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18.聖獣

合宿が中止になって3日。学園は休校中、のはずなのだがシーアと俺はじいさんに呼び出されていた。


「おいじいさん。休校中になんの用だ」

「・・・クロト君だけでなくお嬢さんまで窓からかね。言っても聞かないんじゃろうな。2人にに呼び出しが来とる」

「どこからですか?」

「王城じゃ」

「「・・・は?」」


2人?シーアだけならまだしもなぜ俺まで?じいさん・・・


「儂ではないぞ。今日の朝突然連絡が来て儂も驚いておるんじゃ。ばれるようなことはしてにんじゃろ?」

「ああ。じいさんとシーア位としか接触してない。宿に入る時も窓から入ってるからな」

「そこまでやるのか・・・。それで、どうするんじゃ?」

「名指しされてるんだろ?だったら行くしかないだろ。いつ行けばいい?」

「今日中とだけきておるぞ」


大分曖昧だな。この後の予定はないからすぐ行くか。


「じゃあ今から行ってくる。行くぞシーア」

「わかった」

「今か。それならこの紙を門番に見せれば通れるぞ」


紙を受け取ってから外に出る。


「シーア、掴まれ。王城近くまで《転移》する」

「いつの間に・・・」


王城近くの路地裏に出る。


「よし、シーア。対応は頼んだ」

「たまにはクロトがやってもいいんじゃない?」

「この前戦闘サボったのは誰だ?」

「う・・・わかった」


シーアが渡された紙を見せると門番がガチガチになりながら俺たちを通した。一体なにを渡されたんだ?

中に入るとなぜか王女がいた。その後ろにはメイドが・・・


「「あ、偽王女だ」」

「ッ!」

「その話は後程。ついてきてください」


なんでメイドが狼狽えて王女が落ち着いてるんだ。

案内された部屋は応接室のような場所だった。すすめられたソファーに座って、やっと気づいた。


「水の精霊か。そりゃばれるわけだ」

「だね。水の精霊はなかなかみつけられないからね」


王女が変な音だったのはこれが原因だろう。


「先ず、先日は助けていただきありがとうございました」

「仕事だから、礼はいい」

「貴様口調を・・・」

「サーシャ、いいのです」

「俺が王家に敬意を示す必要がない理由もわかってるんだろう?」

「はい」


俺と王女の会話にメイドが首を傾げている。まだメイドには俺の種族のことを言ってないようだ。


「話さなくていいのか?」

「彼女には後で。それから礼もなしというのは王族としてできません」

「・・・俺のことを話さないのと、できるだけ王族に話しかけられないようにしてくれればそれでいい」

「少ないので、それに加えて借り1つということで」

「はあ、わかったそれでいい」


この貸しを使わなくても済むようにしたいもんだ。


「1つ聞きたいのですがどうやってサーシャの変装を見破ったのですか?」

「音」

「音ですか?魔力とか歩き方とかそういう類かと思いました」

「その辺は大丈夫だろ。そのメイド、魔力低いし」

「クロト~。あれが標準だよ」


標準?ハラルの人間はもっと高かったし、学園の教師も高かったんだが?


「その辺の話は後で。他になにか用はありますか、王女様?」

「い、いえありません。何かあれば呼ぶかもしれませんが、できるだけ控えます」

「ああ、そうしてくれ。シーア帰るぞ」

「うん」


ああ、疲れた。


リリアナ視点

「・・・サーシャ、あなたの魔力は標準かそれ以下だそうですよ」

「・・・意味がわかりません。あの2人はなんですか?」

「わかりません。精霊を通しても全くわからなかったんです。わかるのは彼に手を出してはいけないということ位です」


精霊を通して正体がわからなかったのは初めてだ。かろうじて人間でないというのはわかる。しかし普通はその時点で精霊が排除しようとするのだが、しなかった。()()()()の加護をうけているのか、なにか別の理由があるのか。

護衛の面では頼もしいが、刺激しないようにしなければいけない。


クロト視点

王城から帰ったら蛇が起きていた。何を食べるのか色々試してみたのだが、肉の野菜も全て食べなかった。

結局魔力なのだろうという結論になったのは夜になってからだった。


「じゃあクロトお願いね?」

「わかってる」


明日神獣のところに行こう。蛇に刺さっていた針のことや、蛇自身のことも聞きたい。魔力しか食べないのはもう普通の蛇ではないのだ。

翌朝。さっさと神獣の洞窟前に《転移》して、いつも通り《結界》を破る。そして


『ようこ・・・』

「やらんくていい」

「え・・・。そんな扱いでいいの?」

「ああ、こんなんでいいぞ。中身おっさんみたいなもんだから」


恨めし気な神獣の視線を感じるが無視して本題に入る。


「なあ、この針なにかわかるか?」

『む?従魔針(じゅうましん)だな。ひどい劣化品だが、どこにあったんだ?』

「変な蛇に刺さってたんだ。どういう物なんだ?」

『文字どおり魔物を刺した者に従わせるものだな。ただ、ちゃんとした物でも弱らせないと従わせることはできない。そんなに劣化した物だと相当衰弱してない限りダメージも与えられないな』

「弱ってたな。つい昨日起きたとこなんだよ。こいつだ」


蛇を見たフェンリルは2度見して、近くの湧き水で顔を洗い、またしばらく眺めた。


『・・・どこにいた?』

「ソルガール王国の王都にある森の中」


詳しい説明を求められたので合宿のこととついでに洞窟のことを話しておいた。


『・・・まず、お前が蛇と言ってるそいつは聖獣だ」

「聖獣?初めて聞いたな」

『だろうな。聖獣というのは武器なんだ。有名なのは勇者の聖剣だな。あれは勇者が旅の途中で運命的に出会う武器とされているが、実際は聖剣になる聖獣が勇者を探して出てくるだけだ』


今勇者の伝説のロマンが1つ崩れ落ちた。運命でもなんでもなく出来レースだったのか。


『それと武器になった聖獣を持つとその武器の使い方がわかるとされている』

「じゃあこいつも武器になるのか?」

『なれはするだろうが相当魔力が必・・・お前は問題になさそうだな』

「もう既に大分与えてるぞ。吸わなくなるまでを1週間位続けてるな」


他の物を食わないから魔力与えるしかなかったんだよな。


『吸わなくなるまでは与えすぎだ。たぶんもう武器化できるぞ。確か手にのせた状態で《起動》だったと思うぞ』

「ほら、出てこい」

「クロトが私に接する時より優しい!?」


手にのっけて《起動》。これは・・・刀?

出てきたのは赤みがかった直刀だった。握りしめると大分前の水晶の時とおなじような痛みとともに、刀の使い方が流れ込んできた。

・・・あ、短剣卒業かな?


『おいクロトその武器聖剣と同等の性能持ってるぞ。どんだけ魔力入れたんだ』


聖剣と同等か。近くの岩を切ってみると、豆腐のように切れた。


『「・・・」』

「いいな!これ」

『なあお嬢さん。クロトの奴、どんどん手に負えなくなるな。名前は?」

「シーアです。クロトは一体何を目指しているんでしょうね」

『「はあ」』


今度色々検証してみよう。とりあえず聞きたいことは聞けたから帰ろう。

なんかシーアとフェンリルで話が盛り上がってるが、まった今度でいいだろう。


「シーア帰るぞ」

「あっ、うん。神獣様、とりあえず慣れるしかなさそうです。頑張りましょう」

『そうだな。また来てくれ』


いつの間にそんなに仲良くなった。まあいい。帰ろう。


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