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朱雀改め、風啼ルリです
この度は更新が物凄く遅れてしまい本当に、本当に申し訳ありませんでした!
更新が遅れた理由は後書きにて
今回は少し長めですが、いつも以上にグダグタ感が酷いです
「あ、頭が痛い……」
風乃さんにからかわれ、俺の精神面が大変なことになってから約1時間後、俺は颯天のベッドの上で頭を抱えて突っ伏していた。
俺がこの一時間、頭が痛くなるまでなにをしていたのか……それは
「悪い璃空、一気に教えすぎだったな」
「颯天、よく一時間も喋ってて疲れないな……」
そう、ただひたすら颯天の説明を聞き続けていただけだ
一つ一つ説明すると長くなるので簡単にまとめてみる
「えっと、取得出来るスキルの数、つまりスキル枠が増えるのは5レベずつで」
一つ目、スキルは5レベ上がる毎に一つずつ新たに取得出来るようになる
そしてその最大数は10、つまり初期の3枠と合わせると35レベで限界値に達する
「それで次……特定条件を達成することで取得出来る特殊スキルや特定のスキルを成長させることで取得出来る派生スキルがある」
これが二つ目、前者は『盾で相手のアビリティを受け止めて中断させる』を30回行うと取得できる【大盾術】、後者は【弓術】を育てていくと出てくる【長弓術】などがあるらしい。
ちなみに、俺の目指している【刀術】はこの両方に当てはまる少し特別な種類らしい。
「アビリティはイメージすることで発動出来る、魔法も同じだけど発動の判定が厳しいから詠唱で発動も出来る……と」
そして三つ目、アビリティは基本的に、どの位置からでも発動させることが出来る。
振り下ろし技を下段の構えで発動したり、突進技を至近距離で発動したりも出来るが、まぁ意味はない。
そして魔法は発動する時のイメージがより鮮明な必要がある。その為、詠唱を言うことでイメージがそこまで強くなくても発動出来るようになっている。
正直、プレイヤーのイメージを読み取って技が発動するってどんな原理だ、って思うがそこは企業秘密らしいで仕方ない。
他にも状態異常の種類や、パーティー時の役割に関する説明なども受けたが、その辺は割愛しておく。
「あー、ほんと疲れた、颯天甘いもの無い?」
「お前は食い過ぎだ甘党め……ちょい待ってろ」
文句を言いながらも下の階に降りていく颯天。
小さい頃からずっとこんなやり取りをしてるからか、最近は食べ過ぎとかで颯天に怒られることも無くなった。
「それにしても、相変わらずなんにもない部屋だなぁ」
ベッドの上で転がりながら部屋を見渡す。
このベッドにタンス、机の他にあるものと言えばゲームの攻略本がずらりと並ぶ本棚くらいだ。
そんな中だからだろうか、攻略本の中に一つだけ、妙に使い古された橙色のノートがあるのが目に入った。
手にとってみると、俺たちが小学校低学年くらいの時によく見たノートだった。
最近ではあまり見なくなった感じのノートだが、何故か妙な既視感を感じる。
(日記かなにかかな……?)
表紙を見るが、題名も名前も無い。
そしてノートを開き、軽く最初のページを読んでみる。
そこに書いてあった日にちは約8年前、やはり俺たちが小学校低学年の時だ。
そしてその後も読もうとして──やめた
そっと元の場所に戻し、再びベッドの上に乗り、うつ伏せに寝転がる。
枕に顔をうずめたまま、目を閉じる。
ぐちゃぐちゃになりそうな思考を無理矢理シャットアウトし、ただひたすら周りの音を聞くことだけに集中する。
僅かな足音が耳に届いた時、俺の意識は薄らいでいった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ふわふわとした感覚、ぼやける視界。
はっきりしない意識の中、起き上がった俺の感じたのは、甘い香りと頭に置かれた手の感触。
「お、やっと起きたか、おはよう璃空」
「颯天……?」
まだ意識が朦朧としていて記憶が曖昧だ。
確かBSOをログアウトした後、颯天の家に来て、いろいろありつつも一時間ほど颯天から説明を受けて………
「ダメだ……寝る前なにしてたのか全然思い出せない」
その辺りの記憶だけ思い出そうとするとまた頭が痛くなってくる、妙な感覚だ。
「そうだ颯天、お前また俺の頭撫でてただろ」
「ん?そうだけど、なんでだ?」
「いや、まさかお前………そっち方面なのか?」
15年以上の付き合いだし、無いと思いたいが……
「んな訳あるか、お前がびっくりするくらい苦しそうに寝てるからだ……落ち着いたか?」
「よかった……ありがと、落ち着いたよ」
胸を撫で下ろしながら颯天が変な趣味じゃなかったことにわりと本気で安心する
「それにしても悪い夢でも見たか?汗だくだぞ」
「んー、よく覚えてない……って、うわ、ほんと汗ひどいな」
服は汗でベタベタするし、髪も濡れて顔に少しくっつく。部屋は涼しいから暑さでかいたわけじゃない。
なんでこんな汗をかいたのか検討がつかないが、とりあえず凄く気持ち悪い
「………颯天、俺そろそろ帰るわ」
「了解、この後もログインするんだろ?」
無言で頷き、乱れていた服装を軽く整える。
歩き慣れた長谷部家の階段を降り、風乃さんに挨拶をしてすぐ隣の我が家に帰る。
今日は、忙しくなりそうだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「当たれ……っ!『ストローク』!」
水平に振り抜いた剣が相手の腹部を一閃する。
直撃したアビリティで怯みながらも反撃を入れようとしてくる相手───LV11の人型モンスター、リザードマン。
だが、遅い……!
