押しかけ女子高生妻と義妹中学生①
微妙に変えただけです(ぁ
蜘蛛狩りから一週間が経った。大きな事としては京都の街の奪還に成功した事だ。といっても、防壁を建造して外に敵を追い出して、侵入を防いで居るだけだが、それでも十分な拠点となる。俺達もあれから何度か集まって、狩りに出かけている。理由は簡単で、拠点の購入費を溜める為だ。
「だいぶ金が集まってきたな」
「そうだな」
皆が考える施設が欲しいとなると、結構な金額になってしまう。少なくとも個人部屋に加えて、食堂、お風呂、プール、鍛冶場、お店、訓練所などだからだ。それと、ギルド施設は今なら比較的に安めで土地が購入出来るのがありがたい。建築費用までこちらもちだからな。
「土地の確保はしているが、建設費用がきついな」
「だが、デザインさえちゃんとすればクライシス社の技術で素早く作ってくれるのだから構わないだろう」
「だな」
目の前で繰り広げられている蹂躙を見る。タルタルの鎖が縦横無尽に暴れまわって破壊し、アセリアも拳で砕きまわっている。サリムは敵を挑発のスキルを使いながら纏めて相手をしている。
「さて、俺達も参加するぞ」
「了解」
【外部から通信です】
「あっ、アレ? 何故か呼び出しが掛かってる。ちょっと落ちるわ」
話しながら暗黒槍を準備していると、途中で呼び出しのコール音が聞こえたのだ。このゲームはちゃんと中に居ても外から連絡が取れるようになっている。つまり、一人暮らしなのに今、俺の側に誰か居るのだ。まあ、親戚のおばちゃんだと思うけね。
「おう、それじゃあこっちは任せておけ」
「よろしく」
俺は暗黒槍を放って適当に殲滅した後、急いで街まで戻る。そして、その辺のベンチに座ってログアウト処理する。視界が暗くなって一瞬、意識が遠のく。
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直ぐに意識が覚醒して目を開く。すると、そこには……見た事の無い金髪での美少女が俺の顔を覗き込んで居た。
「っ!?」
気が動転して、急いで顔を上げると――
「んぐっ!?」
--覗き込んでいた彼女とキスなんて事はなく……はなかった。キスしてしまったのだ。お互い、唇を切ってしまい、初めてのキスは血の味がした。
キスした状態でお互いに固まって、至近距離で見詰めてしまう。彼女の色素のなく赤くなっている瞳と唇から感じる柔らかい感触。そして、彼女の身体から漂ってくる甘くて感じの良い匂い。
「……お姉ちゃん……?」
「「っ!?」」
第三者の声で、俺達は慌てて再起動して現在の状況を理解した。そして、そうなると少女が取る行動は一つだ。
「いやぁぁぁぁっ!!」
顔を真っ赤にして目を瞑りながら悲鳴を上げ、俺を突き飛ばしたのだ。
「痛っ!」
俺はVR機のベットに身体をぶつけてしまう。幸い、柔らかくて助かったが。
「あっ……ごっ、ごめんなさい、大丈夫ですか……?」
少女は直ぐに俺を起き上がらせてく、心配そうに顔を真っ赤にしたまま聞いてくる。
「ああ、大丈夫だ……」
「おっ、お姉ちゃん? どうしたの? さっきの悲鳴は……あっ」
「大丈夫だから、アナスタシアはそこに居て」
「うん。わかった」
起き上がって見ると、ソファーに140センチくらいの銀色の髪の毛をした見覚えある美少女が座っていた。
俺は見覚えある女の子がそこに居た。どうやら、1人は知り合いのようだ。そして、その近くには旅行で使うような大きめのスーツケースが置かれている。俺は改めて金髪の美少女の方を見る。
「で、誰? なんでここに居るんだ? 1人は知っているが……」
「えっ、えっと……私はこれからお世話になる佐々本エヴァです。あそこに居るのが妹のアナスタシアです。部屋にはチャイムを鳴らしても出てくれなかったので、芹香さんとお義父様から預かった鍵を空けて入りました。芹香さとお義父様から聞いてませんか? お義父様は話を通して有るって言っていたのですが……」
「連絡はしたと、言っていた」
顔を真っ赤にしながら説明してくれたが、さて……整理するか。まず、苗字が日本と同じという事はハーフか何かか。というか、佐々本って親戚に居たな。確かに小さい頃に親戚の集まりで金髪と銀髪の少女を見かけた事があった。
次に芹香さんってのはおばさんの事だろう。そして、鍵を持ってるのは家族とおばさんしかいないわけだし。もしかして、お父様ってのは糞親父の事か?
