不穏な影
――翌日。
「あれ、おかしいな。なんでないんだろう……」
いつも通りに起きて、いつも通りに学校に来た。
いつも通りの日常、のはずだった。
「あたし、もしかして下駄箱間違えたかな。うん、そうかも」
そう思って確認してみても、ここは紛れもなくあたしの下駄箱。
そもそも、体育用のスニーカーが入ってるんだからあたしのだ。
「おはよう美緒。……美緒?そんなとこに突っ立ってどしたの?」
「梨子。おはよ。や、なんでもない。行こ」
だけど、上履きを履いてないあたしを梨子が怪しまないはずなくて。
「なんでもないわけないでしょ。何があったの」
「……わかんない。あたしにも心当たりなんかないもん」
「そうなの……。じゃあとりあえずスリッパ、借りに行こう。それから昨日のこと聞かせてよ。その顔を見る限り、うまく行ったんでしょ??」
あたしが昨日宏翔に告ったこと、だよね。
梨子にはなんでもお見通しだ。
「うん、スリッパ、ね。てかどこにあるの」
「職員室、じゃないの?ワタシもよく分かんないや」
職員室に行ってスリッパを借りたいと言うと、変な顔をされたものの一応貸してもらえた。
その後梨子と一緒に教室に向かう途中、なぜか女子があたしのほうを見て何か話してる。
自意識過剰だって思えないくらいに憎悪のこもった目。
しかも、なんか派手な子が多い。
あたし、何かしたのかな。
――ガラガラッ
教室に入ると、一部の女子の声がスッと小さくなったのが分かった。
それでも違和感の正体を掴めなくて席に着いた。
授業の準備のために机の中から参考書を取り出そうと手を入れた。
――ガサッ
一枚の紙が出てきた。




