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最初で、最後。  作者: 陽花瑠
第1章
5/12

気づいたキモチ

翌日。今日も生物室に向かう。


宏翔は、いつもあたしからは見えない死角にいる。

あたしが近づくと宏翔も近づいてくる。


学校の王子様が、あたしのためだけに時間を割いて、あたしのためだけに微笑んでくれる。


その笑顔も、キラキラして見える。

やっぱりこれは、恋、なんだろうか。


「なぁ、美緒」

「何?」


いつもはなんにも言わずにキスしてくるくせに。

なんでそんな優しい声で話しかけてくるの。


「今度の金曜……ってもう明日か。明日は、来なくていい。俺用事あるから来れない」

「え……あ、そ、っか。わかった…知らせてくれてありがと」


必死で言葉を紡ぎながら、内心は自分の言ってることもわからないくらい動揺してた。

だって、来なくていい、なんて言われたの初めてだったから。

もしかして会いたくないのかな、とか考えてしまう。


「おいで」

「……っん……」


だから、思考を停止させるように、いつもより深く口づけた……









あのあとも、なんだか気まずい沈黙が部屋を覆って、あたしはその空気から逃げるように早々と帰ってきてしまった。


だけど、家に帰る気にはなれなくて、梨子の家に行った。




「美緒。いらっしゃい」

「突然ごめんね、梨子……」

「いいよー。でも、なんかあった?今日、いつもより早いよね?」


もぅ……。梨子には隠し事できないなぁ……。

今日のことを話す。


「そっか。来なくていいって……。ちょっと待ってよ、立森ってばひどっ!!」

「ま、まぁまぁ、梨子。あたしも、最初はなに言われてんのかわかんなかったんだけどね」

変なこと言ってないと思うけど、心の声がでてたらどうしよ。

「ちょっと、美緒!?そんなのんきな事言って!どうすんの、立森の用事が本命とのデートとかだったら!!」


……デート……!?そ、その考えはなかったなぁ……。


「え、美緒?じょ、冗談だよ?」

突然梨子がうろたえだした。え、なに、なんかあったの?

そこでようやく、あたしは自分が泣いてることに気づいた。

え、なんでだろう。早く泣き止まなきゃ。

だけど、涙は止まらない。

「美緒……。ごめん、変なこと言って。でもさ、それって泣いちゃうくらい立森のこと好きってことだよね?」


言われて顔が熱くなった。

だけど、それがあたしの今の気持ち。

あたしやっと、宏翔のこと、好きって気づいたから。

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