第5話 総選挙結果
そんなこんなで、範囲を広げつつ俺は地道な宣伝活動を続けていった。
その結果迎えた当日。
「10票! 10票も入ってたぞ!」
結果は最下位から10個くらい上。
全員で300人くらいいる聖女の、最底辺から10個上だけど。
二年前と一年前と比べるとかなりよくなっていた。
サディナさんの頑張りを認めてくれた人がいたようで、俺も自分の事のようにうれしい。
「今までで一番の結果ですね。ありがとうございます、エレフさん。私なんかを応援してくださって」
「どういたしましてだ。でも、ここで満足してちゃだめだぞ。もっと上を目指さなくちゃな」
その日は俺達でちょっとした高いお菓子を二人で食べて、小さなお祝いをした。
でも、誰が票を入れてくれたんだろうな。
それから数日後。
相変わらずポンコツなサディナさんに、新しいお仕事がいいわたされた。
それは、今まで与えられたことがない仕事だ。
「頑張りましょう!」
「おうよ!」
今までにないくらいやる気に満ちたサディナさんと共に、さっそく仕事場へゴーだ。
そしたら昔お邪魔した村のとこだった。
でも、村の人たちは大歓迎。
未だかつていないくらいの歓待を受けた。
「サディナ様のおかげで、怪我が治るどころか、持病まで綺麗さっぱりです」
「前から患っていた肺の病が見る影もなく」
「そういうわけなので、私達はこれからはずっとあなた様を応援していきますよ」
「これからも、せいじょさまのおしごと、がんばってね。サディナお姉ちゃん!」
そうか、この人達がサディナにーー。
見ている人は見てるんだな。
サディナさんの頑張りを。
聞くところによると、彼らはわざわざ投票所まで言って投票してくれたらしい。
小さな村には投票所がないから、遠くの都市まで行かなくちゃいけないのに。
なんてありがたいんだ。
「良かったなサディナ」
お前を推してるのはこれからもずっと俺だけかもしれない。
なんて、そんな事思ってたけど、杞憂だったよ。
お前の頑張りはいつか報われる時がくるはずだ。
きっとその時になったら皆に慕われる立派な聖女になるに決まってる。
偉くなったらもっと強い護衛が必要になるかもしれないから、俺だって頑張らなくちゃな。
 




