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42.感情

帰った後、南と(ついでに麻紀と麻衣と)こっちの世界の通貨の価値を考えてみた。

調べ方は前の世界にもあった物の値段で比較するという大雑把なものだが、間違ってはいないだろう。


・銅貨が約100円。

・銀貨が約1000円。

・金貨が約100000円。


金貨になって突然額が跳ね上がる。別に10000円でもよかったじゃん。

・・・てことはルークを雇うために必要だったのは、大体3千万ってことか。そう考えると確かに高いな。貴族たちが値段を聞いてやめたのも頷ける。組織に対してならあり得るかもしれないが、ルークは個人だ。個人に対して3億で雇う奴はいないだろう。


「そういえばカイ君は悪魔王のところに行くの?居場所を聞いたって言ってたけど」

「いや。そもそも本当に悪魔王かどうかもわからないし、何か俺たちに影響があるわけでもないからな」

「そうなんだ。じゃあどこに行くの?行ったことのないルーナ王国?」

「んー。できれば勇者がいない時に行きたいんだよな。勇者は魔王が近くにいると気づくみたいだからな」

「勇気君か。勇気君本人は周りもみえてるし、考え方も柔らかいからいいんだけどね。周りにいる人たちがやたら硬いからね」


それは俺もなんとなく感じた。

しかも質の悪いことに地球にいたころは尊敬みたいなものだった勇者への感情が、こっちに来てから信仰みたいなものになっていたのだ。


「シーアとモルテリア共和国に行ったときに、俺がシーアを脅して連れまわしているみたいなことを言ってたしな」

「・・・ねえ、カイ君。そんなことを言ったのは誰?誰?元クラスメイトなんだから名前覚えてるよね?」

「い、いや。覚えてないぞ。ていうかどうしたんだよ」

「あいつらの仲間がリューヤって呼んでたよ。他にも同調している人はいたけど名前はわからない」


ボーっとしてたシーアが突然口を出してきた。

よく覚えてるな。


「そう。隆也君。ねえ、カイ君。ちょっとルーナ王国に襲撃かけてもいい?」

「なんでだ?」

「なんか意味わからないことをのたまってたみたいだし」

「「私も行く」」


なんか麻紀と麻衣まで参加してきた。


「必要ないだろ。言われて何か傷を負うわけでもない。間違ったことを言ってるやつがいたら適当に嘲笑ってやればいいだろ」

「カイ君が気にしてないならいいんだけど・・・」

「「むぅ」」

「・・・」


実際、元クラスメイトに言われたときは何言ってんだこいつという感じだった。

今も特に気にしていない。()()()()()()

まあ、こういうことにはもう慣れたから問題ない。


「俺は少し寝てくる」

「うん、わかった」


「皆クロトのことを心配してるんだよ」

「わかってるよ、セラ。・・・ありがとな」


南視点

カイ君が出て行った後。


「クロト、感情が薄くなったって言ってたけど気にしてるのかな?」

「え?そんなに気にしてないと思うよ。前の世界でもあんな感じだったし」

「そうなの?もっと元気な感じだと思ってた」

「ん。新しい魔法とかを使う時は少し楽しそうだから、そう思ってた」


カイ君は勇者になりたいみたいなことを言ってたけど、同じくらい魔法にも興味があった。

・・・というか中二病とかじゃなくて単純に好奇心だったと思う。そうでなければ、今頃勇者的な活躍をしまくっているだろう。


「多分だけど悩んでるんじゃないかな?」

「「悩む?クロトが?」」


その反応はどうかと思うけど、私もあながち否定できない。


「クロトは、自分が何かを言われることに対して何も思ってないでしょ?だけど私たちが怒ってる。自分じゃなくて他人が。だから自分の対応に悩んでるんだと思うよ」

「「・・・」」

「・・・気にしなくていいんですけどね」

「ね」

「どういうこと?」


今まで黙っていた麻紀ちゃんと麻衣ちゃんがいきなり声を出した。


「私たちはクロ兄に着いてきてくれと言われたわけじゃないです」

「そ、私たちは無理やりくっついてるだけ。だからクロ兄が気にする必要はない」


・・・確かにそうだ。私たちは出会った初日に少し話し合った。カイ君を買い物に出させて。

その時に()()()を共有できたから仲良くなれた。だけど、仲が悪かったらどうなるだろうか。多分カイ君は1人で旅にでるだろう。あ、オロチちゃんも含めて2人(?)か。


「・・・でも、それはそれとして感情の方もどうにかしたい。主に私たちのために」

「それもそうね。でもカイ君の感情を戻すってどうやるんだろう」


・・・自分で言ってて思ったけど、感情が戻ってもあまり変わらない気がする。


「それこそ愛の力!」

「シーア、それも感情」

「うっ・・・。そこはごり押しで」

「無理。はあ、とりあえずこれはおいおい考えよう。もう、私たちも寝よう」


皆が返事をして、立ち上がるのを待つ。

さて、私はカイ君のところに行こう。

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