変わらない日常
ジリリリリー
けたましい覚ましで目を覚ます
いつもと同じ変わらない日常
私にとっては地獄の始まりのようなものだー
とか考えながら制服に身を包み、自室をあとにする
「おはよう、母さん」
「…」
リビングに居た母に挨拶しても返ってこないのもいつもと同じ日常だ
兄、臣哉はすでに登校している頃だろう
電車で1時間はかかる大学に通っているためほとんど会うことがない
私にとっては楽でいい
用意されていた朝ご飯に手を伸ばす
「いただきます」
いつもと同じご飯、いつもと同じ空気
私はいつも変わらない日常に幻滅していた
ふと時計を見ると8時15分を指している
そろそろ行かないと遅刻しそうだ
「行ってきます」
送り出してくれる言葉も無く家を出た
高校と家はそんなに距離が離れているわけでもない
むしろ近い方だ
あと10分は家にいてもよかったのだけど、あの空気の中に居たくなかった
そんなことを思いながら教室に入ると近づいて来る人影
「あら、誰かと思えば世良さんじゃない」
「…あっ、神武さん…おはようごさいます」
今声をかけてきたのは神武 紫織さん
クラスの一人でもあり、私をー
「まだ生きてるんですね、迷惑だから早く消えてくれればいいのに」
「…」
「何か言ったら?べつに泣いてもいいわよ?」
ー私をいじめる張本人でもある
「…っ、」
私は神武さんから急いで離れ自分の席に着いた
いつも机の傷や落書きが増えている
今日新たに追加された落書きは『死ね、ブス』だった
クラスのみんなが笑う声が聞こえた
彼女たちの言うことも分からなくない
実際私なんか生きていても意味がない
誰にも必要とされず、嫌われるしかない、邪魔な存在だって分かってる
今日の授業は一つも耳に入ってこなかった
いつもなら気にしない言葉なのに…
『迷惑だから早く消えてくれればいいのに』
今日は胸に突き刺さってくる
そればっかり考えていた
自分に話しかけてくる人はいない