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変化の件

今日はちょっとダークです。血も流れちゃいます。

苦手な方は回避でお願いいたします。

では、大丈夫な方、よろしくお願いいたします!!

「やぁ?初めまして。会いたかったよ?シルフィーヌ。私の恋人(スイートハート)。ククッ」


ディーンの後ろから入って来たのは間違いなくゲームの隠れキャラのヘイワーズ。

肩までの真っ直ぐな黒髪はオールバックで撫で付け高い鼻には丸眼鏡が乗っている。

ああ、何か執事の漫画でこんなキャラいたなぁ?名前セバスチャ〇でいいんじゃねぇ?体格といい、とてもそっくりな男前だ。


「いきなりその態度は無礼ではありませんか?」

「おや?シルフィーヌ、ミシュリーナに色々聞いたんじゃないかな?私の事は。まさか、もう二人が知り合いだったとは。お前には騙されたよ?ミシュリーナ」

「何の事です?ヘイワーズさん?」

いきなり入って来た二人に驚き立ち上がったミシュリーナの肩をヘイワーズは背後から掴んで見下ろす。

「まさかお前もグルだったなんてな?おまけにハルクまで一緒って。お前、この話関係ないだろう?」

「痛いっ!止めてっ!」

ミシュリーナの腕をネジあげると対面のソファで足を組んで座るハルクに笑う。

「ほう?私を帝国軍大将、ワズナーと解っていてのこの狼藉とはな?それに小さな女の子に乱暴を働くのも許しがたい。そっちのヤツ?先日、シルフィーヌ姫にはかかわるなと言ったはずだ。二人とも命はいらないようだ」

ハルクはソファ越しに立つ二人を睨む。

「今すぐミシュリーナを放しなさい。でないと叩き切るわよ?」

俺も同じように睨み上げる。


「おやおや?相変わらず、威勢のいいお姫様だね?僕のシルフィーヌは。おっかないねぇ?二人とも。だが今、形勢不利なのは君達だよ?」

そうディーンが言うとヘイワーズがミシュリーナの首にスッと小刀を当てる。


「ここで事を起こせばすぐさまこの館に火をつける。ああ、それにこのミシュリーナの家族も僕が合図をすれば皆殺しだ。まずはこいつから行こうか?」


そう言うとヘイワーズは真横に小刃を軽く引いた。

するとミシュリーナの白い首からは一筋の赤い血が流れ落ちる。


俺は一瞬で立ち上がると腰の剣を抜き取りヘイワーズの額に突き付ける。

ディーンも俺と同時に剣を抜きハルクの額に剣を突き付けていた。


「ああ、動くなよ?ハルクも。ねぇ?僕の可愛いシルフィーヌ?君は傷つけたくないんだ。大人しく言う事聞きなよ?」


「まったく。ひどいな?驚いてミシュリーナを傷つけるところだったじゃないか?それに茶番は止めたまえよ?シルフィーヌ。お前が転生者だって事はわかってるんだからな?ディーン王子に"キモイ”って言ったんだって?アハハ!キモイって!傑作ですね?どうせ、バカな日本のJK(女子高校生)だったんだろう?お前は!!」

