1-(5)
前回、颯天のほうが主人公だったのは仕様です
今回は日常面を少し
相変わらずのグダグダ文章です、少し読みづらいかもしれません
BSOからログアウトした俺は今、一人リビングで買い溜めておいたチョコアイスを食べながら今日得た情報を整理していた。
「んー…………敵のクリティカルポイントに当てるとダメージが上がるのはわかるんだが、ほとんど勘で見つけることになりそうだな」
今まとめている情報のほとんどは戦闘に関することだ。
正直、戦闘は感覚的なものだからそれ以外について整理しておきたかったんだが、今日は戦闘ばかりしていたので量が少なく既に整理し終わってしまった。
それにしても、甘いものって美味しいよね、ゆっくりと癒されていく感じがして幸せな気持ちになる。
当然このアイスもとびきり甘い。
ん、そんなに食べて太らないのかって?そんなこと知らん、それに何故か俺は食べても食べても太らないのだ
「こんなことしてるから伸びないのはわかってるんだけどなぁ…………」
思わずリビングの隅に置いてある大きな鏡の前に立ち、身長を見てしまう
…………やっぱり小さいな、女子と比べてもこんなに小さい人はそんなにいないんじゃないか?
颯天の身長を思い出しながら頭の上をペタペタと触って確認する
そして颯天の肩下辺りまでしか無い身長を思い出して、また落ち込む
「はぁ…………悲しくなってきた」
「あれ、璃空兄なにやってるの?」
パタパタとスリッパで音をたてながら階段を降りてきた花梨
思わず目測で身長を比べてしまったが、仕方ない筈だ
「ん、花梨か、身長が気になってな」
「にひひ、璃空兄ちっちゃいもんね」
「お前が言うか、このロリっ娘め」
いたずらっぽく笑う花梨の額を少し強めにデコビンする
中学3年の花梨の身長は確か142cmほど、それに対して俺は150cm前後だ、流石に妹には負けない
「そういえば璃空兄、エンハンサーウィスプ倒したんだっけ?」
「あぁ、颯天から聞いたのか」
「うん、それにしても今日初めてやったのによくレアモンスターなんて倒せたね~」
再びアイスに取りかかりながら恐らくBSOをやっていた花梨と適当に情報交換をする
とは言ってもβテスターだった花梨に教える事なんて無いから一方的に教えてもらってるんだが
「こんな感じで『詠唱短縮』が上がってくると無詠唱に近く………って、あぁ!」
「いきなり叫ぶな、どうしたんだ」
真横で叫ぶのは非常に遠慮したい、耳が痛い
「落ちる時に颯天さんが『俺もそろそろ落ちるから璃空に伝えてくれ』って言われてたんだった!」
「はぁ!?そういうことは忘れずに言え!」
少し矛盾してる気もしたが気にしない気にしない
残ったアイスを一気に口に掻き込み軽く髪をとかす
「続きは帰ってからな、行ってくる!」
「ま、待って!璃空兄、鍵忘れてる!」
そんなこんなで東雲家はいつも平和だ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「うあ~、疲れた………」
「璃空、一つ聞きたいんだが、どうやったら隣の家に来るのに疲れられるんだ?」
「急いで準備してた………」
現在地、長谷部家。
凄く質素でゲーム関連を除けば必要最低限しか置かれてないこの地味な部屋が颯天の部屋だ
「おい璃空、今凄く失礼なこと考えたろ」
「…………別に」
こっちは疲れてるんだ、思考を読むな
「はぁ………まぁいいか、それで、BSOについて聞きたいんだろ?」
「ん、そうだな、花梨からも聞いてたんだが、あいつやたらと魔法関連の話多くてな」