「ん? そういえば、手紙が来てたな……取りあえず、読んでみるからソファーにでも座って待ってて」
「はっ、はい!」
「わかった」
緊張しているのか、俺が動く度にビクビクとしているし、何か覚悟を決めた表情になっている。アナスタシアの方は無表情のままだ。俺は不思議に思いながらも、冷蔵庫からジュースの缶を三本(アップル、オレンジ、コーラ)を適当に選んで持っていく。その途中で食卓のテーブルの中で他の手紙などで埋もれているおばさんからの手紙を発掘して、彼女達の対面に有るソファーに座る。
「好きなの飲んで」
「あっ、ありがとうございます」
「ありがとう」
少し見ていると、エヴァと名乗った少女は手提げ鞄からストローを取り出してから、アップルのジュースを開けてストローを突き刺してアナスタシアにしっかりと握らせて、ストローを咥えさせた。世話を焼いているようだ。それとアナスタシアの動きはなんだかぎこちない。ゲーム内ではないとはいえ、何かおかしな気がする。どうやら、かなり面倒な事かも知れないな。
取りあえず、事情が分かりそうな手紙を開いてみる。
中には三枚入っているみたいなので、一枚目を読んでみる。
『この手紙を読んでいる時、お金があるからって未だに引きこもり生活をして不衛生な生活をしている孝太へ。このまま寂しく老後へと進んでいくかと思うと、お姉さんは心配でなりません。私が送るお見合いも拒否するので、兄と協力して若い子を直接送って強制する事にしました』
「おい」
「?」
「何でもない」
こっちに反応した少女に告げてから、改めて読み進める。だいたい、お姉さんって年じゃねぇだろ。やっぱ、親父が言ってた子達か。
『ああ、おばさんとかおばちゃんとか言ったら、後でお仕置きするから』
エスパーかよ!
いや、どっかに盗聴器でも仕掛けてやがる可能性もあるな。
『さて、その送る子達だけど、親戚の子なのはわかるわね。先ず彼女達の両親は事業の失敗で借金が沢山あるの。それで、親戚の私達が借金返済を手伝う事になるのだけど、その条件にアンタとの結婚を入れてた訳。向こうの両親も娘さんも納得したのだけれど、色々と問題があってね。
具体的に言うと、妹のアナスタシアちゃんは手足が事故でないの。それで、義足を着けているのだけれど……高性能なのを失敗する前に頼んでてね。その分の借金もあって、結構大変というか……夜逃げや一家心中しなきゃまずいぐらいの負債でね。騙された部分もあるから、自業自得というのもあるんだけど。
まあ、流石に可哀想だから要望を聞いてあげるって事になったのよ。それで、2人の要望が姉妹一緒に居る事だったから2人を一緒に送ったわ。さて、そんな訳で2枚目を見るように』
2枚目を恐る恐るめくってみると、そこには役所に行って貰う紙がしっかりと受理されたという証明書が有った。3枚目には結婚誓約書のコピーだ。
「おい、本気で強制してきてやがる」
結婚誓約書に関してはかなり俺有利になっている。簡単な内容を言うと、俺は浮気しても問題無いが、彼女は浮気は駄目。もし、彼女が浮気をすると婚姻が俺の自由に離婚出来て、彼女は両親ではなく、彼女自身が莫大な、今の数倍の借金を負うことになる。逆に俺から彼女の落ち度なく離婚すると、俺が継ぐ事になる親父の財産の3分の2が彼女と彼女の妹に支払われる事になる。中には俺の言う事を無理の無い範囲で聞く事も入っている。もちろん、犯罪行為は駄目だが。ああ、俺から他人に身体を開けなども禁止されている。何気に細かく設定されているな。
ご丁寧に俺の実印まで押してあり、これが正式に受理されている事を証明されている。流石、悪徳弁護士、汚い。
「あっ、あの、それで……」
「つまり、お前達は俺の妻になりに来たと」
「はっ、はい、その通りです……」
「正気か? 借金と妹の為とはいえ、自分の人生を棒に振るのか?」
「覚悟は出来ています……」
「お姉ちゃん……」
あのゲームでも稼げる事は稼げるが、直ぐに億越えの大金は稼げないだろう。俺みたいに運が良くなければ。
俺はもう一度手紙を見る。すると、裏にも書かれていた。借金は計算すると26億円で、普通には返済できないだろう。
「あっ、あの、何でもしますから、私をかっ、買ってください。お願いします」
「……私の身体も、好きにしていい。玩具くらいにかなれないけど、お願い。ちょっとでも、お姉ちゃんの負担を減らしたい。私になら、どんなに非道い事をしてもいい」
