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最初で、最後。  作者: 陽花瑠
第1章
3/12

わからない

あれから一週間が経った。


放課後に生物室に行き、ただ他愛無いことを話して、時々……キス、したり。付き合ってるわけじゃないのに、こんなことしててもいいのかな。


今日もまた、生物室での密会が終わる。最近、宏翔はキスのときに抱きしめてくる。……まるで、彼女にするみたいに。


あたしも、それを心地いいと感じてしまってる。この気持ちは何……?



「っん、」


「いい声。もっと聞かせろよ」


そう言ってまたキスをはじめる宏翔。当然のように手はあたしの腰。


「っも、やぁ……。帰らな……きゃ……」


「あとちょっとだけ」


「んんっ」


開放されたのは30分後。あたしたち、家は近いのに一緒に帰ったりはしない。それがあたしたちの距離。心の距離なのかも。




家に帰ってすぐ、梨子に電話した。もう、この関係のことを隠しておけなくなっていたから。今日も一緒に帰れないって言ったら、


『美緒、なんか隠してるでしょ。今までは黙ってたけど、今日は許さないから。帰ったら電話してよね』


そう言われちゃった。

それに、あたしも宏翔に対する気持ちが膨らんでるんだけど、正体が掴めなくてもやもやしてるから、梨子に聞いてほしい。



『もしもーし。美緒?今中学のそばのガストにいるんだけど、来れる?無理ならこれから美緒ん家行くけど』


「分かった、行くから待ってて」


自転車で5分。ガストに着いて梨子を探す。


「美緒!こっちー!」

梨子と向かい合わせで座って、ドリンクバーを注文する。



「で?美緒はこの一週間ワタシになにを隠してたわけ?」

「実はね……」

あたしはこの一週間のことを洗いざらい梨子に言った。宏翔とぶつかったこと、ファンクラブにバレない為に放課後に会っていること、付き合ってはいないのにキスしてること、それから、自分の気持ちが分からないこと……。


「ねぇ梨子、あたし、どうしたらいいの?」

「美緒……それ、『恋』じゃないの?」



……………は?



「な…何言ってんの?恋なんて……」

「考えてみなよ。キスされて、嫌じゃないんでしょ?」


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