効率的な魔法の使い方、素早く魔法を詠唱する方法、正確に魔法を当てる技術など、話してたことの9割ぐらいは魔法についてだったと思う
「相変わらずなんだな花梨ちゃん、流石『光鏡の 翔巫女』ってことか」
「『光鏡の翔巫女』?なんだその中二臭いの」
いきなり出てきた聞きなれない中二臭い台詞。
「あー、『光鏡の翔巫女』ってのは、所謂二つ名ってやつだ。結構BSOでは二つ名付けられたやつもいるんだぞ」
「へぇ~、ってことは花梨結構強いのか?」
二つ名って言うとやっぱり強い人に付けられるイメージだ
「強いというか、あれは異質だな…………純魔術師なのに最前列で走り回りながら補助するやつなんて花梨ちゃん以外見たこと無い」
「…………それは、どうなんだ?」
正直、魔術師が最前列にいると一撃で吹き飛ばされてる様子しか思い浮かばないんだが
「いや、強いのは強いぞ、それもトップクラスに。ダメージの受けやすい前衛に対して、遠距離からだと外しやすい単体回復魔法も安定して使えるしな」
「な、なるほど、リスクに見合ったリターンはあるってことか」
その時、ドアが開く音がして一旦話をやめる
その人は俺を見つけると優しく笑う
「あら、璃空ちゃん来てたのね」
「あ、こんにちは風乃さん、お邪魔してます、それと俺は男ですよ」
入ってきたのは俺たちと同じ舘宮高校の制服で買い物袋を持った女の人、長谷川風乃さん。
颯天のお姉さんで人を弄るのを除けばとても優しい常識人だ。
ちなみに高校3年で俺たちの先輩でもある。
「ふふっ、その可愛さで言っても説得力無いわよ」
「む………」
風乃さんには会うたびに弄られてばっかりだ
「姉ちゃん、夕飯何買ってきた?」
「カレーよ、璃空ちゃんも食べてく?」
ちらりと見え隠れする中辛のカレールー
そして黒いオーラ漂う風乃さんの笑顔
「いや………遠慮しときます、辛いの苦手なんで」
「そう?折角璃空ちゃんの為に甘めで作ってあげようと思ったのに」
「そ、それならいいですけど………」
ちなみに俺、カレーの中辛は食べれない、辛すぎる
よく味覚が子供とか言われるが心外だ、ただ甘いものが好きで辛いのが苦手なだけなのに
「わかったわ…………さて、何をいれようかな~、タバスコが安定だけど……」
「え………?」
スーッと、顔から血の気が無くなっていくのが自分でもはっきりとわかる
「姉ちゃん、そろそろからかうの止めてやれ、璃空が涙目になってる」
「あはは、ごめんね冗談だから」
若干申し訳なさそうな風乃さん、逆にこっちの罪悪感が……
「それより姉ちゃん、なんで俺の部屋来たんだ?」
「ん?これ、颯天に頼まれてたやつ」
そういって颯天が受け取ったのは───
「栄養ドリンク………?」
「そう、今日は徹夜だからな、璃空もどうだ?」
「い、いや、遠慮しとく」
流石に徹夜してまでゲームをしてたら明日がヤバそうだ
「颯天、璃空ちゃんは颯天とは違っていい子なんだから変なこと誘わないの」
「姉ちゃん、今軽く俺をダメ人間扱いしたよな」
「さぁ?とりあえず夕飯作ってくるね───っと、その前に璃空ちゃんに一言」
「?」
部屋を出ようとした風乃さんはくるりとこっちに向いて、自分の口の横辺りを指差す。
「アイス、食べ過ぎはダメだよ」
「………え?」
最後に軽く微笑んで風乃さんはリビングに降りていった。
「…………?」
戸惑う俺に颯天から無言で手鏡が差し出される
そこに写ってる俺の口元には、しっかりとチョコアイスの跡が付いていた
「…………!?」
真っ赤になる俺の顔、吹き出しそうなのを必死に抑える颯天
「颯天、気付いてて黙ってただろ……!」
「っ……さ、さぁ?」
バレバレな颯天の誤魔化し
やっぱりなんだかんだで俺の周りは平和だ