ギルドハウスにて③
昨日は熱で更新できませんでした。まだ少し体長が悪いので短めです。
食事を終えたらプールに遊びに行くことになった。よって、男性陣はさっさと着替えて待っているのだ。この屋上にあるプールは、周りの一部が木々に覆われている。そして、転落防止用に透明なガラスが張り巡らされていて、外の景色も見ることが出来る。ただ、ろくな光景じゃないので、ロマンチックに演出できるように投影型にもできるようになっている。今は太陽の光と青い空だ。
「お待たせしました」
「ん」
「どうですか?」
女性陣が纏めてやって来た。イヴは青いセパレーツで、アナスタシアとアセリアはワンピースタイプの黒と白の色違いだ。
「似合ってる。イヴは綺麗だし、2人は可愛いよ」
「えへへ」
「ん」
「あ、ありがとうございます」
リサはタンキニで、タルタルはビキニだった。
「お兄ちゃん、泳ぎ、教えて」
アナスタシアが俺に抱きついて要望を告げてくる。そういえば、アナスタシアは手足があんな事になってるから泳げないか。
「わかった。2人は遊んでていいよ」
「はい。アナスタシアの事お願いします」
「またあとで遊ぼうね」
2人をタルタル達の所へ行かせ、俺はアナスタシアを連れてプールへと入る。
「うっ……」
だが、アナスタシアはプールサイドで怖がって中々降りてこない。
「大丈夫だ。ほら、おいで」
手を広げて迎える準備をしてあげる。
「うっ、うん……えいっ」
目を瞑って、勢いよくこちらに飛んでくるアナスタシアをしっかりと受け止めてあげる。
「ほら、大丈夫だろ?」
「う、うん……変な感じがする……」
俺の首に手を回して抱きつくアナスタシアが落ち着くまで待ってやる。このプールの水深は1.5メートル。つまり、アナスタシアでは足が10センチちょっと届かない。3メールのは有るが、これ以上少ないのは無い。その代わり、プールサイドの一部が階段になっている。
「落ち着いたか?」
「ん。落ち着いた」
抱き合ったままでしばらくいると、水に慣れてきたようなので、次の段階に入る。
「なら、バタ足の練習だな。ちゃんと持っててやるから安心して練習しろ」
「うん」
俺は怖がるアナスタシアの身体をゆっくりと離して、その手を俺の肩にやりしっかりと持たせる。そして、俺自身の手はアナスタシアの脇を支える。
「足を動かして」
「わかった」
アナスタシアが足を動かし出すと、身体が浮き上がってくる……どころじゃなかった。アナスタシアが思いっきり足を動かしたせいで水が一部吹き飛んで水柱を上げた。
「ひっ!?」
アナスタシアは怖くなったのか、俺に抱きついてくるので、頭を優しく撫でて落ち着かせる。
「大丈夫だ。もっと力を抜いてゆっくりな」
「うっ、うん……」
忘れていたが、俺達は既に超人の領域に突入しているのだ。全力でやれば凄い事になる。
「ゆっくりでいいからな」
「ん」
今度は脇に力を入れて先に水平状態にしてから軽くバタ足をしてもらう。それだけでどんどん進んでいく。
「よし、いい感じに進んでいるぞ」
「わかった」
「次は手を持つからな」
「お願い」
水に浮かぶ感覚を覚えさせたら、手を持って補助なしで水に浮かんでもらう。それもしばらくして慣れたようだ。
「次は顔を水に付ける訓練だな。水に顔をつけて直ぐに上げるんだ。それを繰り返して、だんだんと時間を長くしていけばいい」
「わかった。んっ」
息継ぎも問題無くなれば次にクロールを教えていく。それも習得したら後は容易い。
「それじゃあ、一人で泳いでみようか」
「え?」
「俺は潜って様子を見るから大丈夫だ。危なくなったら直ぐに助ける」
「わっ、わかった。頑張ってみる」
俺が水中に消えると、アナスタシアが一生懸命に泳ぎ始める。やはり拙い所も多々あるが、ちゃんと泳げている。俺は水中で拍手してあげる。
「ぷふぁ。およ、げた」
「ああ、ちゃんと泳げていた。後は繰り返しの練習だな。イヴやアセリア達と合流するか」
「うん、遊ぶ。でも、ちょっと休憩」
「そうだな」
俺達がプールから上がると、イヴが飲み物を持ってきてくれた。
「どうぞ」
「ありがとう」
「ん。ありがと」
「ちゃんと泳げるようになったみたいで良かったです」
「お兄ちゃんの御蔭」
「アナスタシアが頑張ったからな」
まあ、恐ろしきはナノマシンの学習能力か。どんどん覚えていく。
「おい、やばいぞ!」
「どうしたんだ? というか、走るな」
タルタルがこっちに走ってきた。
「そんな事はどーでもいいんだ。そんな事よりも、長時間潜ってたら水中で呼吸できるようになったんだけど!」
まさか、水中にある空気から酸素を得られるようになったのか?
「なんか、水中呼吸とかいうスフィアも増えてる」
「という事は、学習したって事か。体内スロットが空いてたのか?」
「おう! 開けてやったら入ったぜ。あ、魔晶石も消えてたけど」
「なら、実験するか。サリム、ちょっと手伝ってくれ」
「分かりました。構いませんよ」
それから、実験した結果、判明したのは体内スロットが空いていて、魔晶石を空きスロットに入れていた場合に限り、学習した情報を魔晶石に読み込ませてスフィアに入れるようだ。つまり、これで判明したのはスフィアが量産出来るかも知れないという事だ。




