最後の希望ー玲sideー
俺世良月玲は風に当たりたくて教室を後にした
紅い満月が照らす屋上に来てみれば先客がいた
彼女は世良 遥香
同じクラスで最近、神武によるいじめが悪化していた
世良は考え事でもしていて俺には気づいてない様子だった
「…そろそろいい頃合いかな」
世良の呟きは風に乗って俺のことまできた
彼女は一歩前に進み鳥のように、両手を広げていた
まさかあいつ降りる気か?
止めないと
俺は飛び降りようとしている世良の腕を掴んだ
「待てって!」
「っ!?」
「お前死ぬつもりか!?」
世良はとても驚いていたような感じだった
無理もない、俺が声をかけるまで気づいてなかったのだ
「…紅月 玲?」
彼女の腕はとても冷たくて
瞳からは絶望、諦め、そんな負の感情が溢れていた
「世良、お前どうして?」
「私の邪魔…しないでよ…」
「…?」
「…やっと…このつまらない日常を終わらせれるの」
「飛び降りた所で何も変わらないだろ?」
「…そんなの分かってる、分かってるよ!」
「なら…」
「…それでも、私は終わらせるの!」
「考え直せって、世良!」
「…紅月、あなたには毎日いじめられる私の気持ちなんて分からない!」
「確かに、俺には分からない…けど、分かろうとすることは出来る」
「誰にも必要とされない、嫌われるしかない私の気持ちなんていじめられない限り分かるはずない!」
そう言って世良は飛び降りたー
まるですべてが終わることを期待しているようなそんな顔をしてー
「世良!!」
俺は何も考えず、世良の後を追い飛び降りた
手を伸ばしても掴めない
「世良!!」
必死に手を伸ばしていると世良が光に包まれ消えた
「…消えた!?」
どういうことだ?
いきなり消えるなんてありえるのか?
気づくと俺の身体からも光が溢れていた
そしてー
意識を失った