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京都奪還戦争① ※書き直し

 






 さて、臭く無い下水道を通って見張りの騎士が立っている梯子を登る。登る時に騎士さんからパスワードを教えて貰う。しばらく重労働をしていると、天井にマンホールの蓋が見える。そこに有るテンキーにパスワードを入力すると自動でマンホールの蓋が開いて外に出られる。

 出た場所は廃ビルの地下駐車場。そこには車が多数停まっている。どれも動くようで、警備の鎧武者も騎士も居る。お分かりかも知れないが、日本は和洋折衷わようせっちゅうだ。なので騎士も居れば鎧武者も居る。西洋の剣が有れば太刀も有る。まっ、俺には装備出来ないけどね。


 非常階段を登って、外に出る出口へと向かう。そこには何人かのプレイヤーが、運営の人間である斥候っぽい人と騎士の人に従って順番を待っている。

 斥候の人が安全を確かめて、騎士の人が誘導してプレイヤーを外に出している。


「さてさて、今日の敵はどんなのかな?」


「さぁ? でも、鉄蜂は数が多いし、飛んでるから鬱陶しいし、嫌だな」


 他のプレイヤーの会話を聞きながらパーティーの人を待っていると、何人かがこちらにやって来た。


「お待たせー」


「おう」


 やって来たのは2人。1人は高校生くらいの少女。黒い髪の毛をポニーテールにした元気な少女で、黒い軍服を着ている。身長もそこまで変わらないが、両手と両足に手枷と足枷をつけていて、そこから伸びる鎖が全身を緩く縛っている。それらの鎖の終わりは首輪に繋がれている。完全な拘束少女だ。まあ、動くたびにジャラジャラと鳴るが動けるみたいだが。もう1人は男性で、19歳くらいで大きな盾を持っている。少女はガレナンガに抱きついているので、もう1人がこちらに声を掛けて来た。


「私はサリム。盾と支援をする。よろしく」


「俺はレン。アタッカーだね。こちらこそよろしく」


「アタシはタルタル。主に妨害……よろしくな」


「ああ、よろしく」


「さて、メンバーが揃ったな。では、行くか」


 その声に従って、外に出る列に並んでいく。すると直ぐに騎士と人がやって来た。


「今日の撤退可能なポイントをPDAに転送するから出してくれ」


 俺達がPDAを出すと、騎士の人が赤外線でデータを送ってきた。そのデータは直ぐにマップと連動して、撤退可能なポイントとして、緑色の逃げる人のマークが表示された。


「はじめての様だから注意しておく。ここからは撤退が出来ない。そのマップに記された撤退可能ポイントに入り、PDAの案内に従って進めば防衛隊が居る。そこから撤退出来るが、赤い色で警告のマークがPDAに流れている時は来るな。それは全滅の危険が有るモンスターに君が狙われている証拠だ。必ず撒くか殺してくれ。最悪、君達は蘇る事が出来るので殺されてくれ。黄色での警告マークは構わない。こちらはただのモンスターに狙われているだけだから、防衛隊が狩ってくれる。わかったな?」


「わかった」


 身も蓋もないが、逆に臨場感がよく出ている。大を生かす為に小を切り捨てるが実践されている。他の人達はこの話を知っているみたいだ。


「さて、初心者には必ず探索などせずに先ずは撤退可能ポイントまで進む事をオススメしている。その方が生存率が高いからだ。この意見を君が聞き入れるかどうかは好きにすればいい。ただ、他の者の迷惑にならないように気を付けてくれ。この辺りにはボスが存在しないが、たまにボスを連れたままで逃げてくる馬鹿が存在する。そのせいで、滅ぼされてはかなわない。この危険性を理解してくれるとありがたい。我々は存亡と滅亡の瀬戸際にいるのだから」


「はい」


 話をしていると、順番が来たようだ。俺達は斥候の人に案内されながら一緒に外に出た。これは隠密の効果を他人にも発動させる為との事だ。


「…………頑張ってこい…………」


「「「ありがとうございます」」」


 斥候の人が、小さな言葉を残し、軽く手を振ってくれてから姿を消した。


 廃ビルから出て、荒廃した車道を堂々と歩いていると、前方で戦っている人達が居た。光る剣で鉄製の犬と戦い、魔法で鉄蜂を落としていく。どれも1メートルもの大きさで、かなり脅威に感じる。

