押しかけ女子高生妻と義妹中学生⑤
夕食を食べ終えてから、ログインすると、エヴァ……ゲーム内だからイヴか。イヴが友達が友達と約束があるらしいので、イヴはそっちに行って貰った。交友関係までは縛るつもりもないからな。
さて、俺達は現在、人待ちをしている。
「いらっしゃいませ」
「雷属性の武器も、ある。これとか」
時間待ちの間にアセリアが露店を開いて、アナスタシアが手伝っている。その間に俺は業者に依頼して、各自の要望を取り込んだ図面を作成している。こちらが要望を出して、それに則った図面を送ってくれる。既に殆ど出来ているので問題無いが、家族用の場所を作ってもらったのだ。それもしばらくすると、終わったので、業者に依頼を出した。報酬などを口座に振り込むと、即座に建築を開始してくれる。基礎ブロックと空間製造装置を使うので無茶苦茶早く出来るみたいだ。完成が、2時間後とか言われた。
「さて、暇になったな」
「なら、手伝って」
「わかった」
沢山の客が来ている。雷属性の武器にはスタン効果が付くため、大人気のようで、どんどん売れていく。ちなみに、少し高めに販売している。これは、数日後には親父の所から発売されるからだ。
「なんか、繁盛してんな」
「よう。昨日はログインしていなかったようだが、どうしたんだ?」
「ちょっと色々とあってな。あと、正式にアナスタシアと後1人、ギルドに入れるが良いよな?」
「別に構わないぞ」
「アタシも問題ねーな」
これでアナスタシアもイヴも問題無いな。
「という事は、雷属性の武器を作ったのか……」
「アタシも欲しい! アセリア!」
「えっと、鎖ですよね。ちょっと待ってくださいね。確か……あった。どうぞ」
「おおう、痺れるなっ!!」
黄色い鎖が帯電している。それを嬉しそうに装備しやがった。
「あげたんですから販売手伝ってください」
「りょーかい」
アセリアの代わりにタルタルが入って、商品を売り出す。アセリアは携帯鍛冶セットを取り出して、追加の作品を作り出していく。
「今日は狩りができそうにないな」
「ああ、どうせ2時間後にはホームが出来るから、いいんじゃないか?」
「そうか。なら、問題無いな。そういえば、家族用を作るとか言っていたな」
「ああ、どうせビルなんだから、1フロア、1個もらった。2人のは4分の1フロアだが、他にもまだ余ってるから変えられるが……」
「いや、そんな広いのはいらないって。それで充分だ。1階は店なんだろ?」
「ああ。アセリアとアナスタシアの作品を売る場所だな。こっちは俺の親父の店も入るけどな。2階が酒場で、3階が事務所と倉庫。4階からがギルメン専用の場所だな。4階は憩いの場として遊具が置いてある酒場だな。ここにはアセリアとアナスタシアの武器や防具を置くから、特別価格で買える予定。5階が訓練所で6階が工房フロア。7階から8階までが一般の居住区。こっちは基本的にホテルみたいな感じにしてあるし、2人部屋を1人で使う感じか。だから、友達も呼べるし、来客用にも確保してある。お前達のは9階だな。俺の所は10階。そして、屋上には天井付きプールと露天風呂が設置されている。半々に割っているがな」
「畑は?」
「それは外だな。庭のスペースもちゃんとある。というか、かなり広いからな」
「ああ、そうだったな。すまんな、うちのがわがままで」
「気にするな。俺も庭は気に入ってるからな」
そんな会話をしながら、アセリアが作り出した武器を受け取って、露店に出していく。リクエストを聞いて、それをアセリアに伝える。やっぱり、売り子は女性の方が良いだろう。ましてや、女の子の手作り武器だしな。
「そういえば、もう1人はどんな職業だ?」
「ああ、歌手の付与術師だな」
「そうか。付与術師は少ないから助かるな。そうなると、ギルドで育成するべきか」
「ああ、そうだな。でも、育成に関しては俺がやるよ。なんてったって、俺の嫁だからな」
「そうかっ! お前も嫁さんが居たんだな……って、こないだ爆発しろとか言って、思いっきり斬りかかってこなかったか?」
「出来たのは昨日だからな。何も問題は無い」
「この野郎っ!」
「そうですか、では……私が2人に攻撃しても問題ありませんね?」
「「げ」」
声に振り返ると、そこには我らの聖騎士様がニコニコ笑いながら居た。
「丁度良いですし、少し試し斬りの的になってください。なに、この剣と盾を喰らうだけです」
サリムの手には帯電する片手剣と帯電する盾が握られて居た。どれもアセリアの作品だ。そこにはギルド名であるヘクセンナハトと刻まれている。名前は魔女の夜。このギルドは女性陣がメインだし、俺達は別に興味もなかったので、それに決定した。
「おい、それは嫌だな。という事で、グレナンガを差し出すから好きにしてくれ」
「おいっ!!」
「こらっ、そこサボンな!」「「「うわっ!?」」
いきなり帯電した鎖が飛んできた。仕方無いので急いで働く。といっても、流石にそんなに早く出来ないのだがな。既にアナスタシアは売り子から離れて、恐ろしく精密な裁縫をしている。なので、売り子はタルタルだけだったりする。
「ああ、もう。だから、大量購入はできねえよ!」
「ガレナンガ、GO」
「おう」
「私も行きます」
俺は後日追加販売される事を皆に教えていく。店の場所も一緒に宣伝する。ただ、今のは先行販売で品の中には高品質が混ざっている場合もあるが、その辺は運という事だ。そんな事をしていると、かなり時間が経って、イヴがこちらにやって来た。
「旦那様」
「もう良いのか?」
「いえ、紹介しようと思ったので連れてきました。こちらが私の友達のリナです」
「リナだよ。よろしくね」
ショートカットの髪の毛を金色に染めて、青い瞳をした少女は背中に大きな弓を背負っている。イヴと同じで美少女の部類に入る子だ。服装はボディーアーマーで、身体のラインがはっきり出ている物に軍用のジャケットを付けて、短いズボンを履いているだけの格好だ。
「俺はレンだ。イヴがお世話になっているようだが、これからもよろしく頼む」
「もちろんだよ」
「あっ、お嬢様。なんでここに……というか、その格好は……」
「げっ、相良さん……やばっ」
どうやら、サリムの知り合いみたいだな。
「こちらは私の仕事先に良く買いにこられる社長のお嬢様なのですよ。正確には上の会社ですが」
「きゅっ、給料上げるように言うから、内緒にして!」
「買収は受け付けません。そんな格好をしていた事、しっかりと報告させて貰いますよ。というか、そもそも危険だから止めるように言われているでしょう」
「お父様達はコレの重要性が分かっていないんだよ。またMITに襲われた時、生き残る為にも戦闘能力とまではいかないでも、高い身体能力は必要なんだから。だいたい、お菓子を作るにも力があった方が便利じゃん。知ってるよ、この頃腕が良くなったって聞いたから」
「ぐっ……」
サリムが不利になったか?