細直剣の熟練度が30で取得出来るアビリティ『ストローク』の緑の光はまだ剣から消えてはいない。
振り抜いた勢いを保ったまま体を軸に一回転し、さらに勢いをつけて、大きく横凪ぎに振り切る。
カウンターを入れられたことによってより大きく怯み、僅かに後退するリザードマン。
その間に技後硬直は切れ、一旦バックステップで距離を置く。
(さて、ここからどうするか……)
相手のリザードマンのレベルは11、それに対して俺の今のレベルは6。
まともにぶつかっても押し負けるだろう。
(なら、まともに当たらなきゃいい……!)
剣を下段で構え、相手の出方をみる。
リザードマンは槍を僅かに後ろに引き、両手で突きの構えをとる。
相手の槍に黄色い光が走るより早く、一気にリザードマンに向けて走り出す。
あの技は細直剣にもある単発突き攻撃『スパイク』。
速度を上げながら突進してくるリザードマン。
「そこだ……っ!」
すれ違いざまに速度を保ったまま一気に体を縮め、スライディング気味に足払いをかける。
大きく体勢を崩すリザードマンを尻目に、俺は即座に次の行動に移る。
足払いの体勢から、回るように振り向き、片手で跳ね起きる。
そしてそのまま後ろにある木を蹴り飛ばし、アビリティ発動時のエフェクトを広げながら高速で突進していく。
新たに取得したスキル、【軽業】の初期アビリティ『ハイジャンプ』。
その名の通り高くジャンプする技だ。これだけ聞くと大したアビリティじゃないように思えるがなかなか面白いアビリティだ。
『ハイジャンプ』はジャンプと言っても、縦方向のジャンプしか出来ないわけではない。
このアビリティは足がどこかに着いていれば基本どんな体勢からでも発動出来る。
木や壁を蹴って使えば素早く距離を詰めるのに、逆に距離をとるために相手を蹴って使う、なんてことも出来る。
まぁ、制御が難しいアビリティが多いせいで【軽業】は不遇扱いされているらしいが、俺はそこそこ使えている。
「もらったっ!『ストローク』!」
リザードマンが体勢を崩しているうちに『ハイジャンプ』で一気に近づくことが出来た。
(後は一気に決めるだけ……!)
空中で前傾姿勢から僅かに体を起こし、タイミングを合わせて『ストローク』を発動。
出だしでは無く、途中を当てるため、一度しか当たらないが充分だ。
リザードマンが前のめりから体勢を戻すが、もう遅い。
緑の光を纏った剣は吸い込まれるように首もとに振るわれ──相手の残り4割のHPを一気に刈り取った。
剣を振り抜いた体勢のまま、地面を少し滑り、着地する。
倒れながら消滅していくリザードマンを横目で見ながら、軽く髪を整える。
「クリティカルヒットのダメージ1.5倍補正、やっぱり大きいもんだな」
くるりと剣を逆手持ちに変え、鞘に納める。
スムーズに納めるのに成功し、少し嬉しくなるが、失敗して手を剣で斬ったのを知らない人に見られたのを思い出して恥ずかしくなった。
「っと、そんなことより………」
ほんの少しだけ慣れた動作でメニューを開き、まだ慣れないメニューを操作して目的の項目を探し、開く。
「細直剣の熟練度……67か」
【細直剣術】67/1000
【風魔法】18/1000
【索敵】41/1000
【軽業】8/1000
そう、今の俺の目的はスキルの熟練度上げだ。
ちなみに、熟練度は敵を倒すだけでも上がっていく。そしてその一番増加量が多いのが自分より5レベ上の相手だ。
そのためにわざわざレベルが5も上のリザードマンを倒していた。
「まだまだ足りないか……よし、続きだ」
さぁ、今日の目標は【細直剣術】熟練度100越えだ
えっと、更新が遅れた理由について
1,夏休みの宿題関係
これは学生の定番ですね、夏休み終盤に溜め込んでいた宿題を処理していて執筆が捗らなかったです。
2,スランプ
そのまま、かなりスランプ気味でした。
3,新しいネトゲの開始
これは宿題とも関係してくるのですが、夏休みにβから参加していたネトゲが始まってしまい、完全にのめり込んでしまいました。
この三つです、完全にいいわk(ry
ネトゲに関してはレベル上限に達して一区切りついたので、次回の更新は今回ほど遅れない……はずです
ちなみにこの風啼ルリという名前も自分がいろいろなところで使っている名前だったりします。
長々となってしまいましたが、これからもよろしくお願いします