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旧世紀を代表する天才の晩年は狂気だった。
旧世紀を代表する天才の晩年は狂気だった。世界を一変させた数々の発明、そこで得た全ての資産を注ぎ込み、謎の機械を建造したのだ。国家的予算と悪魔的科学力を誇示しながら、一切の用途が不明なそれを、人々はただ《機械》と呼び、恐れた。
天才の死後、《機械》の解体を求める声も出たが、彼の偉業への敬意がそれを上回った。《機械》は巨大な墓碑となり、そこに在り続けた。
新世紀の危機は隠密裏に訪れた。彼方宇宙から飛来した侵略者は、この星のあらゆる文明を精査し、勝利を結論した。ただ一点、例の《機械》を除いて。
「何だこれは」機械生命体である彼らは、潤滑油を垂らして議論した。
「動作を確認。解析は不能」
「内部に高エネルギー反応を確認」
「我々の科学を超越した兵器なのか」
「蓋然性は高い」
「無意味な機械など存在するはずがない」
未知の危険を恐れ、侵略者は彼方宇宙へ引き上げた。
どこまでも蒼い空を、《機械》は悠然と見上げ続けていた。




