表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

Episode3-アーツ

今回はバトルがほとんどです。


長くするつもりだったのになぜこうなった……

現実時刻2101年4月2日 8:26

第2エリア[プレーンロード]


人目を気にしないために全力で走りながら俺は[スターターサークル]の正門を目指していた。通りの中央を駆け抜けながら俺はある一つのことに気づいた。


「体が……軽い」


ステータス補正かなにかだろうか、現実で6秒前半だったが今走ってるのは明らかにそれより速い。現実と体格がほぼ同じな為、走る感覚も同じ、息も少ししかあがっていない。顔に当たる風も涼しくて気持ちいいな………

そんなことを考えてるうちに灰色の石で出来た街の正門に着いた。

そのまま門を走ってくぐり抜ける。


門を通った瞬間、目の前が明るくなるような感覚に襲われた。

理由は目の前に広がるフィールドのせいだ。

俺の前には美しい新緑の広大な草原が広がっていた。整備されている所々曲がった一本道が地平線の先まで続いていた。

始まったばかりだからみんな街中で準備をしているのだろうか、想像より辺りにプレイヤーはいなかった。


「とりあえず敵探すか」


自分に気合いをいれるため一声だけ呟き、道を外れてまた走り始めた。


少し走ると、一人のプレイヤーがなにやら棍棒を持った茶色い毛むくじゃらの小柄な獣人と戦っていた。

プレイヤーは男で右手に《斧》、左手に《爪拳》を装備して戦っている。確かあの組み合わせはオススロールのところに書いてあった組み合わせだな………ロール名は確か《ディアボロス》、INTが最低クラスの代わりにSTRがかなり高い物理特化の脳筋ロールだ。

男は必死に戦っているんだが………あまりにも動きがぎこちない。斧を降り下ろすがスピードが遅く、獣人に軽々と避けられてしまう。爪拳で斬りかかっても威力が小さいのか棍棒で防がれる。

………あれじゃ折角の攻撃力が全く活かせてないな。

男は斧を縦に降り下ろすが獣人にサイドステップで避けられ、攻撃後の隙ができてしまう。その間に横から棍棒で頭を殴られた。

男のHPが1割程度減少し、HPゲージが安全区域(グリーンゾーン)から注意区域(オレンジゾーン)になる。HP残量が50%を切った証拠だ。

それに対して獣人のHPは緑色、まだ7割程ある。

勝てないと判断したのか男は獣人に背を向けて走り出した。そんなあまりにもわかり易すぎる隙をモンスターが見逃すわけはなく、今度は脚を棍棒で殴られる。

脚を殴られた男はその場で転んでしまう。この世界では現実と同じように感覚がある。当然痛覚もあるわけで脚を殴られた痛みも感じているはずだ。まぁ現実よりは全然痛くないようになってるが。

このままじゃあの男は確実にやられるな、そう判断した俺はとりあえず加勢することにした。

右手を前に出し、手を広げる。


「『ブレット』!」


掛け声と共に俺の手のひらから黄色の光の球が発射される。それは的確に獣人の顔面に直撃した。

これはほとんどのロールが最初から覚えている基本魔法アーツ『ブレット』。単に魔力弾を放つだけの魔法だが当たり所がよかったらしく、獣人は大きく後ろに吹き飛び、HPが2割程減ってゲージがオレンジになる。


"ゴブリン"Level1


"ゴブリン"か、RPGじゃよくいる雑魚敵だな。

"ゴブリン"が転倒してる隙を逃すわけにはいかない。まだ転んでる男の横を駆け抜けると、腰に交差するように掛けてある鞘から二本の長剣を抜き払い、"ゴブリン"が立ち上がる寸前に相手の頭の上から右手の長剣を降り下ろす。

剣が体を斬ると血の代わりに赤い光の粒がゴブリンの体から飛び散った。

だがやはり攻撃力は低いようだ、クリーンヒットした筈の攻撃でも相手のHPを0にすることはできなかった。残り2割、危険区域(レッドゾーン)でゲージは止まった。

本来なら倒せる予定だった攻撃で倒せず、あらためて攻撃力の低さを実感すると同時に少し驚いた俺だったが攻撃の手は緩めなかった。


「せあっ!」


右手の剣を引き戻すと同時に左手の剣を体の回転を乗せながら右に薙ぐ。しかしその動きは読まれ、棍棒で受け止められてしまう。少しの間つばぜり合いになるが相手が左に力をかけているのを利用して右手の剣で棍棒を弾き、地面に押さえつけると、そのまま左に回転し、左手の剣でゴブリンの首もとを切り裂いた。

この攻撃でゴブリンのHPは0になり、一瞬硬直すると光の粒がとなって消えていった。


「ふぅ………こんなもんか」


左右と剣を軽く振り払ってからカチンッと心地いい音を立てて腰の鞘に納める。

しかし、攻撃力が低いってのは本当らしいな………スライム級の相手にこれだけ時間がかかるとは思わなかった。

まぁ仕方ない、ゴブリン程度ならノーダメージで倒せるな。自分の体を動かして戦うVRMMORPGで、剣術を習ってたアドバンテージは大きいかもな、そう考えながらまた走り出した。

後ろからさっきの男がなにやら声をかけてくるが聞こえないふりをして走り去った。

知らない奴と話すのは得意じゃないからな。

とりあえず最初に目指すは10レベだ。






Now loading……






現実時刻2101年4月2日 10:22

第2エリア[プレーンロード]


あの後、俺は2時間ほどぶっ続けでゴブリンやレベル2の灰色の狼、"ファングウルフ"と戦い続けた。その結果レベルはなかなか上がった。途中ゴブリンを3体まとめて相手にしたときや狼に不意をつかれた時にダメージはくらったがほとんど簡単に避けれる攻撃ばかりだった。



─────────────

シュウ

Level:5

Roll:【ソルライトブレーダー】

HP46/97 MP6/29


ATK:14

DEF:20

SPE:39

MAG:10


STR:16

DEX:30

INT:7

LUK:9

─────────────



それにしても攻撃力の上昇率が致命的に低いな………

これは単発威力よりも攻撃速度を優先するべきか。などと考えながら次の事も考える。


「一旦落ちるか………」


親父のキャラクター名も聞かなきゃいけないし、そしてなにより疲れたので一旦落ちる事にした。

メニューを開き、一番下にある扉のマークがついたログアウトボタンを押そうと─────






「ログアウトボタンが……無い!?」



次回こそ長くします!


……………たぶん


感想、誤字脱字指摘等お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