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人類滅亡~未来から過去へ~ ※読まなくても大丈夫です

 










 人類が地球を支配し、繁栄していた時代は2043年に終わりを迎えた。それは2019年、隕石に擬態して地球に飛来した金属生命体……Machine living thing(MIT)の支配者であるマザーと呼ばれる多数の魔神によって世界は滅ぼされたからだ。


 人類対MITの戦いは終始MITの優勢だった。核兵器ですら上位のMITには無効化されるのだから当然だ。そう、人類はMITの膨大な物量とその高い戦闘能力によって手も足も出ずに半年も経たずにアフリカ大陸、南アメリカ大陸を奪われ、ユーラシア大陸や北アメリカ大陸ですら、その半分を奪われた。


 そんな救いのない戦いを初めて数年。人類は地下施設へと逃げ延びて、そこでどうにか捕獲したMITの研究を生き残った人類の総力を上げて解析し、MITの対抗手段を手に入れた。

 それはMITを解析して手に入れた技術と魔結晶と呼ばれるエネルギー結晶体を使って作られるナノマシン……正確には人工MITと呼べるべき物を人体に取り入れて、肉体を強化しつつ相手と同じ特者なフィールドを纏う事も出来るスーパーマンを作り出す事に成功したのだ。そう、まさに生体兵器だ。そして、特殊なフィールドは特殊なフィールド同士をぶつける事によって相互干渉を起こして消滅する事が確認された。このナノマシンによって人類はどうにか一時だけ滅びを免れた。

 このナノマシンには問題が有ったのだ。人間の脳や身体が急激な変化に耐えられず一週間から二週間も戦闘行動を行えば必ずといっていい程死亡するのだ。

 しかし、人類はそれに頼るしかなく、日々犠牲を出しながらも研究を続ける。その研究には大まかな三つのグループが存在していた。

 一つ目はナノマシンを徹底的に強化して性能と安全面を上げるグループ。

 二つ目は完全に適合する調整された存在を自分達で作り出してしまおうというグループだ。

 三つ目は人類救済の為に科学者達の夢と呼ばれるタイムトラベルを行う方法を開発する事だ。

 どれもMITや魔結晶などを解析し、研究する事でその試みは成功した。そして生み出されたのは様々な姿へと変える事のでき、自ら学習して進化するナノマシン集合体ワルキューレ。彼女達の戦闘能力は凄まじく、局地的な勝利を重ねて行く。しかし、既に物量面でもMITの数は数百兆へと軽く到達しており、人類に勝ち目は無いのは誰の目にも明らかだった。



 そして、ワルキューレが生まれてから数ヵ月後の2056年には最後の人類が死亡し、人類は滅びを迎えた。だが、その後も彼女達ワルキューレは生き続け、人類を守護するという目的が消滅した後もMITと戦い続ける。だが、それは守るべき者が亡くなり、彼女達はフルスペックで自由に解き放たれた事でもある。今まで進化を調整されていた彼女達はそのリミッターを解き放ったのだ。そして、自己を急激に進化させていく。


 その結果、数年後には日本列島と呼ばれる場所からMITを駆逐する為にたった二機のワルキューレでネストを襲撃する事すら可能としていた。そう、現在その最奥にある巨大な空間にワルキューレの二体は存在している。


「さて、私達が守るべき者は居なくなりましたので仇討ちとまいりました。憎きMITの屑共はその命を献上しなさい」


「そうだねーまあ、抵抗しても殺っちゃうけど♪」


 綺麗な金色の髪の毛伸ばした西洋人風の女性と中学生くらいの黒い髪の毛をツインテールにした東洋人風の少女がMITのマザー呼ばれるネストの守護者である魔神と巨大な心臓の様な物がある場所……臓器の中の様な周りで戦闘を行っている。

 その魔人は禍々しい鎧武者の姿をしていて、騎馬の代わりに騎龍に乗っている。金髪の女性、ブリュンヒルデと黒髪の少女ランドグリーズは背中から粒子の翼を吹き出して飛行し、魔神と音速戦闘を繰り広げている。