 俺達はそんな姿を見ながら先に進む。


「さて、頑張るか。先ずは少ない敵がいいが……」


「行き当たりばったりしかねーからな」


 タルタルとグレナンガの言葉に呆れるばかりだ。


「索敵系が無いのか……わかった。俺が調べる」


「頼む」


「よっしゃー! なら、先ずは数が少ないのがいい」


「索敵、マッピング」


 コマンドワードをしっかりと唱えて、索敵とマッピングの技能を発動させる。すると脳内マップに俺の現在地から半径100メートルの範囲に居る存在と地形のデータが映し出された。青色が自分と味方で、黄色が中立、赤色が敵みたいだ。

 幸い、ここから100メートル以内に敵はいなかった。なので、どんどん進んで行く。というか、100メートルって目視出来る範囲だが、建物の中に隠れている存在を見つけられるのは大きい。

 数が多い敵は避けて、一体だけの敵を狙う。幸い、直ぐに見付かった。

 それは空中をブゥゥゥンという耳障りな音を立ててこちらの近くにやって来た。

 俺達は取りあえず、廃ビルと廃ビルの間で静かに呼吸を落ち着けてから、タイミングを図って出る。


「では、行ってきます」


 サリムが飛び出して、盾を構える。鉄蜂がサリム目掛けて突撃していく。


「シールドバッシュ」


 サリムはアーツを使って、鉄蜂の突撃を光る盾で弾き飛ばした。


「くらえっ!! チェーンウィップ!!」


 弾かれた鉄蜂にタルタルがアーツの光を放つ鎖を放って、鉄蜂を拘束する。


「行くぞ」


「了解」


 ガレナンガと共に外へと飛び出して、鉄蜂の前に躍り出る。それと同時に、グレナンガが大剣を取り出して、斬りにかかる。俺もダークネスサイズを構えて、ステップを使って加速して斬りつける。初めの一撃は装甲に弾かれた。これでダメージが入らないなら、どうしようも無い。だけど、それは杞憂だった。


【The field is checked. (フィールドを確認)

 Analysis start. (解析開始)

 A party member's analytical data are checked. (パーティーメンバーの解析データを確認)

 The target field data are discovered from analytical data. (解析データより対象のフィールドデータを発見)

 A link is started. (リンクを開始)

 Acquisition of data is completed.(データの取得を完了)

 Data is reflected for cancellation of the field.... The completion of reflection.(フィールドの無効化をデータを反映……反映完了)】


「これなら、どうだ!」


 もう一度、今度は鉄蜂の腕を横薙ぎすると、切断出来た。傷口からは血の代わり銀色の液体が流れ出て、直ぐに再生していく。鉄蜂は暴れまわっているが、鎖によって完全に防がれている。だから、少し下がってゆっくりと見られる。すると、鉄蜂の身体の何箇所に赤い点が見えてくる。


「ちょっと、試してみるか」


 次々とグレナンガが攻撃を加え、サリムが攻撃を盾で防いで、なんとかタルタルの鎖への負担を減らしている。恐らく、順調に時間さえかければ狩れるのだろう。だからこそ、俺はステップで背後に周り、赤い筋のある首へとダークネスサイズを斬りつける。それだけで苦しそうだが、死なない。


「一定確率ね……」


「危ないっ!! プロテクション!!」


「うわっ!?」


 鉄蜂がいきなりこちらに首だけ向かせて、酸を吐いてきたのだ。俺はなんとかステップで回避出来たが、服が少し溶けた。サリムの魔法のバリアの御蔭でもある。


「このっ!」


「こんにゃろっ!!」


 直ぐにサリムが攻撃して、注意を引き付ける。そして、タルタルが口にも鎖を巻きつけて後ろに引っ張って仰け反らさせた。御蔭で弱点が簡単に攻められる。それから、数十回斬りつけてようやく即死が発動した。


「今回は早く決着がついたな」


「そうだね~」


「レンの御蔭ですね」


「というか、強すぎない?」


「俺達が弱いだけだ。だが、MITを1体倒すだけでステータスポイントが1点だけ手に入る。初期討伐は10点だな」


 という事は、倒せば倒すだけ強くなるのか。雑魚敵狩りでも結構簡単なのか?


