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第3話 居候になる予定の彼は伸縮自在!?

 ゆかり達はとある電柱の街灯の下にいる。

 周囲には止まっている車はなく、通行人も彼女ら以外誰もいない。


「同居人って、どういうことなの!? ひょっとして、私の家のマンションで居候(いそうろう)するっていうこと!?」

「えっ、そうだけど」

「あのねぇ……そのダンボールも持って行くの?」

「いけないのか?」


 ベルは素っ気なさそうな口調で言う。

 先ほど彼が犬として入っていたダンボール箱を両手で持ち上げた。

 そのダンボールの中にはバスタオルと餌入れ、フリスビーが入っている。


「おかしいでしょ!? 何か野菜が入っているとかならまだ分かるから別だけど!」


 その中身を見たゆかりはそのダンボールをビシッと指差した。


「それだったら、ダンボールの蓋を閉めれば大丈夫だろ? このダンボールは『北海道産ジャガイモ』って書いてあるからそんなに違和感は感じられないと思うんだが?」

「確かに、そうだけど……うちのマンションはペット同居OKだからベルが犬だったら喜んで家に連れて帰れたのにな……。あれ、ベル?」


 頭を掻きながらゆかりが言った瞬間、ベルの姿が見当たらなくなってしまった。


「なぁ、ゆかり! 俺はゆかりの鞄のチャックのところにいるぞ! 早くしないと落ちるから助けてくれ!」


 ゆかりは何も言わずに呆れながら、鞄のチャックがあるところすべてを探してみると教科書とか入れる大本のチャックにベルがいた。

 彼は小さくなってチャックにしっかりと必死になって捕まっていたため、彼女は右手に彼を乗せる。


「よっと……助かった……これでどうだ?」

「どうだって言われても……ただ小さくなっただけじゃん!」

「いけないか?」

「いけなくはないけど、なんで小さくなってるの!?」

「これなら、恥ずかしくないだろう? 俺が居候だっていうことがおそらくバレないだろうし。部屋に着いたら、もとの大きさに戻ればいいし」

「確かに。これなら恥ずかしくないよね! マンションの管理人さんや全校生徒に怪しまれない!」

「そこっ!?」

「うん!」


 ゆかりはフィギュアのように小さくなったベルを見てはしゃぐように喜んだ。


「まぁ、このぐらいに小さくしないと制服のポケットや鞄に入らないからさ。ところで……」

「ん?」

「もとの大きさに戻ってもいいか?」

「えっ? なんで?」

「俺、そのダンボールを持たないとならないし」

「あっ、そうだったね! 私も後ろの荷台に紐がついてないから乗せられないもん。ごめんね?」


 ゆかりが小さくなったベルを足元に立たせると、彼はもとの大きさに戻り、彼女を驚かせた。

 そして、彼は中身の軽いダンボールを再度両手で持ち上げる。


「暗いからもう家に帰ろう」

「う、うん……」

「俺、ゆかりの家は知らないから案内してほしい」

「わ、分かった……」


 ゆかりは自転車のスタンドを外し、ゆっくりと押し始める。

 ベルと並んで彼女の自宅であるマンションに向かって歩を進め始めた。

書きおろしエピソード


2015/08/15 本投稿

2016/06/19 改稿

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