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33.懸念

『クロト、少しいいか」

「ん?」

『迷宮主のことで話がある』


そういえば弱っていることは、と言っていた。

つまり・・・


「強化されてたのか?」

『ああ。それに、推測にはなるが他の階層の魔物も強化されていたはずだ』

「・・・それはちょっとわからなかった」

『だろうな。全て一撃で倒したのだろう?そのくらいは言われなくても想像はつく』

「そうかい。それで何で強化されてたんだ?」

『恐らくだが、お前がソルガール王国の王都であった奴関係だろうな』


ソルガール学園の体育祭に若い魔王。そしてその親玉と思われる、まだ姿を見せていない魔王たち。結局何が目的なんだ?

・・・わからん。


「まあ、特に被害も出てないしいいか。アベルにできるだけ動くとは言ったけど、尻尾をつかめなかったから動けない。よし、働かなくて大丈夫だな」

『大分暴論だな・・・。アベルと言うと・・・ああ、今代の精霊王か。確か《加護視》の権能だったな。今回は優秀なようだ』

「ん?精霊王の権能って全員同じじゃないのか?」


・・・そういえば今までの精霊王の話を聞いたことは無かったな。


『ああ、違うぞ。確か先代は《武器生成》、先々代は《神眼》だったhずだ』

「違うのはわかったけど、前2つのほうが強いと思うんだが?」

『いや、精霊王の強さというのは生き残る年月で決まる。つまり如何に敵を倒すかではなく、如何に早く敵えお見つけるかということになる』

「じゃあ《神眼》は?凄そうに聞こえるぞ」

『あー、確かに《神眼》の効果は高い。それこそ《加護視》以上だ。だが、《神眼》は3度しか使えないという短所もあるのだ』


・・・弱くね?つまり、温存した場合権能は全く使えないのだ。

確かにそれは生き残れそうにないな。


『その点《加護視》なら回数制限はないし、敵も見つけられる。まあバランスがいいということだな』

「へー、あいつって優秀だったんだな。そういえば神獣と精霊王ってなにか接点あったりするのか?」

『先々代には少し顔を合わせたが、先代と今代には会ってないな。立場てきには我が上というだけだな』


それは残念だ。アベルと面識があればフェンリルの悪口を言い合えただろうに。


『・・・おい、何を考えている』

「イヤ、ナンデモナイ」

『・・・そうか、ならいい』


こいつ、勘が鋭いのか鈍いのかわからん。

多分麻紀と麻衣だったら内容までばれてる。


「少し長居しすぎたな。そろそろ帰る」

『そうか、わかった。他の魔王には気をつけろよ』

「わかってるよ」


今度アベルと話してみよう。


フェンリル視点

クロトが《転移》する。いちいち規格外だ。

最近1人でいるのが寂しくなってきた。こんな感情はいつぶりだろうか。

しばらくぶりに旅に出てみようか。

・・・む。


『誰だ?』

「流石は神獣ですね。ばれるとは思いませんでした」

『・・・狙ったのか?』

「?何がです」


あ、これは本当にたまたまだな。クロトがいなくなるタイミングをねらったのかと思った。

・・・普通に考えてクロトが気配をつかまないはずがないか。

それにしても妙だ。友好的ではないが、感情に敬意も感じる。


『いや、なんでもない。・・・魔王の手先かなにかか?』

「・・・それほどですか。神獣というのは世に疎いと思っていたのですが」

『この情報に関しては偶然だ。用件は?』

「本来は味方に引き込むつもりだったのですが、それは不可能のようですね。なので1歩引きましょう。我々の計画を邪魔しないでいたただきたい」

『もとより邪魔をする気はない。人と魔の者が争うのは()()。そこに入り込むことはできない』

「わかりました。感謝いたします」


そう言うと消えていった。

一言入れ忘れたな。()()()()入り込むことはできない。

まあ、この時代には例外がいる。

我の入る場所はないだろうな。


クロト視点


「・・・つまり?数百体のキメラと迷路を突破。そして、迷宮主である亜竜を倒したと」

「そうなるな」

「・・・」


《転移》で地上に帰った俺はシュルトとところに報告をしにきていた。

シーアたちは先に宿で休んでいる。

さて、報告も終わったし帰るとするか。


「おい、帰ろうとするな。まだ聞きたいことがある」

「やだよ、面倒くさい」

「そんなことを言ってる場合じゃないんだ!2つだけだから答えてくれ」


・・・まあ、2つだけならいいか。

俺は渋々頷いた。


「先ずは1つ目だ。亜竜を倒した後、迷宮内部もしくは外部で何か変化は感じられなかったか?」

「変化?・・・特に無かったとおもうぞ。帰りは100層から上は経由してないから、その間に何かあるかもしれないけど」

「どうやって帰って来たんだ・・・。まあいい、お前だしな」


・・・最近こんなセリフをよく聞く気がする。皆の俺の認識はどうなっているのだろうか。


「そういえばあの迷宮は攻略した後に消えなかったけど、何か理由があるのか?」

「ああ、何でかはわからないが100層もある迷宮は、大半が攻略された後も残っている」

「へー」


なんかゲームみたいだな。

・・・ゲームみたい、か。


「で、2つ目は?」

「戦利品は何がある」

「無いぞ。そんなもの」

「・・・ない?」


あそこは本当に苦労しただけだった。戦利品があればもう少し気は楽というか、報われただろうな。

そんな風に思っていると・・・


「ん?そんな変な顔してどうしたんだ、シュルト」

「普通は戦利品が無いということは無いはずなんだ。お前たちが最初に攻略した迷宮でも何かしら手に入れただろ?」

「ああ、迷宮主を倒した時に変な短剣が出た」

「だろ。迷宮主に限らず、他の階層でも出たという報告はある。それも()()()()()でだ」


全て。つまり俺たちが最初の案件というわけだ。

たまたまという可能性もあるが、詳しい数字はわからないにしても多くの迷宮が攻略されている。たまたまということは無いだろう。

となると・・・心当たりしかない。ただ、話すべきではないだろう。この後で無駄に魔王の争いに首を突っ込まれてもこまる。


「偶然じゃないか?」

「その可能性はあるが、俺たちは今後も調査は続ける」

「そうか。調査には協力しないけど、何かあれば呼んでくれ。しばらくはいるつもりだから」


まあしばらくは他の魔王たちがここに手を出すということはないだろうが。


シュルト視点


クロトは偶然だと言ったがそうではないだろうし、クロトは何か知っているんだろうな。

クロトが出て行ってから、そんなことを考える。

原因を知りたいという気持ちはある。

あるが、あのクロトが口を噤んだのだ。

そんなに付き合いが長いわけではないが、クロトが面倒ごとを嫌い、あったとしても他人に擦り付けようとする感じの奴だということくらいはわかった。

そんなクロトが話さない。こんなにもめんどくさそうな雰囲気があるのにだ。


「アイシャ、クロトたちに対する警戒を解け。代わりにクロトたちが攻略した以外の迷宮の調査に力を入れろ」

「・・・よろしいのですか?」

「わざわざ危険な場所に突っ込みにいくつもりはない」


クロトが話さなかった理由がクロトたちのためなのかギルド側のためなのかはわからないが、危険であることに変わりない。

何かあっても被害は最小限に抑えられるように努力しなければ。

・・・クロトが何をしでかすかわからんしな。

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