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邪神 蚊帳の外  作者: トツキトオニ
邪霊達の目覚め
11/31

自覚の無いまま引継ぎを受けました

前話で終わりと書きましたがこの前後話で区切ると丁度良くなってしまいました

 その屋敷は明らかに古そうだと始めてみたとき何故か感じたことを覚えている

 元の住人は長い生に飽いてこの世から去ったと日記には書いてあったが一体何年生きたのだろうか?



『ん?』

 門から続く一本道。長く歩くことを覚悟していた俺にとって、体感で五分も立たないうちに広い空間に出たのは意外だった。だがそれ以上に予想もしていなかった光景が目の前にある。

 目の前にはその広い空間の大部分の面積を占めるであろう、高さは二階建ての屋敷があった。何故こんな地下にこんな屋敷があるのか。帝国城の地下にあるから、実はここに帝国の裏の支配者とかでも住んでいるんだろうか?


 裏に回ってみてもこれ以上先に道は無い。つまりこの屋敷が最終目的地なことは間違いなかった。

『まずは玄関の戸を叩こう』

 スライムに同意を求め、当たり前のように返事は無く、一人芝居に空しくなりながら玄関に再び戻ってくる。

 チャイムの類は無かったのでやけに大きな黒塗りの扉を叩こうと近づく。


 扉は独りでに開いた。

 オートロック? そんな馬鹿な。

 誰かが開けたのかと思ったがそんな気配は無い。


 精霊か何かがいるんだろう。骨が動き回るような世界だ。見えない妖精と書いても全くおかしくないな。入るしかない。むしろ、入らなくても奥から腕でも伸びて引きずり込まれそうだ。

 お邪魔します、と生きていた頃の挨拶をしながら俺は中に入った。土足だ。と言うより何も履いていないからそもそも脱ぐ物が無かった。


 中には誰かがいる気配は無かった。だが、気になった部屋に入ろうとすると独りでに扉が開いて中に入れるようになる。

『寄り道してこの館の主人は怒らないよな?』

 不安になったので寄り道はやめ、主人のいるだろう場所を探してみる。


 まずは屋敷一階の玄関入ってすぐにある食堂。

 何もなかった。


 次にこれまた一階の応接室らしき部屋3つ。

 どこも何もなかった。


 二階にあるだろう寝室か? あるいは探していない一階のどこか、二回の客室らしき寝室。


 とりあえずいける所は回って誰もいなかったので玄関に戻ってきた。

 全ての部屋を回ったと思う。

 誰もいなかった。隠し部屋、あるいは地下。

 見た感じでは自分の観察力なんて甚だ頼りないがそんなのはない、とは思う。

 上の連れに尋ねてみたが震えるだけで役には立たなかった。いや、癒しにはなるが。


 どうにもならん。

 屋敷の主人をまず探す。そしてここを出て……どうにもならないので匿ってもらえるようにお願いしよう。追っ手が来たりしたらやっぱりこの屋敷は囲まれたりするのだろうか。


『ん』

 髑髏が目の前に何故か転がっていた。探索のときには間違いなく髑髏なんか見た覚えは無い。床に傾きなんか感じないのに独りでに転がりどこかに行こうとしている髑髏。これと同じ光景を前にも見た。

『来いってことか』

 自分ではどうにもならないので髑髏の導きに応えるか。前もそれで道が出来ているのに気づいたしな。


 髑髏はゆっくりと、明らかに意思を感じさせるように急に向きを変え、一定の速度で転がっていく。その後ろを俺とスライムは歩き、たどり着いた場所は確か3つの本棚に囲まれた書斎だった。

 髑髏は中に入ると一直線に転がる。そして机の前で動きを止めた。

『ん?』

 机に座れ? いや、机を調べろだろうか? 机に座ったら地下へ、とかロボ物の見すぎだろうから普通に机のいくつかある引き出しに何かあるのだろう。


 机の右上から一番目の引き出しを開けると酷く薄いノートらしきものが出てきた。数ページほどだろうか。

<次代の者へ>

 意味が分からん。読んで良いのだろうか? 後でいきなり誰かが来てもすいませんでしたで謝れば許してくれるだろうか。誰かに当てたものなのは間違いないだろうし読んで……いいか?



 これを開いていると言うことはこの屋敷につく資格を持ったもの、あるいは次代の管理者が既に後を継いで門の完全封鎖が解かれ、迷い込んだものがいると言うことだと思う。迷い込んだだけなら君にとってこの屋敷に意味は無いので生きているなら管理者の権限で現世にすぐに帰る。死んでいるなら未練が無ければ天に還る事をお勧めするよ。



 次代の管理者には説明が必要だろう。おそらく何が何だか分からないだろうがおそらくは君は死霊であり、資格を持っているはずだ。見覚えの無い髑髏にここへ導かれてきたのならそれで間違いない。あれは次の管理者の資格を持つ者をここへと導く案内としての役割と君の持つ力を他に仲介する媒体としての役割を持っているんだ。運がよければその力を何度か発現させているかもしれないがまあそれは君の完全な任意で発動できるものでもないし気にしなくても問題ないかな。

