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新生活へ
私と父の再婚相手は、田舎から父のマンションに引っ越し、新生活を始めた。
このとき、絶望する様な出来事があった。
引っ越しを控えた頃、父が私に
『おばあちゃんに今までありがとうって言いなさい』
と言った。
私は体が震える様な、力が抜ける様な、とにかく絶望・失望して目の前が真っ暗になった。今まで父の為に祖母の理不尽に耐え、心身を犠牲にしてきたのに、そのことを微塵もわかっていないのか…祖母は父の前では醜いところを見せないとは言え、少しは勘付いているんじゃないかと思っていたのだ。
私が精神を完全に壊してパニック障害を発症したのは、幼少期から祖母に当たられていたストレスの蓄積が思春期の難しい集団生活の中で溢れてしまったと思っている。実際、小学生の時から自傷行為があったのだから。しかし、父の認識では私が思春期の集団生活の中で悩み、心身が不安定になったと思っているのだろう。
私は震える声で
『それは、できない』
と答えた。
父は不思議そうにしていた。手紙でもいいから伝えた方がいい、そう言っていたと思う。