話が違う…!
父親が私の高校生活に対して要望を話したことがあったが、無理難題だった。
・運動部に入って部活をしてほしい
・習い事のピアノを続けてほしい
・奨学金を使って国公立大学に進学してほしい
・バイトをするなら食費等は賄ってほしい
全部、初耳だった。
まず、中学時代に強制入部となっている部活で嫌な経験をしたのでやりたくなかった。しかも、私は運動音痴なので運動部はありえないと思った。
ピアノは唯一していた習い事で、祖父母に毎月月謝が高い高いと言われながら、引っ越すまで10年続けたのだが、もう伸びしろが無いことを自分自身がよくわかっていて、技術を学ぶピアノ教室より作曲等を学べる音楽教室に通いたいと申し出たが、父は無言になってしまった。
そして大学進学の話は衝撃的だった。
私は進学校に入学しながら、自分は大学には行けないと思っていたのだ。私は勉強が好きだから大学に行きたいな、と幼い頃から幾度となく考えていたが、祖母は「女が大学なんて行ってどうする」という考えしかないらしく、ふと大学進学の話を溢そうものなら強く強く反対された。そういうものなのだと思わされていた。だから高校卒業後の進路に関しては、進学校だから就職は難航するだろうな、という風に漠然と考えていた。
まさか国公立大に進学してほしいなんて……でも予備校や塾等に通わせる気は無い様子だった。
バイトに関しては、私が部活をやりたくないと主張した際に父が「じゃあバイトでも何でもいいから活動しなさい」と言った。
これらをすべて実行すると、運動部で活動しながらピアノを習い、バイトで生活費を稼ぎながら予備校にも通わず国公立大学に進学し奨学金で学費を賄うということになる。
おそらくこういう人は存在するだろう。しかし、私には無理だし、大半の人にも無理だろう。
後日、父は近所のピアノ教室のチラシを持ってきて「近くにあるから話を聞いてきたら」と言ってきた。
ピアノを続けてほしいのはわかったが、重要な教室選びを近いという理由で勧めてくる、そして私に投げる、音楽教室の話は無かったことになっている状況に誠実さを感じられなかった。
少しだけ続ける気持ちがあったピアノは趣味に留めることにした。
これらの話…すべて祖母の言っていたことと違うじゃないか。大学進学など、重要な話を父は何故今までしなかったのか。折に触れてその話をしていれば私は将来に希望が見い出せたかもしれないのに、少し前まで田舎の高校を出てそのまま田舎で就職して一生を終えるような人生プランも考えていた私にとっては早く言ってほしかった、話が違うじゃないか、と怒りも湧いた。