「さて、この銀の血液に触れてみろ」


「わかった」


 銀色の血液に触れると、それが手から身体の中に入って来た。


【Absorption of the data of MIT is started.(MITデータの吸収を開始)

 The completion of absorption. (吸収完了)

 Reflection start.(反映開始)

 The completion of Reflection.(反映完了)】


 ステータスを開くと、確かに10点も増加していた。取りあえず、速度を更に10点増加させる。暗黒魔器であるダークネスサイズの方も項目を開いてしっかり見ると、ポイントが5点追加されていた。こちらは物理攻撃力に振っておく。その時に判明したのが、魔晶石を吸収するとポイントが更に増えるみたいだ。


「なあ、魔晶石ってなんだ?」


「ああ、これだ。MITの動力源みたいだな」


「貰っていい? ちょっと実験したい」


「ああ、そうだな。1個くらい良いよな?」


「別にいいんじゃねーかな?」


「私も良いですよ」


「じゃあ、やる」


 そう言って、グレナンガが、PCのマザーボードみたいな結晶体を渡してくれた。


「ありがとう」


 俺はそれを自分が持っているダークネスサイズに触れさせる。すると、ウィンドウが出て来た。


【ダークネスサイズを鉄蜂の魔結晶を使って成長させますか? 使う場合、ポイントが初回のみ10点手に入ります。それ以降は1点です】


 もちろん、使うを選択して10点手に入れる。これも物理攻撃力をあげる。御蔭でステータスが結構上がった。


【ステータス】

 体力:10

 魔力:10

 肉体:10

 速度:16→26

 頭脳:10

 精神:10

【戦闘能力】

 攻撃力:10+16

 魔法攻撃力:10+1

 速力:26→26

 防御力:10+10

 魔法防御力:10

【職業】

 死神見習い

【技能スロット5】

 暗黒魔法Ⅰ

 大鎌修練Ⅴ

 即死Ⅰ

 索敵Ⅰ

 魔法適正Ⅰ

【スフィアスロット1】

 ステップⅢ

【装備】

 無名のデスサイズ(攻撃力16 魔法攻撃力1 耐久力無限 暗黒属性 装備解除不可 成長する魔器)

 初心者用迷彩服(防御力10 魔法防御0 耐久力10→9)

【ステータスポイント】

 0

【所持金】

 60,000Yen


 ステータスを更新すると、身体がかなり軽くなった。しかし、服の耐久力が減ってしまった。幸い、身体には届いていなかったから、ダメージは受けなかった。


「ステータスを振ったら、軽く身体を慣らした方が良い。1、2点じゃあまり変わらないが、5点や10点も上がると結構違うぞ」


「わかった、試してみる」


「こっちは休憩してるから、ゆっくりでいいぜ」


「わかった」


 何時もの通り、素振りすると、かなり早くなっている。走ってみると、全力で時速40~50キロぐらいでやがる。速度の倍の数値まで出せるみたいだ。もちろん、コントロールはなんとか出来るが、それで戦闘が出来るかというと微妙だ。本当に超人になれるようだな。ただ、反射神経とかが途中でついて来れなくなるだろう。その為に精神もあげないといけないし、肉体だって速度の出しすぎで止まれずにぶつかると大ダメージだ。体力だって、全力を出すと減っていく。今の体力だと戦闘は10分が限界みたいで、かなり疲れる。うん、なんというか、全体的に上げないと駄目という事なんだろうな。特化しようにも結局、他が付いて来れなくなって、逆に弱くなるのだろう。


「完全特化は危険だな」


「ああ。まあ、2極化や3極化が基準になるだろうな」


「なあ、狩りを再開しても大丈夫か?」


「こっちは平気だ」


 タルタルが狩りの再開を聞いてきたので、答えてやる。


「なら、行きましょう」


 サリムも賛成みたいなので、移動する。


「まあ、パーティーを組むならある程度特化でも大丈夫ですが。私は体力をメインに上げてますし」


「タンクだしな。アタシは肉体と精神だな」


「俺は肉体と体力で火力をあげている。レンも長物だから、体力はあげた方が良いぞ」


「了解」


「じゃあ、次は犬っころを探そうぜ。アレってアタシ、まだ倒してねえんだ」


 タルタルの要望を聞いて、索敵とマッピングをしながらゆっくりと出口を目指しつつ、敵を探して俺達は進んで行く。











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