EX.セラ
変な人にあった。
学園外に出ていたことに特別な理由はない。しいて言うなら外の空気が吸いたかったというところだろう。
私は固有魔法《自己隠蔽》を持っている。これは自分の周りに少し広めの結界のようなものを張り、範囲内の者から自分の認識を無くすものだ。
外に出てすぐに誰かがいることに気づいたから《自己隠蔽》を使った。出てきたのは複数人の黒服だった。
「おい、今誰かここにいなかったか?」
「何言ってんだ。任務に集中しろ。今まで何度も侵入させたのに何一つ成果が出ていない」
「・・・なんでなんだろうな。見た感じ警備とかは変わってないよな?」
「ああ。恐らく何かしらの魔・・・」
リーダーらしき男が突然言葉をとぎった。なんだ?と思った時にはすでにその男わ倒れていた。
いや、その男だけではない。その場にいた6人全員が倒れていた。私が何かをしたわけではない。つまりこの場に他の誰かがいるということだ。どこにいるのか。その疑問はすぐに解消された。
目の前に人が降りてきた。私と同じくらいの年齢だろうか。
その男は6人の懐を探り、頷くと1人1人抱え始めた。声をかけるならここしかない。
「あなたは誰?学園内にいた覚えがない
「・・・固有魔法か」
男は少し考えてすぐに正しい答えを出した。気づかれるとは思わなかった。
「見破られたのは初めて」
知られたからには何もしないわけにはいかない。しかしこの男は明らかに私より強い。
そんなことを考えていると・・・
「別に口外はしない。それと俺は警備の人間だ。事情があって隠れて警備をしている。信用できないなら、じい・・・学園長に聞いてもらってもいい」
そう言ってきた。裏があるかもしれないが、学園長が出るということは警備なのは間違いないのだろう。
その後少しだけ話してから分かれた。名前はクロトというらしい。
その後もクロトとはたまに会った。だいたい自主練をしている時だ。
「セラはなんで長剣を使ってるんだ?短剣のほうが合ってるだろ」
そんな質問をされた時は驚いた。私の本来の武器は短剣だ。しかし、私が習った短剣術は基本的に相手を殺す前提でのものだった。学園に入る大分前にそのことを知り、長剣に変えたのだ。それなりに長い期間やっていたので教師にも元から短剣を使っていると思われているのだ
「俺も変えた理由は違うけど元は短剣だったな」
「そうなの?持ってるのは短剣だからそっちを使ってるのかと思った」
「ああ。今は持ってない。必要ないからな」
「私と模擬線してくれない?動きを学びたい」
「別にいいぞ」
ほんの興味だった。あの黒服達の言っていた成果の出ない理由。それがクロトだとほぼ確信していた。だからクロトの強さに興味が出たのだ。だから使わないと思いつつも、毎日練習していた短剣を使った。
いざやってみると完敗。いや勝負と言っていいのかもわからなかった。
フェイントで翻弄しようとしたら、フェイントをかけようとした瞬間に短剣をはじかれた。
「なに今の動き。人間じゃない」
「よくわかったな」
冗談を言ったら冗談を返された。
・・・そうだ
「ねえ、私に短剣を教えてくれない?」
「・・・俺じゃなくてシーアに頼んでくれ」
「誰?」
シーアさんというのはクロトと一緒に警備をやっている人で、クロトの弟子だそうだ。
シーアさんとも模擬線をやったがクロトほどではないが、完敗。それなのにクロトはその何倍も強いらしい。
・・・人間じゃないって本当に冗談だったのかな?
とりあえずシーアさんに短剣を教えてもらえることになった。
ただ、クロトは女の私に、教えてやれと言ったのでシーアさんの当たりが強い。
・・・クロト。乙女心を理解して。




