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22.再会

「クロトさん?」

「えっ、レーネ?」


見回りしていると後ろからレーネに話しかけられた。何故か気配が・・・あ、精霊か。

ということは・・・


「俺の正体もわかってるんだろ?話しかけていいのか」

「え?しょ、正体?えーと」

「少し演技の練習をしたほうがいいぞ。精霊だろ?名持ちの上位精霊か?大分気配が強い」

「流石だね。強いのはわかってたけど僕ら精霊の気配に気づくほどとは思わなかった。ちなみに僕は上位精霊じゃなくて精霊王ね。もちろん名持ちだよ」


レーネについていた精霊が実体化してそんなことを言ってきた。

それにしても精霊王か。どうりで強い気配なわけだ。精霊の気配がわかると言っても意識をその方向に集中させないといけない。それなのに意識を向けただけで強い気配を感じた。


「他の精霊は俺が人間じゃないとわかっただけだが、強さまでわかるのは権能か?」

「うん。僕の権能は他人の加護を見ることだよ。それで種族がわかるんだ。あ、僕の名前はアベル。よろしく」

「知ってるだろうがクロトだ。よろしく。で、レーネはなんでここにいるんだ?」


話に追い付けなくなってむくれていたレーネに話しかける。

貴賓席にいると思っていた。


「アベル君が突然ついてきてって言うから。アベル君、クロトさんがいたから?」

「うん。そういえば、クロトはなんでレーネに加護を付けたの?」

「意識して加護を与えた覚えはないから、あのお守りあげた時じゃないか」


そういうとレーネが蝙蝠瓶を出す。まだ持っていたようだ。


「見た目あんまよくないからずっと持ってなくてもいいんだぞ」

「持ってる!」

「お、おう」

「レーネはずっと持ってるよ。それこそ寝て・・・」

「アベル君!」

「あはは。ごめんごめん」


なにを言おうとしたんだ?


「あ、そろそろ戻ったほうがいいな。シーアも来賓なんだからずっと席を離れてるわけにもいかないしな。まあ警備のほうはまあ、一応頑張るから」

「やっぱりクロトさんが警備だったんだ。学園長も褒めてたよ」

「一応っていうのは気になるけど君が警備なら安心だね。頼むよ」

「ああ」


まあ精霊王がいるならレーネは大丈夫だろ。仕事に戻ろう。


レーネ視点


「アベル君、クロトさんに会わせてくれてありがとう。それにしても加護の他2人は誰なんだろう?」

「あ、言ってなかったね。魔王も吸血鬼王も悪魔王も全部クロトだったよ。王の複数持ちが存在するのは知ってたけど見るのは初めてだよ」


すごいなクロトさん。あれ?でも・・・


「そういうのが重なると破壊衝動とかいうのが大きくなるんじゃないの?確かアベル君が、前にそういうことを言ってた気がするけど」

「そのはずなんだけどね。完全に制御してたよ。ないじゃなくて制御。つまりいつでも解放できるけど、まあクロトなら大丈夫だろうね」

「うん!クロトさんはすごいもん。それよりアベル君さっきは何暴露しようとしてたの?」

「いや、クロトに大切にしていることを伝えてあげようと思ってね」

「ずっと持ってるで止めてよかったでしょ」


もうアベル君は。でも会えてよかった。私も仕事をがんばらなくちゃ。


「レーネ、伏せて!」

「え?」


突然会場が揺れた。そしてアベル君の視線の先にあったのは壊されていた校舎と

・・・大きな人の形をした『ナニカ』だった。


クロト視点

レーネと別れた後。

ん?校舎側に大分関係者以外の人間が集まってる。何故校舎?まあいい、侵入者に変わりはない。さっさと・・・なんか気配が減ってる?いや、1つに固まっていってる。なにしてんだ。

突然会場が揺れた。


「は?校舎壊れたぞ。あの巨人は・・・そういうことか。人間集めて巨人作りやがった。方法知らないけど気持ち悪いことするな」


とりあえず《ファイヤーボール》を足に打つ。が、威力を抑えたせいで少し穴が開いただけだった。全力で広域攻撃ができればいいが、目立つ。とりあえずシーアを・・・いやセラだな。固有魔法を使わせてもらおう。


黒狼(こくろう)》。強化された《影魔法》だ。主な使い方は今のように生物を影で作り出し、操るものだ。作れるものに制限はあるが、神獣や聖獣などでない基本的な魔物は作れる。

《黒狼》は色が黒いグレートウルフだ。そこの何故か作れた前の世界の動物、《黒鳥(こくちょう)》のオウムを作る。鳥は全て《黒鳥》になるようだ。

《黒鳥》に俺の言葉を覚えさせ、《黒狼》に運ばせる。これでいいだろう。


「後は目立たないように足止めしよう」


セラ視点

魔物に囲まれた。

校舎が壊され、巨人が出現。それと同時に会場内に魔物がなだれ込んだ。

最初のほうは教師が善戦していたが、数が多すぎた。大半が魔力切れになり逃げざるを得なくなった。

そして私は少し離れた隙に魔物に囲まれたというわけだ。

さて、どうするか。その時黒い狼が出てきた。敵かと思ったが・・・


「魔物を倒してる?とりあえず味方という認識でいい?」


魔物に言葉が通じるとは思わなかったが頷いた気がした。なんか鳥みたいなのを乗せてる。

その狼は強かった。なんとなく動きがクロトに似ていたので笑ってしまった。

全て倒し終わった後、突然乗っていた見たこともない鳥がクロトの声で喋り始めた。


「巨人を倒したいんだが、目立ちたくない。セラの固有魔法を使ってもらいたい。その狼は俺の魔法だ。そいつについて行ってくれ」


理由がおかしい気がする。しかもこれが魔法って・・・。クロトだから気にしない。

狼が動き出したのでとりあえずついて行く。

途中何度か魔物に会ったがすぐにクロトの狼が倒していた。魔法だけでこの強さとは。

校舎跡のほうに近づくにつれて大きな音が聞こえてきた。魔法の音ではないし、そもそも戦っているような音ではない。クロトが何かしたのかな。

校舎跡で見えたのは状況にそぐわず、つい笑ってしまうような光景だった。

巨人が穴の中で転んだり起き上がったりしている。しばらく茫然と見ていると・・・


「お、セラ。来たのか。ありがとな」

「クロト、これは何?」

「悪い。最初は足止めしてたんだが、飽きて少し遊んでた」


意味がわからない。この状況で遊んでた?


「クロトの感性は色々ずれてるから、いちいち気にしてるともたないんじゃよ」


とは学園長の言葉で。その意味がよくわかった。様子を見に来た教師も茫然としている。確かにこれは私の固有魔法が必要そうだ。


「あの巨人、どうやって倒すの?」

「広域魔法をぶっ放すだけだ」


・・・なんかクロトらしいな。




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