 ここがどこかでどんな役割を持っているのかと言われればここは現世と冥府の境であり、この屋敷は壁の役割を果たしていると言うべきだろう。管理などは必要ないよ。それはこの屋敷そのものが行うし、力が座れるとか魂を削るといったことも無い。管理者としての役目はこの屋敷の稼動条件を満たすためにここにいること、それのみだ。もうこれを読んでいると言うことは管理者として役目が引き継がれているはずだから基本的にここと門から先は出られないようになってしまっているはずだ。活動的な者が管理者としての条件を満たすことは少ないはずだからおそらくは大丈夫だろうけど、はっきり言って娯楽は少ないといって良いだろうね。


 しいて言うならまずは鏡。管理者以外に立ち入れない自室に大きな鏡があるからそれで現世の様子は見れるよ。確か一日中基本見れたはず。まあでも特定のもの、君が直に見たことのある物じゃないと見れないけど。君が会った誰か、あるいは物。それが対象だ。鏡を通して見ても見たことにはならないから注意してね。

 あとは屋敷に来るときに通ったはずだけどあの門を通じて現世への短期顕現が可能なくらいか。場所は先に言った鏡で映し出されている場所だね。期待はしない方が良い。およそ現世の時間でいうなら30分といったところだよ。もしかしたら時間の単位が変わってしまっているかもしれないので間違いになってしまうかもしれないけどそこは実際に体験して覚えて欲しい。そして次に門が開けるようになるのが現在の時間でおよそ7日。顕現出来る時間は少ないのに次までの時間が長すぎるだろうと起こらないで欲しい。それが大体限界なんだ。そもそも確か8代前の管理者が作る前は存在すらしていなかったというから恵まれている方だとは思うよ? 私にとっては最後は前回同様また退屈な時間になってしまったけどね。どうも私はこういう長時間閉じ込められるようなのは駄目みたいだ。落書きがを見かけたら私のやんちゃだと苦笑いで許して欲しい。


 書くべきことはもう少ない。屋敷で説明する必要のあるものなんて鏡と門以外特に無いからね。大抵の管理者はここを出る前に自分の作ったものとか大半は身辺整理するように廃棄するからね。私も見られたら恥ずかしいものは全部処分したよ。でも何故か前の代の人達は日記帳とか自作小説とかは置いていくんだけど恥ずかしさの基準が正直良く分からないよ。正直頭を抱えたくなる女を侍らせる童貞みたい小説でうわぁと思ったよ。童貞の気持ちは私には分からないなと思ったよ。って私も似たようなの置いてるけど。何だろね。もうそういう代々の風習みたいになってるのかもしれない。

 まあ君もどうしても耐えられなくなったら門で果ての神域に行くと良いよ。転生するか消えるかはまだ行ってないから分からないけど確か別の世界の管理者がきちんと仕事をしてくれるはずさ。

 これが入っている所と同じ場所に正式な手引きとかあるけど多分読んでも長いだけで大して意味のあること書いてないだろ、と思うよ。ただ暇だったら読んでみるのも良いんじゃない?


 13代 管理者 アリネア・ビオル・以下略・ザベリオル


 ……凄く軽いな。いや、俺が管理者とやらで間違いないんだろうが。後最後にどうして名前に以下略とかつけてるのか。そんなに名前長かったのか。先代はどうもお茶目な人だったらしい。で、引きこもり生活に耐えられなくなって神域とやらに行って終わったか転生でもしたのだろう。

 後童貞云々の流れは必要だったのか。

 まあここが現世と冥府の境でこの屋敷はこう壁的なものを作る制御装置で、俺は単にシステムを発動させる鍵的な役割なのだろう。現世で会った人や物を常時デバガメ出来る鏡と門という短時間だけなら現世に降り立てる装置があって、次にいけるまでに時間がかかる。、飽きたら神域とやらにいけよ、と。


 強制引きこもり生活か。

 生前を考えるとそれに対して抵抗が無いのが悲しい。別に人に積極的に関わりたいわけでもなし。どう見たって魔物として浄化されるのが目に見えている。人化とか出来るかどうか分からない上、イケメンとやらがどんな顔なのか創造が出来ないから結局自分の顔に戻ることになるだろう。


 ……骨で良いな。どうせ偶に迷い込むとかいうものがいる以外基本精霊? を除外したら一人だし姿形を気にする必要は無いな。後はスライムと戯れるくらいか。名前でも付けるか? いやまあスライームで良いだろう。線一つ足しただけの単純さだが下手に凝っても後で恥ずかしくなるかもしれないしな。この名前もそうなりそうだがその時はもっとちゃんとした名前でも付けよう。というよりスライームが話せるようになったら自分でつけさせよう。

『凄い暇そうな生活になりそうだがこれからよろしくな、スライーム』

 その言葉に頭の上に乗ったスライームは大きく震えるだけだった。


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