10倍対10倍
カイが「歩くパワースポット」として崇められ、悟りを開いた聖者のような扱いを受ける中、ついにその「鉄壁の無欲」を揺るがす天敵が現れます。
それは、他のクラスとは別の場所で召喚されていた、隣のクラスの女子 幸子でした。彼女の能力は、「10倍の幸運(ラッキー・スケベ誘発)」という、カイにとってはもっとも危険なものでした。
サチコがカイの前に現れた瞬間、世界の法則が激突します。
サチコはただ歩いているだけなのに、10倍の幸運のせいで「ありえないハプニング」を連鎖的に引き起こします。
現象: サチコが石に躓くと、その拍子にカイの目の前で彼女の服のボタンが「10倍の弾力」で弾け飛び、なぜかピンポイントでカイの鼻先をかすめます。
カイの対応: (……素数だ。2, 3, 5, 7, 11……俺は岩だ。俺はただの動かない岩なんだ……!)
結果: カイの「10倍の無」がハプニングを相殺。ボタンはカイの「存在感の薄さ」をすり抜けて、背後の剛田の額に直撃しました。
自分のラッキーが通じない相手に、サチコは興味津々で詰め寄ります。
「ねえ、君すごーい! 私の周りで何も起きない人なんて初めて! もっと近くで見せて!」
サチコがカイの腕に抱きつこうとすると、10倍の幸運が「足の滑り」を誘発し、彼女はカイに向かってダイブする形に。
カイは「影の薄さ」を極限まで高め、物理的な当たり判定すら消失させます。
サチコはカイの体をすり抜けるようにして、そのまま床にダイブ。しかし10倍の幸運のおかげで、床にはなぜか「超高級なふかふかクッション」が落ちており、無傷。
カイの内心: (……危なかった。今、一瞬だけピンク色の光が漏れかけたぞ……!)
二人がドタバタ(カイは無言で回避)している様子を見て、老魔術師たちは涙を流して拝み始めます。
「おお……見よ! 10倍の幸運を持つ聖女様と、それを全て受け流す無の聖者様……!」
「お二人が並ぶだけで、世界から不浄が消え去っていく……これが真の救済か!」
剛田たちも「あいつら、次元が違いすぎて手が出せねえ……」と、遠巻きに畏怖の念を抱き始めました。
サチコはついに最終手段に出ます。「ねえ、私の目を見て?」と、10倍の幸運(可愛さブースト)を込めて至近距離で見つめてきました。
カイの危機: カイの脳内では円周率と素数が混ざり合い、ついに計算不能のエラーが発生。
10倍の「虚無」発動: 耐えかねたカイの能力が暴走し、「影の薄さ」が「存在の消滅」一歩手前まで加速。
結果: カイの姿がサチコの目の前で半透明」になり、完全に幽霊のような状態に。
サチコの反応: 「えっ、消えた!? カッコいいー! 隠れんぼしよ!」
サチコから逃げるために、カイはついに「誰の手も届かない場所」へと逃げ出すことを決意します。
(もうダメだ、このままじゃいつかピンクに光りすぎて爆発する……! こうなったら、魔王の城でもどこでもいい、誰もいない静かな場所に引きこもってやる!)
カイが半透明のまま王宮を脱走しようとすると、なぜかサチコも「待ってー! 私も行くー!」と、10倍の幸運(迷子にならない能力)を駆使してぴったり後ろをついてくるのでした。




