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16.初日

王都についた翌朝

俺たちは学園に向かっていた。


「それにしても、なんで休日に来いって言われたのかな?当日に呼んでそのまま開始でいいじゃん」

「はあ。お前は今王都を案内しろと言われてできるか?」

「無理だけど・・・。あっ、内部構造を把握しないといけないとか」

「そういうことだ。多分」


今回学園長以外の教師との関わりを、俺は持たないことになっている。俺が個人的に関わりたくないというのもあるが、学園内にスパイがいる可能性に備えたためでもある。学園長への紹介状にもそう書いてもらってある。流石に仮面は外すが、人間でないというのは伝えない。


「あれが学園か。レーガンが見ればわかると言ったのも頷ける」

「そうだね。王城よりも小さいけど、こっちのほうが目立ってない?」

「ああ、そんな感じはある」


王城は確かに大きくはあるのだが、学園よりも設計がおろそかなのだ。大きければいいのかな?


「すいません、学園長に呼ばれてきたんですが」

「ああ、警備のかたですね。通っていいですよ」

「ありがとうございます。・・・ねえクロトこんな簡単に通れていいのかな?」

「《結界》が張ってある。敵意を持つものを阻むっていうところだろう」


俺なら破れるし、魔道具でもあれば普通に通れそうだが。


「ここが学園長室ね。失礼します」

「入っていいぞい」


シーアがノックすると、許可がでたので入る。

中にいたのは某魔法ファンタジーの校長先生のようなじいさんだった。


「えっ?あの時の・・・」

「おお、お嬢さんか」

「知り合いなのか?」

「ううん、町中で少し話していただけよ」


何か変なものを買わされていないか心配だったが、学園長をやっているなら大丈夫だろう。


「俺はクロトで、こっちがシーアだ。で、これが紹介状だ」

「儂はレイモンドじゃ。好きに呼んどくれ。・・・ふむ、なるほど了解した。本来ならこの後実力を確かめるんじゃが、レーガンがここまで言うなら問題ないじゃろう」

「知り合いなのか?」

「レーガンはこの学園に通ってたんじゃよ。態度に問題はあったが、実力は確かじゃったからな。そんなわけで今日の用は終わりじゃ。この後は好きにしてくれ」


やっぱり問題児だった。当時の姿が容易に想像できる。


「少し学園内を見てくる。問題ないだろ?」

「勿論じゃ。ただ、少なくても教師がいないわけではないからの。」

「ああ、わかった」


そんなわけで学園を見つからないように周っていたのだが・・・


「なあ、シーア。あのチビッコ来る途中にあった奴じゃないか?」

「うん、ミネルヴァさんだね。・・・もしかして教師なの?」

「あの背でできるのか?・・・まあいい。あれには俺とは途中で別れたでもなんでもいいから、今は一緒にいないと言っておいてくれ」

「うんわかった」


とまあ、1つの疑問は生まれたが基本的な構造を覚えて俺たちは宿に戻った。

明日は入学式だ。

入学式当日。警備と教師全員が集められ、説明を受けていた。といっても俺は別室から蝙蝠づたいに聞いているだけだ。じいさん(学園長)にはあとでシーアから聞くとごまかしている。


「・・・配置はこのような感じじゃが、なにか意見はあるかね?」

「シーアさんの配置は1人だと厳しいと思うんですが」

「それに関してはレーガン君から推薦されておるから大丈夫だ。覚えておるじゃろ?」

「あの悪ガキが・・・。そういうことなら、わかりました」


教師のこれは信頼というのか?貶しているようにしか聞こえん。


「他にはないようじゃな。皆会場に移ってくれ」

「「「はい」」」


会場は訓練場だ。所謂体育館で、射撃訓練場や剣の授業用の広場などがある。今回使うのは広場のほうだ。学園には1年~3年がおり全学年で600人ほどいる。それが体育館の施設の打ち1つに収まるのだからもう俺の知る体育館ではない。

俺たちの受け持ちは天井裏全体だ。ただ、基本監視は蝙蝠に任せるので俺たちは蝙蝠が敵を見つけるまでやることはない。


「それにしても本当に広いね」

「ああ。正直こんなに必要あるのかとは思っていたがが、600人もいれば使うんだろうな」


今は学園長の話だが俺たちは聞く必要ないし、生徒もちらほら聞いていないのがいる。王女は流石に聞いてるな。ちなみに王女の座る場所は事前に教えられている。場所がわからないなんて洒落にならないからな。


「あ、シーア。ちょっと行ってくる」

「うん、わかった」


侵入者だ。警備が厳重になってるとは思わないのかな?まあ命令されてたらやらざるをえないか。


「ちょっといいか。この辺に侵入者がいるはずなんだが知らないか?」

「っ!知らないな」


そういいながらナイフで斬りかかってきたので、横に回りこんで腕を折る。

・・・あれ?俺、この前から腕ばっかり攻撃してる気がする。


「・・・お前なんなんだ?資料にはなかったぞ」

「そりゃ一昨日王都についたばかりだからな。知ってたらそれこそ驚きだよ」


それ以上は話さず気絶させ、シーアのいる場所にもどる。


「1人だったんだ」

「ああ、流石に大人数では来ないだろう。他の場所には来てないようだしな。じゃあこいつ預けとくな」

「わかった。報告しておく」


ちょうど生徒の祝辞も終わり、全員が出ていくところだった。侵入者はもういないだろう。


「俺は学園長と話してくるから、他の警備や教師陣への説明は頼んだ」

「うん、わかった。任せて」


情報吐かせたりするのは学園側に任せていいだろう。俺が不慣れだというのもあるが、学園はこういうことが多いだろうからプロ的なのが多分いると考えたからだ。


「今いいか?」

「・・・年寄りの部屋に気配を消して入るのはどうかと思うんじゃが?」

「悪い、癖でな。そんなことより、1人捕まえた。今はシーアが預かってる」

「1人か?今年は少ないのぉ」


やっぱりそうなんだな。学園に来たのが1人ということは、狙っているのは1人しかいないということだ。


「王女を狙うのはどの位いるんだ?」

「・・・未知数じゃの。王族を狙う理由などいくらでもあるからのぉ。入学式に少ないということは今後、別のところで増えるじゃろう」

「面倒くさいな。・・・シーアたちが来るみたいだから帰るぞ」

「了解じゃ。・・・窓から出るんじゃな」

「当然だろ。ばれないようにしないといけないからな」


明日から仕事が増えそうだ。


・・・面倒くさい。



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