頭を下げてくる2人。アナスタシアの言っている方はかなり凄い内容だが。
「アナスタシアは駄目よ、私だけでいいから……」
「嫌。お父さん達が騙されたのは私のせい。なのに、お姉ちゃんばかりに迷惑かけたくない。むしろ、私だけでいい……」
その後の会話はお互いを思う余りにループしていく。ゲーム内でもアナスタシアは姉のことを本当に大切にしていたが……この姉妹はちょっと行き過ぎな部分がある。
「いい加減にしろ」
「「あうっ」」
二人の頭を軽く叩いて顔を上げさせる。
「まぁ、2人の容姿は十分だし、事情も理解したから受け入れてやる。ただ、どうなっても知らないからな。それと2人共だ。アナスタシアの方は愛人か?」
「うっ……分かりました……ありがとうございます」
「ん。私はそれでいい。ありがとう」
「取りあえず部屋は好きに使ってくれ……と言いたいが、汚いからなベットが一つしか空いてないな」
「大丈夫です。そこまで迷惑はかけられません」
「もう、夫婦なんだから気にするな。2人はもう家族なんだからな。ベットを使っていい。俺はVR機で寝ればいいし」
VR機はベット付属タイプだしな。
「分かりました、ありがとうございます」
「ありがとう」
「取りあえず、お風呂入ってこい。その間にご飯とおばさんに連絡しておくから」
「わかりました」
「うん」
風呂場を教えた後、俺はおばさんに連絡を取る。
『やっほー、プレゼントは届いたかなー?』
「おい、色々と言いたい事が有るんだけど?」
『却下で。だいたい、アンタとエヴァちゃんかアナスタシアは結婚させる予定だったからね。両親が決めた許嫁とかいう奴よ。まあ、あっちの事業が傾きだして、有耶無耶になってたけどね。それで、普通の援助はあっちの両親が断ったのよ。それで、兄さんとしてはどうにかしたいし、どうにかするお金もあるって事で、結婚という形を取らせて納得させたのよ。それでも、あっちの両親は借金を完済する気あるみたいで、一生懸命に働いているわ。本人達がどう思ってるか知らないけど、好きにしたらいいわ。こっちの要望はどっちでもいいから、孕ませて跡取りを作りなさい。それだけよ。できたら、ゲームでお金を稼ぐくらいかしら? それと、兄さんからだだけど、ゲームで2人と一緒にお金を稼ぐ事で借金返済をして、2人の心労を取り除くのと、しっかりと心まで支配するようにだって。まあ、ようは幸せにしろって事が言いたいんだと思うよ。相当不器用な人だし』
「わかった」
親父の事はどうでもいいが、2人を幸せにするのは問題無い。不幸せそうな奴がずっと隣に居ても迷惑だからな。
『あ、あの子達の学校もこっちで手続きしておくね。エヴァちゃんは女子高生だし、アナスタシアちゃんは中学生だから』
「わかった。それとタクシー通学にさせるから、話通しておいて」
『過保護ね……まぁ、わかったわ』
おばさんとの電話を終えて出前を取り、テーブルを軽く片付ける。その後、ホームヘルパーを頼んで綺麗にしてもらう。明日は彼女達と買い物でも行けば良いしな。
「あっ、上がりました」
「ん、上がった」
エヴァとアナスタシアはYシャツという格好になっていた。アナスタシアは胸は全然成長していないが、エヴァの方はCかDくらいある。というか、風呂上りで身体が綺麗になったせいか、美少女っぷりに磨きがかかっている。しかも、モデル体型だし、その気になったら余裕で芸能界でもやっていけるレベルだ。
「明日、ホームヘルパーが来るから荷物は纏めておいて」
「はい」
そんな話をしていると、チャイムが鳴って、特上寿司が届いた。
「ほら、食べるぞ」
「久しぶりです……」
「?」
「高い料理、久しぶり」
「成程」
それから、エヴァがあーんをしてアナスタシアに食べさせたりしていたが、どちらも美味しそうに食べていた。しかも、何だが泣いている。聞いたら、食生活がかなり酷かったみたいだ。
「しかし、久しぶりにまともな飯だな」
「お金持ってるのにどんな生活してるんですか……」
「いや、ダイエットがてらにサプリメントだけだけど……」
「分かりました。食事は私が作りますね。ちゃんとダイエット食にしますから」
「よっ、よろしく……」
取りあえず、妻になったエヴァに家事は任せよう。俺って何もできないし。あ、風呂を入れるぐらいだね。掃除はホームヘルパーさんに任せている。普段は別の階にある浴場に行けば良いし。ここに有るのが小さいだけで設備は変わらないけど。それに引きこもりの男にやれる事なんてたかが知れてるさ。




