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目的と事実と焼きもちとの件

ちょっと今日は恋愛話モードで。

よろしくお願いします!!

「アレン!恋の力って凄いよね?」


ハルクの腕の中で気を失ったアレンはくさびかたびらを着けていたとはいえ、左肩からへそまでザックリと切られ鎖骨は折れ、大量出血で生きてるのが不思議なくらいの重症だったのだ。

そんなアレンは二日の昏睡状態を今朝やっと脱し、焼け残った男爵の館の一室でベットの上だ。


「愛だ・・・!愛と言え・・・」

「まあ、それくらいの冗談が言い返せるなら大丈夫よね?」

そしてそんなアレンの事が嬉しくて俺もせっせと看病をしている。


「・・・・すまなかったな。お前を守る役目は俺なのに・・・お前・・・火傷だらけだし、髪まで」

「可愛いいであろう?ひれ伏すがよい!って、フフッ?重病人はそんな事気にしない!トットと治す治す!ほら、喋ってないで口、アーン」


俺が口元にスプーンでスープを持っていくとアレンは素直に口を開ける。

あ、ちゃんと口、アーンするんだ。

何か、お前がかわいいぞ、アレン。ひれ伏さんがな。


俺もミシュリーナも小さな火傷ですんだのだが、髪は短く切らなければならないほど火でちぢれてしまったのだ。俺のストレートな腰までのブロンドはちょっと癖のあるショートボブになった。俺的には凄く気にいっている。手入れが楽だし、なにしろ、軽い!


「で?あいつらの目的ってなんだったんだ?」

あ、パンは勝手に右手でかじるんだな。良く食べるな。あ、二個入れた。

「うーん、タマリ王国の王位継承権」

「うぁぁっ?んんんっ?あんだぁ?ぞれっ?んぐぅ!!」

「ああ、もう!!アレン、ほおばったまましゃべらない、はい、水!!」


そして俺はアレンに今解っている事を正直に話したのだ。

タマリ王国の件に関してサルクドール男爵は何も知らなかった。

そう、男爵家がミシュリーナを引き取った理由は男爵夫人が子寺院で献身的に子供達の世話をしているミシュリーナを見て気にいったからだったのだ。

だから今回の件で長男が人質となっていたサルクドール男爵家は被害者となり、館の立て直し等は国から援助が受けられるよう、お父様に取り計らってもらう予定だ。


だがーー


「あの子がタマリ王国皇太子の忘れ形見とはな?」

「うん。だけどね?それだけなら何であんなに猛者連中をあんなに集めてるわけ?まるで」

「ああ、手っ取り早くこの国に戦争吹っ掛ける為だよな?」

「やっぱりアレンもそう感じたわよね?それにあいつらの目的って」

「十中八九、ダイナマイトだな?この国に来る可能性はそうだとしか思えない・・・だけど何で知ってるんだ?ダイナマイトの事?」

「さぁ?ただ、情報はどこかで漏れるものよね?だから、危ないわけよね?製造元のシュナイダー家」

「!!お前!」

「心配無用。もう国とアントワート家、辺境伯領からも軍を派遣するよう手配した。けどシュナイダー家の方が軍事のプロフェッショナルだし、街ごと要塞なんだけどね?」

「じゃあ、ハルクは?」

「アイリーンとセルフィ迎えに行ったから大丈夫」

「お前は?バルトが心配だろう?」

「大丈夫。アレン、心配しない。本当にシュナイダー領は要塞だから。それよりアレンは早く体治してよ?そして私達守ってよね?」

「・・・お前、俺の為に残ったのか?」

「フフッ、まだミシュリーナが狙われる可能性大だものね?」

「そうか、そうだな?あいつ・・・この手で殺しとけばよかった・・・」 

「あっちもケガしてるからね?・・・時間の問題だよ?アレン」



俺とアレンの心配は的中した。

しかしシュナイダー領手前でその怪しい一団をオールウエイ国陸軍第一部隊とアントワート部隊が一網打尽にしたのだ。もちろん、そこに駆け付けたハルクの働きが大きかった訳だが。

だが、予想通りその中にはディーンとヘイワーズはいなかったーー


「シルフィーヌ!!」

「バルト!」

男爵領で待つ俺は三週間ぶりに会ったバルトの胸に思いっきり抱き締められた。

「バルト、無事で!・・・・良かった」

「俺より、ああ、顔を。シルフィーヌ、良かった、本当にお前が無事で」

「みんなが助けてくれたの。でもアレンが」

「ああ、ああ、聞いてる」


「アレン、もう、大丈夫なのか?」

「ハルク!!」

隣でそんなアレンも帰ったハルクにしっかり、抱きついていた。


『印』持ち凄い!!回復、化け物なみ!!

