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18襲撃.

蝙蝠にシーアへの手紙を持たせてもう片方の班に行った後、特にやることもなくついて行っていた。

王女が偽物だと気づいたのは各器官が異常に発達しているおかげだ。悪魔王を倒してから人によって『音』が違うことに気づいた。

レーガンやゲルドは音が大きく、シーアやじいさんは小さかった。王女はなぜか他の人とは違う特殊な音をしていたのだが、偽王女は静かな普通の音だった。そこでもう片方の班につけている蝙蝠を通して視ると、本物の王女がいたというわけだ。

ただ、どちらの班も普通に会話しているということはこのことは知らされていないのだろう。教師陣が知っているかも怪しい。まあ、気付けたのだからいいだろう。


「ん?なんだこの魔力」


木伝いに進んでいると近くに変な魔力があった。2つの魔力が合わさったような・・・


「あ、こいつだ。蛇?」


なんかゴツイ鱗のついた蛇だった。しばらく見ていてやっと変な魔力の原因が分かった。なにか黒い針が腹の辺りに刺さっていた。


「魔物の攻撃か?図鑑で見た覚えは無いから珍しいやつなんだろうな。ん?抜けない。・・・《闇魔法》使うか」


《闇魔法》の《影潜り》。これは影に入る魔法で影の部分が透過するのでそれを応用する。《影潜り》を針の部分で発動する。


「よし、抜けた。あとでフェンリルに見せたいから《結界》で包んでおこう」


《結界》は小さい物なら準備もなしに作れるようになったのでそれに針を入れる。ついでにポケットに蛇を突っ込んでおいた。

王女はグレートウルフと交戦中だった。王女は《光魔法》を使えるようで、後ろのほうで治療をしていた。後ろから忍び寄るグレートウルフがいたので倒して、ばれないように影に押し込んでおく。

その後も何度か俺が対処したが大きな問題が起きることもなく、宿泊地についた。

宿泊地は学園が森の中で直接管理している別荘だ。学園が直接管理しているだけあって大分豪華なのだが・・・


「この精霊の量。また神獣がいるな。ここに神獣の伝承はなかったはずなんだが」


とりあえず森の中に入ることをシーアに伝えに行く。ちなみに偽王女は今、別荘の管理人に変装している。


「シーア、森が気になるからちょっと行ってくる」

「わかった。この精霊のことだよね。また神獣?」

「そうだろうな。状況的には似てる」

「今度フェンリル様にも会わせてね」

「ああ」


シーアに話はしているが、まだ神獣には会わせていない。理由は単純に時間がなかっただけだ。

フェンリルの時と同じように精霊が多くなっていくほうに進む。


「何でこんな形の場所に住んでんだ?・・・《結界》がない?」


あったのは井戸のような穴だった。ここが神獣の住処であることに違いないのだが、フェンリルの時のような《結界》がない。フェンリルが特殊だったのか?


「なんだこれ?」


奥までいったのだが中に神獣はおらず、10人ほどの人間の死体があるだけだった。


「精霊は神獣に引き寄せられると言っていたから、近くにいるはずなんだけど。伝承に無いということはいなくても問題ないのか?・・・まあ保留だな」


まずはこの合宿を乗り切ろう。神獣はその後だ。


翌朝

蛇はまだ起きていなかったが変化はあった。昨日は黒色だったのが赤色になっていた。昨日の夜に魔力を流してみたのだが、それが原因だと思うが。


「あ、その蛇が昨日言ってた子?黒じゃなくて赤みたいだけど」

「昨日試しに魔力を流したからだと思う」

「ふーん。私もやっていい?」

「いいぞ」


シーアが蛇に手を当てて数秒。シーアが急速に後ろへ下がった。

「どうした?」

「なんか凄い量の魔力を吸われた。クロトは大丈夫・・・クロトの魔力は気にするだけ無駄だった。昨日はどの位魔力を渡したの?」

「詳しい量はわからないけど、吸われなくなるまで流したぞ」

「それは多分大分吸われてると思うよ」


魔力の詳しい数値がわかればいいが、ゲームじゃないからな。この世界に鑑定の魔法みたいなのは無いのかな?


「まあ毎日魔力流して様子を見てみる。それより今日はどういう予定なんだ?」

「気を付けてね?今日は奥のほうに行くって。基本は班で動いてれば自由だって」

「じゃあやることは昨日と変わらなさそうだな」

「うん。入れ替わってないかだけ注意しておけば大丈夫だと思う」

「そうか。よし、行くぞ」


とりあえずあと5日だ。そこまで乗り切る。


シーア視点

合宿の2日目。私がいるほうはまた偽王女だった。昨日ので少し警戒されているが、親しくなりたいわけでもないからいいだろう。

・・・集中できない。仕事だっていうのはわかるけど、クロトが他の女を追っていると思うとモヤモヤする。

合宿に来る前学園長と話していた時のことを思い出す。


「それで、お嬢さんが町で話していたのはクロト君のことかね?」

「・・・そ、そうですけど」


学園長はほとんど確信しているだろうから、嘘はつかない。でも何でそんな話を?と、学園長を見ると・・・


「言ったじゃろ。こういう話は好きなんじゃよ。それにしても町でお嬢さん以上の実力と聞いて意味がわからんかったが、本人を見て納得したわい。あれは本当に化け物じゃな。勝てる気がせんわい」

