一人と一匹のデバガメ生活
二章。一章終わりと何回書いてしまったのか。今回はそうならないようにしたいものです。
初めての門は他人のために
次は絶対に門は自分のために使おう
門からの外出時間に制限があるのは俺だけだった。
特定の人物、場所に人を送るために作られたと言う門。発明家気質だった5代目が作った門は迷い込んだ誰かを現世に送り返すことでその誰かを基点に光臨できる地域を増やし、縁を増やし、歴代の中では世界の全ての地域を網羅した者もいた。男同士の恋愛が好きだった女性だ。各地の良い男を探索するために歴代で最もよく移動した人だ。
時間の数え方は同じだったようで大体先代の説明どおり30分経って俺は吸い込まれるように門へと引っ張られた。姫達は戦闘の後も引きずられる様子も無くそこにいた。門へと吸い込まれる直前に姫が
『また会いましょう』
と言ったのが最後に聞いた言葉だ。
今度あったときは情報を寄越せよ、という以上の意味は間違いなく無い。大丈夫、説明には30分しか光臨できないと言ったが次に使えるまではだいぶ時間がかかると入ったが7日とは言ってない。極論1ヶ月に1回しか光臨できないんだ、とかごまかしても大丈夫だろう。自室と書斎に行ったり来たりだったが姫の様子にかかりきりで誰も入ってきていないから門の周期は姫達は分かってない。はず。というより引継ぎの紙は基本立ち入り禁止の自室に持っていったので大丈夫のはず。
とはいえやはりある程度は鏡に張り付いて動向を調べないと駄目だろう。現在観察できるのは男子14人のうち数人、方城達。後鼠、スライム、姫達。どういう基準で鏡に映し出されるようになるのかはさっぱりだがこれだけだ。降臨したときに生きた人間が周りに数にいたが彼らは映し出されなかった。意味が分からん。日誌には条件が書いていない。
13代目の言葉を思い出す。
余計なものを処分した。
まさか。とは思うが何となくそんないたずらをしそうな人ではあった。取り巻きの日誌をあっさり捨てた人でもあるしな。
『自分で考えてみなよ』
13代目の小説魔王物語でよく出てくるフレーズだ。駄目な後輩への口癖として10回以上は言っていた。
まあたぶんそのうち分かるだろう。
見るとしたら姫は無いだろう、見ても良いが姫達だけに夢中になった場合次会った時
『で、情報は?』
と言われて答えられない有様が目に浮かぶ。個人的には姫達の動向が一番見たいがどうするか。姫は方城を次はやるといっていたが。
まあとりあえず脅威度で言うなら一番は14人の男子だろうな。でもこいつら移動手段がさっぱり分からん。暴れ終わったと思ったら画面切り替え中みたいに闇だけしか移らなくなって故障かな? と思ったら次のどこか違う場所に現れてて暴れていると言う。空間転移でも行っていると思われる。死後に身につけた能力だろう。
とりあえず気づいたのはこれまで一度も現れた瞬間、絶対に初めだけは男子の方からは攻撃は仕掛けていない。混乱と恐怖でうっかり攻撃を仕掛けたりしたら大虐殺祭りの始まりになるのだ。意思が無いから案外攻撃を仕掛けなければ何時間でも突っ立ったままでいるかもしれない。まあ難しいだろうが。
方城達は各地で基本纏まって移動して情報を集めている。ついでに男子の襲撃で生き残った帝国の民をどさくさに紛れて襲って吸収。おかげで人っ子一人いなくなった街も少なくは無い。豚だ、豚だと言い聞かせるように何度も言っていたのでもう割り切るためにこの世界の人間は人扱いしていないのだろう。ただこちらはまだ大規模な行動を起こしそうには無い。が、男子よりはおそらく弱い。だからこそ次は方城達を狙います、何て戦闘後に言っていたのだろう。まあ個人的には今は祝福を与えた形となる姫達の方を応援したいものだ。まあクラスの連中と仲が良かった訳でも全く無いしな。
