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第6話 これから始まることについてちょっと説明してよ

 そのあと二人は何も言わず沈黙を貫いていた。


「まぁ、そんなところだな」

「…………」


 最初に沈黙を破ったのはベル。

 それに対してゆかりはまだ黙ったままである。


「さて、早速ではあるが、修行してもらおうかな? 覚悟はいいかい?」

「今から!? って、今日は水曜日だから……あと木曜日と金曜日の二日間学校だから……土日にしてくれない?」

「そうか……学生だから仕方ないよな。今日は説明だけでも!」

「ならば、晩御飯を食べながら聞くよ」

「そうこなくちゃ!」

「ハイ。まずは晩御飯のカレーを作らなきゃならないから、またテレビ見るか何かしてて」

「分かった。今日はカレーライスかぁ……楽しみだな!」


 ゆかりはエプロンをつけ、キッチンに向かい、晩御飯の準備を始める。

 一方のベルは再びテレビの電源をつけ、ニュースが終わってしまったため、今度は音楽番組を見始めていた。



 *



 あれから数十分後……。

 キッチンからグツグツと野菜が煮える音が聞こえてきたところでカレールーを入れ、さらに煮込んでいる。

 その間にレタスをちぎり、水で洗い、ニンジンの千切りとキュウリの輪切り、ミニトマトを乗せてサラダが完成。

 さらに煮込んでいたカレーを一口味見する。


「ニンジン、ジャガイモは硬くないからよし! ベルー、晩御飯ができたよ!」

「ハーイ」


 ベルはテレビの電源を切り、おぼんに乗っている出来上がったカレーライスとスプーン、フォークをゆかりは残りのサラダとドレッシング、烏龍茶をダイニングテーブルに持って行く。


「いただきます」


 二人揃って手を合わせて言う。

 ゆかりはフォークでミニトマトを食べながら、「早速訊くけど、修行は何するの?」とベルに問いかけた。


「修行内容は簡単だ。魔術を覚えること、それだけだ」

「魔術って? 例えばどんなもの? あの中二病だかなんだか知らないけど、長ったらしいものだったら覚える気にはならないからね!」

「まぁ、長くはないが、例えばα(アルファ)やμ(ミュー)、β(ベータ)は日常でよく使うよな」

「うん、数学とかに使われてるかも……。むしろ、数学用語じゃん」

「そうだけど、それらにはそれぞれ意味がある。αは過去を予知する魔術で、βはαとは逆に未来を予知する魔術。μは恋愛関係の魔術だ。さっきの3つの魔術を含め全24種類ある」


 ベルは一部の魔術の説明をするが、ゆかりは「ふーん……」と聞き流している。

 彼女にとっては興味が湧かない話だったようだ。


「……全く興味なさそうだが……」

「そりゃそうだよ。魔術云々(うんぬん)以前に魔術なんか存在しないこの世界でそのような話を聞いただけで興味が湧く人はあまりいないと思うよ?」

「そうだけどさ……」

「で、その数学用語の魔術を覚えてどうするの?」

「よくぞ聞いてくれました! その魔術を普段の生活に使ってもらう。口に出しても構わないが、できるだけ心の中で言ってほしい」

「心の中で?」

「そうだ。その魔術を心の中で上手くコントロールしたりするのさ。まぁ、一部の魔術には人格崩壊が生じるものもあるけど」

「私にもできるかなぁ……?」

「できると思う。オレは伸縮自在でいつでも一緒だから……」

「今でも信じがたいけど……。嫌とは言えないな……」


 二人は少し冷めかけているカレーライスを数口食べる。


「少し冷めちゃったね」

「そうだな。で、どうするのかい?」

「……やってみようかな……」

「じゃあ、土日から?」

「……うん……」


 ゆかりはベルの誘いに承諾した。


 彼が教えるであろう修行とはなんだろうか……。

原作版・第2話の後半部をベースに改稿


2015/09/07 本投稿

2016/06/19 改稿

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