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Meteoric Shower  作者: 東京 澪音
2/7

江の島神社にて


さすが休日の湘南。


道路は大渋滞し、ビーチには海水浴客とサーファーで溢れている。

バイクでよかった。夏の湘南は車で来ちゃいけないよ。


僕らは134号線沿いの江の島近くにあるハンバーガーショップでお昼をとっていた。


「ランチって言ってたのに~。なぜにハンバーガーかな?しかもチェーン店だし!折角神奈川県まで来たんだから、もっとオシャレなお店でご飯が食べたかったよ!」


どんなランチを想像してたのかわからないけど、お金のない高校生のお財布事情をもう少し理解して頂きたい。


灯は少しふくれっ面になりながらも、ハンバーガーにかぶりついていた。


「奢って貰っといて文句言うなよな~。単車を買っちゃったから、そんなにお金がないの!」


僕は大好きなテリヤキバーガーをアイスティーで流し込む。

しかし、テリヤキバーガーを考えた人は偉大だね!僕は毎日これでもいいくらいだ。


そんな事を考えていると、ポテトを食べながら灯が少し興奮気味に話し出す。


「でもさ、バイクっていいね!風がとても心地いいの。うまく言えないけど、風になるってこういう事なのかな?って思った。」


僕もその気持ちはわかる。

実際初めてバイクに乗った時、灯と同じことを思ったし、何とも言えない魅力がある。


「お!さすが灯!バイクの魅力をわかってくれるなんて、なかなかイイ女だな!」


そう言うと灯は少し照れたのか、顔を赤くしてそっぽを向く。


「ば、馬鹿じゃないの!?」

僕はその様子が少し可笑しくて、声を殺して笑った。


しばらくして、僕らはハンバーガーを食べ終わると、江の島大橋を通り江の島に入る。


有名なデートスポットだけに、もの凄い混雑。

幸いバイクを止める場所がすぐに見つかった為、僕らは江の島散策に向かった。


江の島神社に向かう細い坂道を少し上ると、ただでさえ混んでる道に行列が出来ていた。


何だろう?

その先を目で追うと、どうやらせんべい店の行列らしい。


ここ、あさひ本店は丸焼きタコせんべいが有名で、平日でも行列ができるほどの人気店だ。

江の島に来たらぜひ食べる事をおすすめする!って雑誌にも書いてあったな~、確か。


灯は丸焼きタコせんべいに釘付けとなっていたので、仕方なくその列に二人で加わる。

「さっきハンバーガー食べたばっかだけど大丈夫?」


そう言うと灯は笑顔で答える。

「だいじょぶ、だいじょぶ!別腹だから。」


甘いものじゃないけど別腹なのね(笑)


行列が出来ているものの、然程待つこともなく無事にせんべいを買うと、僕らはタコせんべいを食べながら坂道を再び登って行く。


鳥居の先にはこれまた急な階段。

灯は人ごみと坂道に疲れてしまったみたいで、少しグッタリしている。


今日は暑いし、この人込みだ無理もない。しかも朝からはしゃぎ気味だったし、疲れが出たのかも。

でも、ここまできてこのまま帰るのも寂しいんで、僕らは上を目指すことにする。


途中、エスカなる有料エスカレーターを発見したが、自力で登ってこそご利益があるってもんだ!と言い聞かせながら、その誘惑を振り切り先を目指した。


中腹までくると灯が完全にへばってしまったので、少し休憩する。

来た道を振り返ってみると、結構な急坂。そして人だらけ。


上り下りする人たちの邪魔にならない様に、隅の方に避けつつ景色を見ると、江の島大橋に渋滞の列が見えた。


風が吹いてきた。


しばらくして、先に進もうと灯をたき付けるが、彼女は動こうとしない。

「もうこれ以上は登れない。無理!」


そう駄々をこねだした灯。

もう少し休もうかと思っていると、ふいに灯が手を出した。


「手。」


???


「手よ!手!もう鈍いな~。引っ張ってって!そしたら頑張って登るから」



急な展開に少しテンパったが、僕は灯の手を取ると、また階段を歩き始める。


「よし!もう少しだから頑張ろうな。折角ここまで来たんだもん、二人でお参りして帰りたいし。」


などと誤魔化したものの、正直少し恥ずかしかった。


小さい時からずっと一緒だから何を今更とか思ったりもしたが、考えてみれば僕らが触れあったのって、小学6年生の頃が最後だ。


あの頃に比べると随分と灯も成長したもんだ。


バイクに乗せて後ろから抱きつかれた時なんか、身体がとても柔らかくてびっくりした。

今握っているこの手もそうだ。とても柔らかくて、離してしまうのが惜しいと感じてしまうくらいだ。


意識してしまうと更に恥ずかしさは増し、僕は黙って上を目指した。


「ちょ、ちょっともう少しゆっくり!」


慌ててペースを落とすと、彼女に歩幅を合わせて再び階段を登った。

頂上までたどり着くと僕らはお参りを済ませた。


折角なので社務所に立ち寄る。

社務所には沢山お守りが売られていた。


色々と物色している僕を横目に、彼女の目はある一点で止まっている。

その先を追いかけると、そこには指輪があった。


指輪のお守りなんて結構珍しいね。

値段は・・・500円。安い!


コレ位なら僕の懐もそう痛まない。

僕はそれを一つ手に取ると、巫女さんお金と一緒に渡した。


巫女さんはそれを江の島神社と刻印された袋に入れ、僕に差し出す。

「はいこれ。」


僕は灯に差し出した。


灯はそれを受け取ると、キョトンとこちらを見る。

僕はそんな灯を笑って見ていた。


「ちょ、ちょっと待ってね!」

我に返った灯はそう言うと社務所で何かを購入して今度は僕にそれを手渡す。


「はいこれ!今日は色々ごちそうしてくれたし、江の島まで連れて来てくれたからお礼。」

袋から出してみると、さっきの指輪だった。


「あんたお守り持っててもなくしちゃうでしょ!?だから学校以外ではそれをいつも身に着けてなさい!」


僕はそれを指にはめてみた。

指輪はフリーサイズで調整も効く為、男性でも問題ない。


灯もそれを袋から出すと薬指にはめていた。


なんだろう?少し心がこそばゆい。

僕らはお互いにお礼を言い合うと、来た道とは違う道から神社を下る。


「ん。」

そう言うと灯は僕に手を出す。


「はぐれたら大変でしょ!?」

ちょっと照れくさそうに言う灯の手を取ると、僕らは江の島神社を後にした。


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