったんですってぇ!?そんな事、レイモンドがする訳ないでしょうが!!いくらレイモンドの実の弟だからって言っていい事と悪い事くらいわかるでしょう!?それにそんな根も葉もない事言うからみんな面白がって噂が一人歩きするんじゃない!!」
おっと!いきなり、確信に迫る鋭い攻めです、サロメ選手!
ここは一気にアレン選手を攻め落とすのか!?
「いつの話だそれ!?それにシルフィーヌがレイモンドに惚れたら困るのはお前だろうが!?サロメ!予防だ、予防!予防線張っただけなのになに、本気にしてんだよ?お前がおかしいぞ、サロメ!?」
「え!?本気にしたんだけど!?」
おかげで俺はレイモンド避けまくったからな?
「お前はそれでいいんだよ!シルフィーヌ。だが、お前はダメだろうが!?サロメ?」
「私がそんな事、本気にする何てこと有る訳ないじゃない?!でも、周りがそうやって面白おかしくレイモンドの事を吹聴するから止めてって言ってるんじゃないのよ!」
「あの時、レイモンドはシルフィーヌに手を出そうとしたから先攻してやっただけだ」
「なっ!!」
「あ、違うわよ?言ったじゃない?サロメ、私、からかわれただけだって」
「ああ、レイはワザとシルフィーヌにそうして俺とハルクの反応を見たんだよ?特にハルクがシルフィーヌとアイリーンどちらに注意を払っていたかを観察してたんだよ。あいつはそう言う奴なの。けどなぁ?周り廻って、サロメ、お前に嫉妬させたかったんだよ?レイはな?んな事もわかんないのか?お前は。実際、ヤキモキしてただろ?お前?」
「えっ・・・なっ!!」
お、これは・・・サロメ選手、不意を突かれ、思わず攻撃の手が緩みました。
凄く顔が赤くなりましたね?あ、視線が下に落ちましたね?
ああ、あの時のダンスバトルは俺がレイモンドと踊ったからだったのか・・・
なんだ、かわいいじゃん!サロメ。
見事な返し打ち、アレン選手。ゴールを決められません、サロメ選手。さあ、どう出るのか・・・
「それになんだぁ?サロメ、お前、まさか、レイモンドの噂、本当に信じてた訳じゃないだろうな?まさか、本当にレイモンドには複数の彼女がいるって思ってたとか?・・・ひどいなぁ?お前?それにな?お前一筋のレイをお前がハルクと天秤にかけてる時点で弟の俺としてはレイの幸せを考えるとだな、はたしてお前を嫁と認めていいものか?と常に思うわけだよ。なぁ?サロメ」
おおっ、アレン選手、迫力あるとても悪い顔だ。まさに、小さな時からハルクに近づく女達を蹴散らして来ただけの経験と実績がある。凄く、その顔は綺麗なだけに陰険だ、陰湿だ、悪辣だぞ!アレン
「バ、馬鹿にしないでよぉ!!レイモンドの事は少しも疑った事なんてないんだから!ハルクとお姉様が結ばれる事が先だって思ってたからレイモンドへの告白が遅れただけなんだから!それにレイモンドは誰にでも優しく接するから勘違いされてるだけだって知ってたし、わかってたわよ!それに信じてたわよ!?当たり前じゃない!」
「ふ~ん?どうだか・・・・?」
アレン選手、ますます、サロメ選手を小馬鹿にした笑いです。ますます、綺麗な顔だけに邪悪ですね。
うーん、それにサロメ選手も威勢はいいが、言えば言う程、言い訳じみてしまってますね?
見事、アレン選手の手に落ちましたね?
「アレン、もう、止めなよ?」
お、ここで、俺サポーターのいきなり、選手として参戦です。
「何だ?シルフィーヌ、元はと言えばお前が余計な事話すからこうなったんだろうが?あ?」
「ぐっ・・・、む、胸が痛い・・・」
あっという間の場外です。俺、シルフィーヌ選手。
アレン選手、攻めの体勢を崩しません。一気にゴールか?
「アレン、大事な兄上を取られる気持ちはわかる。だからそれくらいでよさないか?それに」
おっと、ここでバルト審判のホイッスル、全員へいきなりレッドカードです。
「ちがっ!!」
「まったく、見解違いよ!バルト!」
「え?そんなにレイモンド好きなんだ?アレンは?」
そんなバルトにアレン、サロメ、俺が声を上げるとバルトは俺達を手を上げて制し、廊下の先を真っ直ぐ指すと一言。
「ハルクとミシュリーナ、サッサと食堂行ったぞ?」
一斉にそっちを見ると仲良く手をつないだ二人が遥か先の廊下を歩いていた。
「一馬?ほっといて大丈夫かなぁ?サロメとアレン?」
「ああ、いつもの事だからほっとけばいい。どうせサロメが負けてアイリーンに愚痴るだけだ。ああ、今回は亮が愚痴られるか・・・俺にも来るな、とばっちり」
「あ・・・・」
「ん?なんだ?紗理奈。急に止まったりなんかして・・・ん?」
紗理奈と一馬の目の前のドアからセルフィとフリードが出て来た。
そしてこちらに気付いたセルフィが凄くスッキリした顔で振り向いた。
その後ろには珍しく疲れた顔のフリードが腰を抑えながら手を上げた。
「あ!お早う、ミシュリーナ!ハルクも。朝ご飯、食べに行くんだよね?行こう、行こう!もう、僕も凄くお腹すいちゃったよ?だって、リードが一晩中寝かしてく・・・んんっ!?」
「お早う、ミシュリーナ、ハルク。それに余計な事を言うな、セル」
フリードがセルフィを後ろから抱きかかえると口を手で覆った。
「「・・・・・」」
そのフリードの手を軽々セルフィが外すと
「もう!やめてよ、リード!早く食べてもう一戦、し」
「だから、黙れ、セル。それに俺の体力が持たん」
いきなりハルクはミシュリーナを小脇に抱えると二人を無視して速足で歩き出す。
「聞くな、紗理奈。サッサと行くぞ」
「え・・・・・どっち?どっちがう」
「ああッ!!紗理奈!こっちだ、こっちが食堂だから!」
美味しそうに食事を平らげるバルトとセルフィ。
その横に疲れた様子でスープを飲むフリードにやたら興味津々と話しかけるミシュリーナ。
その様子にこれから先の事を考えると凄くややこしい事に気づいた一馬とサロメとアレンに挟まれ両方から愚痴られる俺はうんざりしてしまい、まったく食事の味がわからなかった。
「私達は恋バナで徹夜で、ハルク達はこれからの話で徹夜で、じゃあ、セルフィ様とフリード様は?」
「チェスだ」
ミシュリーナとフリードの会話でした。
今日もお読み頂きありがとうございました!