それもほぼ食い物だけでってお前はルフ〇か!?


アレンはあれから10日しか経っていないのにもう傷口が塞いで来ていて左手だけで剣を振り回せるのだ。まさか俺の肩の傷もほっといても治ってたんだろうか?・・・あ、そういや火傷もミシュリーナに比べると俺の方がサッサと治ってるもんな?

て事は・・・ディーンの野郎も治ってる訳だ・・・



「ミシュリーナって?」

アイリーンと一緒に馬車を下りたセルフィがそう言って辺りを見渡す。

そんなセルフィに掛け寄ったミシュリーナは恭しく淑女の礼をしていたがその顔はすごく紅潮していた。




「ダメ!もう、ダメ!私、死んでもいいかも!!セルフィ様が・・・セルフィ様が!!可愛すぎる!!どうしよう!!亮!!触っていい?撫でていい?抱き締めていい?」

「いや、帝国皇子だから、それ無理だわ・・・とにかく落ち着こうか?紗理奈」

「本当に好きなんだな?紗理奈」


「ねぇ?なんて言ってるの?本当に違う世界の住人だったんだね?亮君とハルクは」


セルフィが目の前で日本語で話す俺と紗理奈と一馬を不思議そうに見た。

「ああ、ミシュリーナもか」

そう言ってセルフィはミシュリーナを見てニッコリ笑う。

「キャーッ!!もう!ダメッ!亮!一馬!」


・・・お前は一昔前のアイドルオタクか?紗理奈・・・



そして俺らは遅くまでかかってセルフィの知識とミシュリーナの記憶の情報を整合させていったのだ。






「ハルク様、いままでお兄様と?」

「なんだ、まだ、起きてたのか?アイリーン。そうだが?また、様ついてるぞ」

もう、遅い時間なのでそっと部屋に入ったはずの一馬を部屋の明かりとアイリーンが迎えた。

そしてハルクが脱いだ上着を受け取りながらアイリーンがその事には返事をしない。

「ん?どうした?」

「・・・・・別に」

「?」

上着を持ってクローゼット部屋に進むアイリーンを後ろから抱き上げる。

「きゃっ!一馬」

「ん、アイリーン」

そんなアイリーンにいきなりだが優しく唇を重ねる一馬。

リップ音をさせて唇を放すと赤い顔のアイリーンが顔をそむける。

「ん?どうした?ああ、そうか、悪かった。可愛かったからな?フフッ」

「・・・・」

一馬のその言葉に無言で下を向くアイリーンは真っ赤だ。

そんなアイリーンを一馬はそのまま寝室に運びベットに優しくおろす。

「向こうで着替えてくる」

「あ、手伝います」

「いい、待っていてくれ」

「あの・・・ハルク様?」

「また・・・なんだ?俺の姫様はなにを拗ねてるんだ」

「拗ねてなんか・・・!」

「唇、尖がってるぞ?昔からそれ、お前が拗ねてる証拠」

「ひどいッ!尖ってなんか・・・」

と言いながら口を両手で覆うアイリーン。そして

「髪・・・切ろうかな・・・私・・・」

「なんだ?急に。ん?」

そんなアイリーンの横にハルクは座るとアイリーンの頭をなぜながらシャツを緩める。

「だって、短いのお好きなんでしょう?だって、頭、ずっと撫でてた・・・シルフィーヌ様にミシュリーナ様、アレンの頭まで・・・」

「え???撫でてたか?俺・・・・ん?まあ、確かにミシュリーナは子供で可愛いいしな?そう言うアイリーンも撫でてたじゃないか?特にシルフィーヌは抱き締めて撫でまわしてなかったか?お前」

「そ、それはあんまり似合ってて可愛かったからつい!って私はいいの!女同士だから・・・でも、一馬は・・・その・・・ああ、だから私も髪、短くしますから!」

「ダメだ。結婚式は結い上げてくれ。俺はそれがいい」


するとアイリーンは頭からガバリとシーツを被って隠れてしまった。


「なッ・・・もう、なんでアレンまで撫でまわすのよ・・そりゃ、無事だったのが嬉しいのは私も一緒だけど・・・あんなに嬉しそうに抱き合わなくてもいいじゃない・・だから私・・・」

「ん?声小さくって聞こえない。アイリーン?」


10歳頃までアレンを褒めると『私もアレンの出来る事は出来るからっ!』てわざわざ言いに来たアイリーンを思い出しああ、って納得した一馬だった。

そしてそんなアイリーンに覆い被さると嬉しくってシーツごと抱き締めた。







今日もありがとうございました!!

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