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20.固有魔法

体育祭まで後1週間になった。セラに特訓を反則かとも思ったが、体育祭で使うのは長剣らしいから大丈夫だろう。

最近の襲撃は人数が変わらないが、少し質が良くなった気がする。ただ、今までと違って悪人面だったのでどこかの傭兵だろうというのが今のところの見解だ。体育祭当日は人数が増えるかもしれないが、人間である限り大丈夫だろう。


「あ、シーア。セラはどんな感じだ?」

「・・・筋はいいと思うよ。(態度が気に食わないけど)」

「なんて言った?」

「何でもない」


よくわからんがシーアが不機嫌だ。たまにあることだが。

ていうか今までもそうだったけど、俺の耳で聞こえないってどんな小ささで喋ってるんだ。


「体育祭当日に何も起こらないといいけど」

「何もっていうのは無理だと思うけど大きいことが起こらなければいいね」


全くもってその通りである。まあ何かあったら最低でもセラと王女だけを助けることになりそうだ。

少しシーアと話してから仕事に戻る。

学園内を回っていると1つのクラスが授業を受けていた。セラのいるクラスだ。


「あいつ露骨に手を抜いてるな。あれはいいのか?じいさん」

「なんで見つかるんじゃ。大分自信があったんじゃが」

「ガキじゃないんだから勘弁してくれ。なんの用だ?」


何か気配を隠して立っていたから、声をかけておく。

最初のほうはまともな奴だと思っていたんだが、違ったようだ。フェンリルと同じ感じだ。


「体育祭のことで相談があるんじゃが、今大丈夫かの?」

「大丈夫だ。学園長室か?」

「聞かれなければどこでもいいんじゃが」

「それなら何処でもよくなるぞ」

「・・・。学園長室でいいじゃろう」


学園長室に移動した後、《結界》で盗聴対策をする。

これは本当に便利な魔法だと思う。《結界》を張るとじいさんが怪訝な顔をした。


「《結界》?張れないようにする魔道具があったはずなんじゃが」

「ああ。微妙にひっかかったのはそのせいか。力業で突破した。壊しては無い。相談っていうのは?」

「・・・。予定には無かったんじゃが国王陛下と皇后陛下がくることになっての。仕事に両陛下の護衛を追加したいんじゃが」


なんで来るんだこの国の王は。危険だということくらいはわかるだろうに。断りたいが・・・


「どうせ手をまわしてるんだろ?」

「もちろんじゃ」


やっぱりだよ。じいさんは仕事のことになるとレーガンやゲルドに似てくる。俺の敵はこういう奴らかもしれない。


「それにしてもなんで来ることになったんだ?・・・おい、目をそらすな」

「そ、そのじゃな。子供の活躍を見たいと・・・」

「消してこようかな。そうすれば体育祭も無くなっていいんじゃないか」

「お主が言うと冗談にならんからやめてくれんかの?そもそも、そうなったら王女の護衛を厳重にしなくてはじゃから余計に面倒くさくなるじゃろうな」

「チッ。・・・冗談だから気にするな」

「・・・」


やるしかないのか。国王のほうはシーアに頼もうかな。

・・・もちろん拒否された。

国王が来ると言われた翌日。再びじいさんに呼び出されていた。嫌な予感しかしない。


「ルーナ王国の王女が来ることになった」

「・・・なあ。世界滅ぼしてもいいかな?」

「冗談にならんからやめてくれんかのう」


この国の国王の次は他国の王女?どうなってんだ。これもまた決定事項なのだろう。じいさんが説明を続ける。


「ルーナ王国には王女が2人いるんじゃが、今回来るのは妹のほうじゃな。名前は()()()()()・シーラ・ルーナ殿下じゃな」


ん?レイネシア・・・。レーネか!貴族だとは思っていたが王族だとは思わなかった。

どうしよう。会うべきなのだろうか。一度関わっているのだから避けるのもなんか違う。


「他の王族はついてくるのか?」

「いや、レイネシア殿下だけのようじゃ」


それならなるべく周りに人があまりいない時にそれとなく近寄ってみよう。とりあえず当日まで保留。


「そっちも護衛でいいのか?」

「そうじゃ。ただ、少し厳重にするようにとは言われている。他国の王女に何かあったとなれば、戦争になりかねんからの」


戦争か。やるなら俺のいないところでやってほしい。


「わかった。話はそれだけか?」

「終わりじゃよ。この後は休んでよいぞ」

「じゃあそうさせてもらう」


ちょうどよかった。フェンリルのところに行きたかったんだ。


『よ・・・』

「いらん。少し聞きたいことがあってきた」

『1文字しか言えなかった・・・。聞きたいこととはなんだ?』

「固有魔法のことだ」


気付いたのは朝だ。魔法を使おうと思って魔力を練ったら、魔法をいじれるような感じがしたのだ。そのことをフェンリルに話すと・・・


『ああ。固有魔法だな。固有魔法には2種類ある。1つ目が自分専用の魔法で、永続的に自分の中に残り続ける。もう1つは使い捨てだ。使い捨てはだいたい使用者の基礎能力などの中身を変えるものや、魔法などの付属物を変えるものがある。これらの効果は永続だ。今回のクロトのものは後者にあたる』


セラの固有魔法に触れたから発現したのか?・・・まあいい。

魔法を変化させるか・・・。魔法はどれも便利だから、よく考えたほうがいいかもしれない。


「おすすめは?」

『《光魔法》だな。回復もそうだし、《結界》なんてつか・・・」

「《闇魔法》だな」

『話聞いてたか!?確かに選ぶのはお前だが、それなら我におすすめを聞く必要はないだろう」

「いや、とてもいい意見だった。元からお前が言ったのとは違うのにしようと思っていたからな」

『・・・』


さて、早速やってみよう。

あ、いじるといっても俺ができるのは、魔法を選ぶところまでみたいだな。これならすぐに終わりそうだ。

・・・すぐ終わった。本当にあっさりしていて、数秒のことだっただろう。

あ、《闇魔法》が《影魔法》になってる。元からそれでよかった気がしなくもない。

まあ面白そうだからいいや。検証だ、検証。

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