第四の魔物
一気に投稿しておいて振り返ってまったく区切りがよくなかったことに気づきました
それに伴って前話の無駄にドヤ顔で書いたラスト付近は削除。
追加のこの前後話で一章は終了です
一気に書いてみましたが誤字脱字話の流れがおかしいかもしれません。
まるで守るように後は任せろ、と言わんばかりに三体のスケルトンはそこに立っていた
剣、槍、斧
近接三種の武器をそれぞれ持った彼らは先へ急ぐ私達を追跡者から守るようにそこに留まってくれていた
通り過ぎるとき
彼らは示し合わせたように私達に向かって空いた手を上げた
死なない事だけを祈っていた
――災厄の骨の手記
どこまでも続く一本道。下へ下へと下がるそれにふと地球での実在不明な場所の事を思い出した。黄泉比良坂。冥府へと繋がるとかいうそれを何となく連想した。
死者の自分はなんとも無いが、追っ手だろう帝国、あるいは元クラスメートはどうだろうか。まあ今考えることではない。今はとにかく先に進むだけだ。
『この先ほんとに終わりがあるんだろうな?』
だいぶ歩いている気はする。ただどうも実体がないような気が何となくしてきた。これ、無限回廊とかそんなのじゃないよな?
頭の上のスライムは気にするなと言わんばかりにただ震えるだけだ。何も考えていないのかもしれないが案外無心でいくほうが上手くいくのかもしれないな。
坂の終わりは唐突にやってきた。坂の終わりと同時に明らかに何者かの手によって作られた朱色を基調とした門がそこにあった。何故か鳥居が連想された。しかもその門には門を守るのだといわんばかりに三体の自分と同じスケルトンと思しき骨がそれぞれ剣、槍、斧を持って仁王立ちしている。
『敵、か?』
同じスケルトン。仲間であって欲しいが不安だ。どう見たって武器の一つも持っていない新米の骨に目の前の歴戦の骨相手に敵う気がしない。とりあえず会釈をしてみる。この門開けてもらえないだろうか。
無言で真ん中にいた槍を持った骨が槍を斧を持った骨に渡し、門を両手で押し始めた。
音も無く開いていく門。
完全に開ききったそれに通れと言わんばかりに斧の方に身を寄せた槍の骨は動く気配は無い。他の二つの骨も動く気配は無い。
通って良いのだろうか? 骨は通行OKなのかもしれない。ならありがたく先に行かせて貰うだけだ。どっちみちレギオンの事で死体捨て場に目をつけただろう帝国が調査しに来るのは間違いないのだから戻るのは自殺行為だろう。ここから先も正直怪しいが後ろの見知った嫌な奴よりは見知らぬ正体不明の何かの方がまだましだと俺は思った。
『ありがとう』
短くそういって俺は開いた門の方へと歩みを進める。門を潜り抜けるとき、三対の骨は示し合わせたようにこちらを向いて武器を持っていない方の手を上げてきた。
まるで頑張れよと応援されているような感じがしてたぶん気のせいの可能性は高いがそれでも感動してしまう。
『ありがとう。出来れば死なないでしい。骨としてやられても何度も立ち上がる不屈さを。諦める事無く生き延びて欲しい』
言った後もう死んでるだろと気づいたがいまさら取り消せはしない。恥ずかしさに顔を前に向けようとした瞬間。三体の骨は頷くように首を縦に振った。
胸のうちが温かいものに満たされながら、俺は門の先に視線を向けなおし、骨達から背を向けて先に向かって歩き出した。
三体の骨はその様子を見送ったあと門を閉じ、これから来るであろう侵入者のやってくるであろう坂の上を眺めながら歯を鳴らす。
帰還への希望など無かったと絶望に落とされた骨。理不尽に使い潰された骨。叛意を示して殺された骨。
積もった悪意は無自覚の邪神の写し身によって帝国の地下に姿を現した。