決断
「そっ、そんなこと……」
嫌に決まって……。
……ほんとに?
ほんとに嫌じゃなかったっけ?
「美緒?ねぇ、美緒ってば」
梨子に声をかけられて、はっと我に返った。
「え、あ、ごめん」
「もう。美緒はそういうとこあるよね。それがいいとこでもあるけど。で、立森にキスされて、どうなの?」
「……。嫌じゃない、かも……」
「ほら、絶対そうだよ。好きとまではいかないかもだけど、嫌いではないでしょ、いろいろされてるのに。好意持ってなかったら普通はめっちゃ嫌いになるよ、それ」
「そう、なの……?」
わかんないよ。恋愛なんて、梨子と違ってしたことないもん。
どういう気持ちが恋、とかわかんないよ……。
「ワタシはそう思うな。この関係、いつまで続けるのか知らないけど、もし美緒が本気で立森のこと好きなら、ワタシは反対。立森の気持ち、わからないもん。続けるんなら、ちゃんと付き合いなよ」
「それは、そうだね……。よしっ、明日。明日会って、確かめてみる」
やっぱり、けじめはつけたいから。明日で、決着つける。
「美緒って決断早いよね……」
そう言って梨子は苦笑してたけど、これがあたし。
決戦は、明日。この決断が後に大事件を引き起こすことになるとは、だれも予想してなかった。