「やっぱりそうですよね・・・。町での助言ありがとうございます。おかげで吹っ切れました」

「そうか、それはよかったわい。ただ、今回の合宿だとクロト君はずっと王女を追うことになるんじゃが、そこは大丈夫なのかの?」


クロトが、王女の、ほうを、ずっと


「・・・大丈夫、です。仕事、と割り、切ります」

「全然割り切れた顔をしとらんぞ。ただ、クロト君はそういうことに疎そうじゃの。お嬢さんの好意にも気づいてなさそうじゃろ?そんな彼が王女に対してそういう思考になるとは思えんぞ?」

「それはそれで問題なんですよ!王女のほうは無視して私のほうを向いてもらわないと!」

「難儀じゃのぉ」


・・・

はあ。あの時自分はどう考えても暴走している。今考えるとものすごく恥ずかしい。

ただ学園長の言っていることは正しい。クロトが鈍感なのか、経験がなくてよくわかっていないだけなのか。少なくとも私の好意に気づいていないというのは正しい。どうすればいいんだろう。

その時


「失礼します。私はイザクという者でして。つきましては王女の命を頂ければと」


人が悩んでる時になんなのよ、もうっ!

・・・八つ当たりしよう。


クロト視点

「失礼します。私はイザクという者でして。つきましては王女の命を頂ければと」


ん?なんか来た。ただ、連れてる部下は本物だけど、こいつは本体じゃない。魔力の流れ方が俺の蝙蝠の分身と同じだ。本体はシーアのほうにいるんだろう。イザクとかいうやつ、ハズレをひいたな。


「王女の命だと!?渡すわけがないだろ。生徒は早く逃げなさい。君は生徒を護衛してください」


流石エリート校の教師だ。すぐに対応しているし生徒の護衛の指示も忘れない。分身なら倒せるだろ・・・


「貴様強いな。だが、ここから先は絶対に通さん!」


あれ~?なんかやられとる。教師は5人で1人がイザクを相手して、残り4人でイザクの部下を相手していた。部下は全員倒していたのだが、その後全員がイザクにやられていた。

あ、全員気絶した。ちょうどいい。


「1ついいか?お前の種族はなんだ?」

「魔人だ。・・・って誰だお前!?」


魔人。魔族と人間のハーフだ。魔人は迫害されがちでよく小さなクーデターを起こすと聞いていたのだが、今回もそれだろうか。

まあいい。さっさと倒そう。


「おいっ、無視をす・・・」

「よし。やっぱり分身か。向こうに戻ったな。シーアがいるから大丈夫だろうけど、一応行くか」


シーア視点


「シーアさん、あのイザクと名乗った者は私が抑えるのであなたは周りを頼みます」

「わかりました」


彼らではイザクに勝てないだろうが、殺す気はなさそうなので気絶するまで待っていよう。

・・・

教師陣が思った以上に粘った。今やっと最後の1人が気絶させられたところだ。


「おや?部下は倒されてしまってようですね。しょうがない、王女を追うとしましょう・・・ッ!」


避けられた。少し甘く見ていた。多分人間じゃない。


「エルフですか。面倒くさいですね。ただでさえ分身で魔力を削がれているというのに」

「倒すのは大分労力使いそうだから、時間を稼がせてもらうね?」

「時間稼ぎ?そんなことをしても意味がないでしょう。そもそもエルフに私が倒せるわけがない」


面倒くさいけど倒せる。面倒くさいからやらないけど。・・・ギルドマスターの言う通りクロトがうつってる()()()()()()。それでは、意味しかない時間稼ぎを始めよう。

・・・

思っていたよりイザクが弱かった。でも時間稼ぎといった以上続けるしかないか。


「ッ!分身がやられた?お前が期待している援軍はこいつか。だが位置は遠い。来るまでにお前をたお・・・」

「おいシーア。面倒くさいからって手を抜いてたな?さっさと倒しておけよ。はあ」

「そんなことないよ、うん。私じゃ厳しかったんだよ」

「厳しいじゃなくて面倒くさいの間違いだろ?」


あ、イザクが静かだと思ったらとっくに気絶させてた。流石だ。


「そろそろ学園の人間がくるだろうから気絶したふりでもしておけ。対応は任せた。俺はじいさんのところにイザクを持っていく」

「わかった」


その後、合宿中に王女のいる班が襲撃にあったが、主犯は不明ということになった。またその日中に合宿は中止となった。

・・・クロトが大分喜んでた。

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