「お前こそ、覚悟なさい。即刻、真っ二つよ?」

「おやおや?性格は悪役令嬢かい?こりゃ、またまた傑作だ!じゃあ、取引。髪飾りを私にくれたらミシュリーナ放してや」


ヘイワーズが話しているのもお構いなしにハルクが立ち上がる。

そして素早くディーンの構えた剣の先を左手でムンずと掴む。


「何を!血迷ったか?ハルク!って、なっ、なんだ?・・・動かせない!?」


ディーンは手袋をはめてはいるとはいえ、目の前でハルクのその左手がしっかり剣の刃を掴んでいる状況が信じられず思わず両手で自分の剣を掴み直し力をこめる。

が、ディーンの剣はピクリとも動かない。

いや、ハルクの片手で掴んだ力の方が強くて動かせないのだ。


「何をやってる・・・?ディーン?どうなっているんだ?」

これまた目の前の状況が信じられないヘイワーズがディーンに叫ぶ。


「どうやらお前達はこの部屋から生きては帰りたくないようだな?」


ハルクがそう言い終わらないうちにディーンは剣ごと部屋の壁にぶっ飛んでいた。

ハルクが右足で素早く回し蹴りをくらわせたのだ。

それと同時に俺も目の前のヘイワーズの小刀を構える手を掴み、捻り上げるとその顔面に剣の柄を打ち込んでいた。


「グワッ!!」

変な悲鳴と変な音を立ててヘイワーズが後ろに倒れる。


ミシュリーナはソファに乗った俺の両足とソファの背もたれに挟まれ腰が抜けたようにへたり込む。


「なんだとぅ・・・?この俺より強いだとぅ・・・?」

壁にぶつけられたディーンは頭を振りながら床から上半身を起こして唸っている。


「くそぅ!!よくも私の顔に!!シルフィーヌ、許さんぞ!!」

同じく鼻血を出し、眼鏡が壊れたヘイワーズが床で起き上がろうとしている。


しかしそんなヘイワーズの胸をソファを飛び越えた俺が片足で踏みつけ仰向けに抑え込むと顔を覗き込んだ。

「なぁ?死に土産(みやげ)に何が欲しい?ヘイワーズ?」


「なッ!!クハッ!!」

ヘイワーズの鳩尾(みぞおち)を俺はブーツの踵に力を入れ踏み込む。

ヘイワーズの口からは泡が噴き出る。


「なぁ?何が欲しいかって聞いてるだろう?ヘイワーズ?」





「色が・・・変わった?ハルク・・・なんだ、お前!!」

隣でディーンの声がする。


俺は構わずヘイワーズを踏みつけ問いかける。


「なあ?早く言えよ?ヘイワーズ?速く楽にしてやるからさ?」

「なん・・・だ?その・・こ・え・・?・・それ・・にそ・の・ウグッ!」



「ヘイワーズ!!引くぞ!!って!シルフィーヌから離れろ!!ヘイワーズ!!こいつら、変だ!!色が!!」

「お前こそ、人の事、構ってられるのか?ディーン?」



「「お終いだ」」


兄貴と俺の声がまったく同じ声でリンクする。



ハルクがディーンの頭に剣を振り下ろす。

俺もヘイワーズの胸に剣を突き刺す。



「止めてッ!!一馬ッ!!亮もッ!!」

ミシュリーナの叫びが響き渡る。


「くっ!!」

ハルクの剣をギリギリでかわしたディーンの右耳からは剣がかすったのか血が流れている。


俺の腰にはミシュリーナが抱き着いている。

そして目の前には床に無様に転がるヘイワーズが胸から血を流し驚愕の表情を浮かべ完全に固まっていた。

俺の剣がその胸のギリギリのところで止められていたのだが振り下ろした剣圧で皮膚が()けそこから血が滲み出ているのだ。


ディーンは目の前のハルクを見て言葉を吐き捨てる。


「なんだよ、こいつら?・・・色が・・・真っ黒だ・・・クッ!ヘイワーズ!!引くぞ!!」



「勝手に引くなよ?ヘイワーズッ!!」

俺は思いっきりそのヘイワーズの顔の横ギリギリの床に剣を突き刺す。

「ヒッ!!」


「止めて!!お願いよッ!亮!!」

ミシュリーナの声が更に響く。


「さ、り、な・・・?」

俺はその方に振り向くと剣から手を放す。

そして腰に抱きつくミシュリーナの手を思わず握った。

「そうよ?紗理奈よ?亮、もう、止めてよッ!一馬もお願いッ!!」

ハルクがディーンに振り上げた剣をピタリと止めた。

ディーンは素早く立ち上がると急いで声を張り上げた。

「ヘイワーズ!来いッ!」

その声にヘイワーズも我に返り、胸を抑えながらも立ち上がるとディーンがそんなヘイワーズを肩に担ぎ上げ素早く部屋を飛び出す。



「一馬!一馬!」

紗理奈が今度は一馬に駆け寄りその胸に抱き着く。

一馬が胸に抱きつく紗理奈を見下ろすと剣を投げ捨て抱き締める。

「紗理奈・・・?ケガは?」

そして首を確かめる。

「そうだ!紗理奈、ケガ!」

そんな紗理奈の元に俺も急いで掛け寄る。


「私は大丈夫よ?ただの切り傷よ?それより一馬も亮も・・・なに?なんなの・・?今の?まるで・・・」


「まるで・・・?」

「なんだ・・・?紗理奈?」


「まるで・・・アスラだわ・・・」


アスラ・・・?なんだ・・・それ?



突然、サルクドール男爵夫人が部屋に駆け込んで来た。

しかし、その肩は大きく裂け血が流れ落ちている。


「ミシュリーナ!ミシュリーナ!ああ、無事なのね・・・良かった、さあ、早く!逃げるの!火が、火が、そこまで来てるの!早く!」

「お母様!お母様!血が!」

そんな夫人にミシュリーナは駆け寄る。

「大丈夫!、私は大丈夫。それより早く!皆様も、早くお逃げ下さい!火がそこまで来ているのです!」


きな臭い匂いが立ち込めると黒い煙が廊下から入り込む。



クソッ!!ディーンの野郎、本当に火をつけたのか!!









大丈夫でしたでしょうか?

ちょっと、痛かったですね?すみませんです。

今日もお付き合い下さり有難うございました!!

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