「ね? 黙っててよ……お願い」
「やっぱり、駄目です。服装に関しては構いませんが、ゲームには許可をちゃんと取らないといけません。一緒に説得を手伝いますから」
「うぅ~わかった。それじゃあ、ごめんね、イヴ、レン。アタシは落ちるね」
「すいません、私も落ちます」
「わかった。リアルじゃ仕方無い」
「はい、また遊びましょう」
「じゃあね」
「失礼します」
あっちはあっちで大変そうだな。しかし、知り合いが多いな。まあ、気にしなくてもいいか。
「美味しいのか?」
「リナからお菓子を貰いましたから、多分そこで働いている人でしょうね。美味しいので、後で食べましょう」
「それは楽しみだ」
そうこうしているとメールが来た。どうやら、完成したようだ。
「おい、完成したらしいから店仕舞いだ」
「わかったぜー。悪いが、聞いての通りだ。後はアタシらのギルドハウスで販売するから、後日来てくれ。宣伝はこの場でしかしないから、早く来るのをオススメするぜ」
「こっちは片付け終わりました」
「ん。私も終わった」
「それじゃあ、移動するか」
それから、俺達は京都に作られたギルドハウスへとやって来た。それは予定通りの10階建ての大きなビル。なのだが……外観がすごかった。入口は木々のアーチが設置されて、建物全体がに木々に覆われている。地面には石を敷き詰めて道が作られているし、建物全ても木製で出来ていて、蔦が巻きついているし、所々から枝のような物だ出てかぼちゃのランタンがぶら下げられている。なんていうか、魔女の塔とか住処といった感じだ。
「外観、どうするんだ? 京都なのによ……」
「ああ、それは特区を作るそうだぞ。だから、俺達の所は好き勝手にしていいらしい。特区は完全に昔ながらというか、江戸時代の京都の街を再現するらしい歓楽街も作るってよ」
「ほう、いって……」
「ああん?」
「何でも無い。早く入ろうぜ」
ガレナンガはたじたじになりながら、タルタルと一緒に入っていく。
「行きませんよね?」
「私達は別に、良いけど。気分は悪い」
「そうですね。出来たら、行って欲しくはないです」
アセリアを先頭にそんな事を言われて、行けるはずがない。
「いかないって。ただ、皆で観光用の所は行こうぜ」
「それは、いい事」
「はい、楽しみです!」
「桜とか見られればいいですね」
俺達も中に入って、各自のフロアを準備するのだが、問題があった。
「無理です。あんな広い部屋というか家に1人で住むなんて出来ません!」
アセリアには普通の部屋を渡したつもりなんだがな。4LDKの。
「家事能力ゼロで引きこもりの私にどうしろと……そうだ、アナスタシアと一緒に……」
「私、お兄ちゃんとお姉ちゃんと一緒」
「そうだな。イヴも一緒だな」
「……それでもいいので、駄目ですか?」
「いや、流石にそれは……」
「本音を言うと?」
「こんな怖い所に1人で住むとか絶対無理です!」
「お兄ちゃん、別にいいんじゃない? でも、アセリア……」
アナスタシアは何か、アナスタシアの耳元で囁くと、アセリアは顔を真っ赤にした。
「だっ、大丈夫です。がっ、我慢しますから……それは……はい、わかりました……」
「大丈夫だって。お兄ちゃんもアセリアの事は気にしなくていい。手を出したいなら手を出しても、アセリアならいいよ」
「いや、それは……」
「わっ、私なら大丈夫です。それよりもレンさんには恩も有りますし、怖いですから……」
「まあ、わかった。なら、一緒に住むか。どうせ1フロアだしな」
「はい」
イヴは俺の後ろに控えて、特に意見を挟まなかった。だから、別に問題無いと判断した。それに、どうせ仮眠とかそんな感じで、本格的に生活する訳でもないんだからな。




