鳩
掲載日:2026/05/26
ローカル線は、遅い。
右足で二回、地面を叩く。
駅のホームは疎だった。
座ったベンチが軋む。
スマホを見れば充電がない。
息が漏れた。
じっと線路を見る。
あとは帰るだけだ。
今日も、長かった。
鳩が首を突いている。
それを少年が追いかけた。
羽音が重なる。
もう、やめてくれ。
私の喉から胸に何か落ちた。
悪いものだった。
足元に飛んだ一羽が怖い。
丸い目が、私を揺らした。
光も無かった。
指先がひりつく。
遠くで女が少年を呼ぶ。
少年は走って行った。
鳩は真っ直ぐ歩かない。
そこに、私がいる。
ホームに電車が入る音がした。
鳩が飛び立つ。
それは、憎い。
私はベンチを立つ。
電車も、疎だ。
それを望んだはずだった。
行き先を告げていた。
了
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