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邪神 蚊帳の外  作者: トツキトオニ
邪霊達の目覚め
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ブラック企業帝国

 間違いない

 やばいよ

 ここ絶対やばいよ

 しにたくない

 ――――若くして死んだ女子高生のある日の回想



 さっき逃げ出そうと窓から飛び出した暗くて不細工でキモイ名前はどうでも良いから忘れたけどクラスメートが何か巨大な火の玉に包まれて焼け死んで墜落したのが見えた。

 国を救ってください! なんていってたのにどう見ても私たちの扱い奴隷そのものじゃない!

「回収して廃棄場に捨てておいてください」

「承りました」

 兵士らしい男がそういって駆け出していく。下の死体を廃棄場、たぶんゴミ捨て場みたいな場所に捨ててくるんだろう。

「ご安心を。あんな真似をしなければ手荒い真似などいたしませんよ」

 あからさまに昨日と違う態度。何かのハリウッド映画で見た奴隷か何かに接する態度と同じような感じで昨日の猫を被っていたしおらしさなんて欠片も無い。

「そのとおり。あんなキモデブがいなくても大丈夫っすよ。俺達がこの国を救いますよ」

「ああ、姫様期待しててくださいね」

「頑張りますから見ててください!」

 もう駄目だ……何か昨日のこの目の前の姫と名乗る女の話聞いていたらいつの間にか男子の殆どと女子の一部がこんな風に洗脳されたみたいになってる。何かぶつぶつ言ったら火の玉が出てきたことと良いこれ漫画か何かでよく出てくる魔法じゃない、これ。絶対やばいよ。何でこんなことになってんの。教室いたと思ったら召喚魔術とやらでクラスごと呼び出されたって話だけど絶対やばいよ。話し方は丁寧だけどこれ絶対あの女が言ってた救世主とかそういう扱いじゃないよね?


「逃げたらあんなふうに死ぬし、おかしくなってる連中多いしもう嫌」

 隣に昨日一晩中肩を寄せ合っていた友達が小さな声で泣いてる。私だって泣きたい。もうどうすれば良いのかわかんないよ。

「では参りましょう。皆さんに相応しい装備を揃えておいたんです」

「それより姫様。ちょっとお願いがあるんですけど良いですか?」

「何でしょう?」

 おかしくなった男子が一斉に声の主に視線を向ける。怖い。見てみるとそこにはナンパ好きで有名な金髪の山根がいた。隣には取り巻きの山田と山口の確かスリーマウンテンとかダサい名前名乗ってたっけ。取り巻き二人だけ言ってるだけだけど。確かあいつらおかしくなってなかったような気がしないでもない。

「何も罪もない俺らがいきなりこの世界に呼ばれてですね。戦えとかやっぱきついんですわ」

「勝手に呼んですいません……」

 しおらしく誤っているように見えて全く悪びれた様子なし。これ絶対どうでも良いと思ってるよね。

「でも姫様美人ですし姫様のために戦うのは嫌じゃないんですよ?」

「ありがとうございます!」

 あれ。ここ普通は演技でも笑顔浮かべて男をその気にさせるとこだと思うんだけど口では礼言ってるのにこのゴミ何言ってるんだみたいな目で見てるんだけど怖すぎるよ。

「だから、まあ戦う前にご褒美が前払いで欲しいなと思ってですね」

「ご褒美、ですか?」

 首をかしげているのに無表情。どう見たって何良いたいか分かってるよ。私も分かるけど。ってかこんな状況でも普通女漁る?

「この城で可愛い女の子とちょっと一晩過ごしたいなって」

 殴られた。クラスの男子に。

「姫様になにいってんだ。死ねよ」

 明らかにやばい。薬でもやってんじゃない!? え、日本人だよね!? なに普通にいきなりクラスメートリンチしだしてんの?

「おやめなさい。流石に死んでしまいます」

「はい」

「エドワート。彼らを丁重にご案内してあげなさい。あの部屋に」

「かしこまりました」

「確かに承りました。可愛らしい女の子と一晩、ゆっくりと過ごしてください」

 気絶した山根はぞんざいに担がれて。山田と山口はおどおどしながらも逃げられないのかびくびくしながら執事らしい初老の男に連れられてどこかへと行った。

「では、参りましょう」



「これです。お好きなものをどうぞおとり下さい。強力な魔法刻印が刻まれていて防御、攻撃面で貴方方をとても助けてくれるはずです」

 つれてこられたのは倉庫みたいな場所だった。そこには沢山の写真や映画でしか見たことの無い鎧や兜、剣や槍、斧なんかも合った。銃とかないの? え? ここやっぱ現代日本とかじゃないの?

「ありがとうございます! 姫様!」

 洗脳男子は感激して礼を言っている。いや。これからこれで人殺しさせられるんだからね。王国とか言ってたし相手も人だよ? 何でそんなうれしそうなの? いや頭おかしくなってるからだろうけど。姫とかこいつ新興宗教の教祖とかじゃね?

「はぁ」

 やっぱり戦わないと駄目? 周りを見回すと厳しい表情で数少ないまともな男子で頭の良さそうなイケメンの方城君が姫と名乗る女を見つめていた。逃げる方法とか、思いついてないかな?

「お決まりになりました? 出来ればこの後すぐ訓練を始めたいので後10分でお決めになってください」

 は? 頭おかしいんじゃない! 何その上から目線の態度! ほんと信じられない!


 これでせめて男子がおかしくなってなければ脱走とか考えたんだけどな……絶対逃げられないよね。言うことを聞くしか、ない。


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