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最初で、最後。  作者: 陽花瑠
第2章
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忍び寄る影

「おかえり、美緒。何だったの?」

教室に戻れば、梨子の訝しげな目。

「先生に呼び出された、なんて嘘なんでしょ」

ぎくぅっ。

忘れてた、梨子ってばそういうとこほんとに鋭いんだから。

「う、嘘じゃないよ。ほんとだって」

「じゃぁ、なんで今日は朝から女子の目線がきついの??しかも美緒にだけ」

「りっ、梨子っ。今日、一緒に帰ろう。そんで、家に、来て」

もう、やっぱり梨子は鋭い。呼び出したのは先生じゃないってことも、しかもそれが宏翔関係の人だってことも分かってるんだろうな。

梨子には隠し事なんて、昔からできたことない。

あたしのことなら何でも知ってる、それが梨子。

どんなときも味方でいてくれて。

「分かった。じゃぁその時に聞かせてよね。秘密なんてダメだからね」

「うん」

さっきの先輩よりも、梨子の追及のほうが怖かった……。

あ、宏翔に連絡しなきゃ……。

今日も一緒に帰ろうって言われてるのに破っちゃうなぁ。


『今日、梨子と帰るから。ごめんね。あと、昨日の見られてたみたい』


そう宏翔にLINEして、返信を待った。


『そっか。風間なら安心だ。気を付けて帰れよ』


すぐにそう返信がきて、怒ってなくてホッとする反面、あっさりしてるなぁってちょっと寂しくなった。


そんな気持ちのまま午後の授業を乗り切って、放課後。

「美緒。行こ」

同学年の女子や先輩に睨まれながら学校を出る。

今日一日で、一生分の憎悪を身に受けたって感じ。

人って、こんなに憎悪を露わにできるものなんだね。

「もう、美緒が可愛いからって僻むんじゃないよね」

「え、可愛くなんか……」

いや、あたしが可愛いとか何かの間違いでしょ。

あたしが可愛かったら世の人はどうなる。

この世に存在する人全てが可愛いじゃないか。

「これだから無自覚は……」

はぁっと悩ましげに溜息をついて梨子は呟く。

それからも女子の皆さんのかなりの恨みがましい視線を受けながら家に帰った。

「どうぞ、汚いけど」

「あらあら、梨子ちゃんじゃない、いらっしゃい。ゆっくりしていってね」

お母さん……。空気読んで……。

「おじゃまします。でもすぐにお暇しますのでおかまいなく」

「お母さん、何か飲み物ない?出してくれる?梨子、先に部屋入ってて。マジで汚いけど」

「わかった」



お菓子を出そうとするお母さんを振り切って部屋に。

こんな話、お菓子を食べながらするようなもんじゃない。

「梨子、お待たせ」

「いいよ。じゃぁ、早速だけど聞かせてよ。昼休み、何があったの?」


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