 ランドグリーズが粒子で出来た大剣を片手に一本ずつ持って魔神の障壁を次々と破壊し、ブリュンヒルデの粒子で出来た槍がMITを貫いてダメージを与える。

 魔神の騎龍はブレスを立て続けに放つが、ブリュンヒルデが展開した光る盾によって防がれる。そして、下から奇襲してきたランドグリーズによって騎龍は切断される。


「有り得ぬ……」


「ボクの結合粉砕はお前達にとっては天敵だよ」


 ランドグリーズの名が示す通り、彼女は盾を壊す者。その力は強固に結びついて結合した物すら分解して粉砕してしまう力を進化して手に入れていた。


「だが、騎龍が殺られた程度で第六天魔王たる我は負けぬ!!」


「そうですか、貴方の相手は私です。ランドグリーズ、さっさと決めない」


 ブリュンヒルデは魔神の刀と自身の槍を打ち合わせ、激しく戦いながらランドグリーズに指示を与える。


「了解ー」


 ランドグリーズは魔神を無視してマザーへと攻撃を仕掛ける。


「貴様っ!? させるかっ!!」


「それはこちらのセリフです」


 瞬時に作られた大量の炎弾がランドグリーズの背中へと向かうが、その軌道上に現れたブリュンヒルデが盾を大きくして両手で持って防ぎつつ、ランドグリーズに力を授けた。そして、その間にブリュンヒルデの勝利のルーンで強化されたランドグリーズが到達し、マザーを滅多切りにすると、魔神もろとも同時に消滅する。そして、彼女達の身体は更に進化する。


「目的の物であるマザーの魔結晶を手に入れました」


「ミッションコンプリート! 早く行こうよ! ボク、人間って見た事が無いんだよ!」


 彼女達は次々と企画計画されていたが、素材やコスト面で凍結されていたワルキューレシリーズをMITから資源を奪い取る事で更に強化して、新たに生み出して戦力を増強した。その為、稼働年数が少ないランドグリーズは人類を見た事が無い。


「では、帰りますよ」


「うん!」


 崩落を始めているその場から彼女達は一瞬で消える。彼女達は転移したのだ。




 彼女達が転移した場所はアフリカ大陸。今なおMITに支配される場所だ。その中心部に彼女達、ブリュンヒルデとランドグリーズを始め、数々のワルキューレシリーズが存在している。


「これより、人類救済計画を発動する」


 彼女達ワルキューレシリーズの司令塔である全知を司るアルヴィトの名を冠する者が彼女達に指令をくだす。


「ブリュンヒルデ、スクルド、ランドグリーズ、ラーズグリーズ、グリムゲルデ、頼んだぞ」


「「はい」」


 ブリュンヒルデとスクルドは神妙にうなづく。


「楽しみだね」


「うん♪」


「……期待」


 だが、妹達は楽しそうにしている。


「お守りも頼んだ」


「任せて」


「それでは行きましょう2015年に」


「では、儀式を始める」


 彼女達が選んだ手段は簡単だった。研究されていたタイムトラベルを世界すらその膨大な演算能力で自らの好きな様にある程度改変出来る彼女達が完成させたのだ。これによって、過去へと戻り、人類を守護し、滅亡を防ぐ事にした。

 そして、過去に戻った彼女達がした事は守護するための人類の一部をMITの様に乗っ取り、その力を使って資金を集め、会社を立てる事だった。


「ブリュンヒルデ、宝くじで327億ドル当たったよ」


「何やったの?」


「未来を見て買いあさったの。そっちは?」


「権力者を調べて、脅して協力者に変えたわ。これで早期に対MIT計画ができるわね」


「ええ。私達はタイムトラベルの影響で手を出す事が出来ないからね」


「人類を守るのは人類であるべきよね。私達は見守って、手を差し伸べて成長を促すだけ。それが私達の結論。例えこの身が滅びても人類を生き残らせる事が私達の使命」


「そうね。というか、妹達に設定を任せて大丈夫なのかしら?」


「知らないわ。言っておいたのは、できるだけ早く強力な兵士を作り出す事よ。私達の仕事は別にあるわ」


「不安になってきたわ……でも、MITには一度ご退場願いましょう」


 スクルドは非常に不安そうにしたが、統括者であるブリュンヒルデが放置している為、彼女は動かなかった。いや、それよりもMITを亜空間に閉じ込めるという重大な仕事の準備が彼女達には残っていた。こうして、クライシス社は作られた。その数ヶ月後、アフリカ大陸と南アメリカ大陸を支配されてしまったが、世界中で巣穴から出撃し、攻勢を駆け出したMIT達は彼女達によって亜空間に閉じ込められた。








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