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睡眠欲求欲

作者: Pa
掲載日:2012/12/30

僕は寝続けます。


ずっと寝て、誰も僕を意識しなくなるまで寝ます。

ずっと僕は寝ます。それは僕にとって至福の時間でしたが、ある時から僕はたまに起きるようになります。


たまに起きては勉強をして、至福の時間に戻ります。


そしてたまに起きては、仕事をして残業もします。


もはや僕にとって起きている時間はたまにではなくなりました。

それでも僕はたまに、と思い続けます。

僕はたまに起きているだけだと、誰かに認めて欲しかったのです。

だから、僕は僕自信のたまにを認め、たまに起きている時間の合間に寝ます。


そしてこの日、僕は眠っている間に全てを失いました。


僕はずっと眠り続けます。僕のことを意識する誰かが居なくなるで、無限に永遠に眠り続けます。

ずっと寝ます。まだまだ寝ます。まだまだまだ寝ていたかったのに、僕の体は僕の意思に反して起きてしまいました。


そして、時計を見て焦った僕は居間の固定電話ヘ走ります。

携帯は眠りを阻害されるので、買わないことにしていたのです。

とうとう居間に到着した僕は、なぜ今日に限ってこんなに眠れたのかを知りました。

母です。母が台所で倒れていました。

朝ごはんを作っていたのでしょうか。幸い火がつきっぱなしではありませんでしたが、火がついていて欲しかったと思うほど母が冷たいのです。


仕事先にかける電話は必然的に病院へと変わりました。

それでも母が返事を返すことは二度とありませんでした。



それから数日というか一週間ぐらいでしようか。

葬式だのなんだのと特にこの間は忙しく、僕は睡眠時間を殆どとれていませんでした。

なのになぜでしょう。僕は全く眠りたいとは思わなかったのです。

ここまで不自然な状態は、後も先にもこの時だけでした。

母の時間はもう一秒たりとも動かないのに、僕の毎日は目まぐるしく過ぎてゆきました。睡眠時間も仕事の時間もとれないほどに。

気がついたときには、会社に僕の机は無くなっていました。会社の全ての場所から僕の名前が消えました。


後から分かったことですが、シングルマザーだった僕の母親は苦労したようで、母に多額の借金があることが分かりました。

返済のために家をおわれ、住み慣れた場所には殺風景な部屋以外なにも残りませんでした。

部屋を借りなければと少し悩みましたが、そもそも僕には人と話す気力すら有りませんでした。

そして、ある橋の下にたどり着いた僕は座り込んでぼーっと空を見上げていました。綺麗な夕焼けです。

何かを勘違いしたおっさんが、僕に段ボールを一枚分けてくれました。あながち、勘違いとは言えないかもしれません。

僕は段ボールの上に横たわり、いつの間にか星空に変わった空をぼんやり見ていました。

橋の隙間から覗く空はとても綺麗でしたが、僕は星空が嫌いでした。

星空を見るくらいなら、その間に一秒でも寝ていたいとずっと思ってきたからです。

僕の薄汚れたフィルターは、星をくすませ事実をねじ曲げてきしまた。それがどんなに美しいか、自分の心でははかることが出来なくなっていたのです。

でも、これからは時間を気にすることはありません。好きなだけ寝て、いつまでも永遠に寝続けることだって可能かもしれません。

僕は一層輝きを放ち始めた星をずーっと見ていました。



ずっとずっと、昼になっても僕の目には満天の星空が映っています。そして、一日中見続けて満足した頃僕はようやく眠ろうと目を閉じました。


……眠れません。なぜなのでしょう。星空はもう見飽きるほど見ました。

母も死に、職場も追われ、僕を意識する誰かは僕以外に居なくなったはずです。

なぜ眠れないのか。僕は綺麗な青空を見上げながら、考えました。


そうしていると、おっさんがまた僕に近寄ってきます。僕は今それどころじゃないので無視しました。不意におっさんが呟きます。「確かに、こんな腐った世界を見ているよりか空を見ていた方が良いだろうな」

今はおっさんに思考が割けないので「ええ」とだけ言いました。

おっさんはまた独り言を繰り返します。僕のための独り言を。

「海は青いだろう。誰かが空の色が海に写っているだけだと言った。でも考えてもみろ。海の水が空に写っているんだとしたらどうする?お前さんが好きな空の色は腐った世界を写した色になっちまうかもな」

今度は僕は少し考えました。光の反射や色について、頭の中の教科書を引っ張り出してパラパラめくった後、僕はまた「ええ」とだけ答えました。

おっさんは満足したか、僕に呆れたかして去っていきました。

どちらにせよ、二度と会うことはないでしょう。


僕は空を見上げているようで、寝ているのかもしれないと思うようになり、少し後に馬鹿馬鹿しいと気付き目を閉じました。


誰かが僕を意識しなくなるまで、僕は眠り続けました。それは、きっと一生無いと分かっていたので、ちょっとずるをしたことは、誰にも内緒です。

今日も僕は眠り続けて、僕も僕を意識しなくなるまで寝ようと思っています。


僕は今がきっと最高です。ええ、誰がなんと言おうと最高なのです。

読んでいただきありがとうございます。

色々知識がないまま書いてしまったので、ちょっとおかしなところがあると思いますが、見逃してやってください。

では、またいつかどこかで。

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