鼠は相も変わらず洞窟を走り回っている。時たま財宝目的かギルド的なものからの依頼か知らないが廃城と化した帝国城にやってくる冒険者の食事時を襲撃して全滅させているようだ。単純に恐ろしいほど速度が速く毒が解毒不能なほど効果が高い。あとヒットアンドウェイを地で行っているような奴なので補足するのが恐ろしく難しいのだろう。
スライムは何か洞窟に戻ってきていた。やたらと巨大化しているような気がするが、見ていない間に何かあったのか。たぶん何かを吸収したんだろうが、こちらは動く様子も無く土を時々食べながら以前の広間から外には出ていない。
取りあえずはご要望通り方城達の様子を探るとしよう。
鏡で移したとき方城達はいつものように生き残りの帝国民を斬り、手で触れることで何かを吸収していた。死体になって時間が立つほどその吸収できる何かは鮮度が落ちるか量が減るようで出来るだけ殺してすぐに喰らうんだ、と方城は女子生徒に指示を出していた。
見るたびに殺人へと慣れていく様子を見ていたのでいつかはこうなるだろうなと予想はしていたが女子生徒達は既に殺すことへと抵抗は全く無くなったようで一部には笑いを浮かべながら殺すような奴らも出てきた。もうこれは、万が一生き返っても地球で生きていけるような気がしないんだが。何だか生気を吸収して綺麗になった気がするわーとか8人くらいの女子が言っていて怖い。美への執着は正直本気で分からない。
同時に情報と物資を集めているようで方城は街の書物などが大量に収められている施設に真っ先に向かう。他の女子は基本二人一組で各地の民家などを捜索。どうも文字が読めるようになったというか死んでからフィーリングで読み取れるようになったので方城達もそうなのかもしれない。
見た感じ、方城が求めている帰還の術式、蘇生の術式があった事はたぶんない。俺が見ていない間に見つけていると言う可能性もあるが定期演説でそれらしいことは言っていなかったのでたぶん見つかってはいないとは思う。
今回もそうだったようでため息をつきながら一冊数十秒とやたらと早く読んだ結果最後の一冊となった本を戻しながら方城は資料置き場を後にした。
『諸君。今回もお疲れ様。帝国の豚は我らの糧になり、さらに俺達の力は増しただろう。だが、やはり俺達が求めているものは無かった。呼ぶだけ呼んでおいて帰すことなど考えていない。あるいは俺達が帰還の方法を探ることを考えてわざと紙に残していなかったのか。おそらく、帰還と蘇生の方法を探るには帝国にいてもおそらく成し遂げられない。帝国のめぼしい都市を探し、男子が王国へと侵攻を果たしたならその時は我々も同時に王国に侵入しようと思う。最終目的地は依然話したとおり王国から更に東の魔術王国ケルケオス。その中でも古代書を多数納めているという
マルファス学園、アンネット学院、そしてケルケオス王立図書館と王家の宝物庫だ』
もう数百万単位で殺す気満々だ。恐ろしいことに一部が顔を染めて若い女のエキスが……と小声で言っている者までいる。大虐殺やってるが既に意識が破壊され知性がない男子生徒よりこっちの方が性格はたちが悪い。
だが、それを見る方城の視線の温度は明らかに他の女とは違う。予想でしかないがたぶん最後は良くやった、だがお前達は現実に戻したら危険だからここで始末するな、とかやりそうだ。たぶん人手不足を補う使える手駒に格下げされたのだろう。まあ仕方ない。帰ったらたぶん日本でも大虐殺やる。間違いなく今の女達はやるだろう。
まあ、うん。危険度で言うなら見境の無い男子が圧倒的だがこっちを先に倒した方が良いだろうな。ってかあっちに残らずこっちに戻って次の門を開くときに方城達の前にさくっと降臨した方が早かったんじゃないだろうか?




